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アロマターゼ欠損症



遺伝性の原因により、エストロゲンが働かない疾患

アロマターゼ欠損症とは、遺伝性の原因により、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が働かない疾患。

常染色体劣性遺伝性の単一遺伝子病で、男性ホルモンの一つであるテストステロンをエストロゲン(卵胞ホルモン)に変換する酵素であるアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異により発症します。

アロマターゼ欠損症を発症した女性は、胎盤アロマターゼ欠損症により新生児の時から外性器が不明瞭(めいりょう)に男性化し、女性仮性半陰陽と診断されることがあります。2~4歳の女児では、エストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣の一部にできた袋状の腫瘍(しゅよう)内に液体がたまる卵巣嚢腫(のうしゅ)(未破裂卵胞)が出現します。

思春期には、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が高く、エストロゲン(卵胞ホルモン)が低くなり、第2次性徴が起こリません。テストステロンが増加し、徐々に男性化します。骨減少症、骨粗鬆(こつそしょう)症を引き起こすこともあります。

一方、アロマターゼ欠損症を発症した男性は、正常な性分化、正常な思春期を迎えますが、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下のため、類宦官(るいかんがん)体形という子供のような体形がみられ、骨端線の閉鎖不全によって大人になってもどんどん骨が成長し続け、極めて身長が高くなります。性欲減退が著しく、骨減少症、骨粗鬆症、インスリン抵抗性(耐糖能異常)になります。

アロマターゼ欠損症の発生はまれで、かつ新しい疾患概念であるため、専門に診断や治療を行う診療科はなく、小児科、小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科など複数の診療科で別々に取り扱われています。

アロマターゼ欠損症を発症した女性は、出生時に医師や看護師によって女性仮性半陰陽が発見されることが望ましいのですが、思春期や成人後に発見されることもあります。思春期になって女子のはずなのに初経(初潮)がなかったり、陰核の肥大や多毛、声の低下などの男性化が起こってくる場合には、できるだけ早く小児科、あるいは小児内分泌科、内科、内分泌代謝内科などの診断を受けるようにします。

アロマターゼ欠損症の検査と診断と治療

小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による診断では、女性仮性半陰陽を手掛かりとして、血中エストロゲンが低値であることからアロマターゼ欠損症と判断します。確定するために、遺伝学的診断でアロマターゼ遺伝子CYP19A1の変異を検索することもあります。

小児科、内科、内分泌代謝内科、産婦人科などの医師による治療では、アロマターゼ欠損症の2~4歳の女児ではエストロゲン(卵胞ホルモン)が産生されないため、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が極めて高くなり、卵巣嚢腫(未破裂卵胞)が出現しますが、少量のエストロゲンを投与すると嚢腫は消失し、正常な卵胞発育を起こします。

エストロゲンの投与は2歳からが望ましく、結合型エストロゲン0・15mg(エストラジオール0・25mg)を使用します。10~12歳では、これを0・3mg~1・25mgに増加させ、さらに黄体ホルモン剤も投与し、生理を起こすようにします。14歳までには、低用量経口避妊薬(OCピル)へスイッチします。

第2次性徴の欠如によりアロマターゼ欠損症が発見された女性に対しても、同じようなエストロゲンの投与により女性ホルモンの補充療法を行います。しかし、遺伝子の異常によって生じる疾患であるため、アロマターゼ欠損症の根本的な治療はできません。

アロマターゼ欠損症の男性では、14~16歳から少量のエストロゲン(12・5~25μg貼付〈ちょうふ〉剤)を使用します。これにより、骨端線が閉鎖し、骨粗鬆症が予防され、インスリン抵抗性(耐糖能異常)が正常になります。しかし、過剰のエストロゲンの投与は、男性の乳房が女性のような乳房に膨らむ女性化乳房を引き起こしますので、注意が必要です。

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