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アルミニウム中毒症



アルミニウムが骨や脳などに沈着することで起きる疾患

アルミニウム中毒症とは、透析液中や経口アルミニウム製剤中のアルミニウムが骨や脳などに沈着することで起きる疾患。

アルミニウムは現在まで必須(ひっす)性が証明されていない微量元素で、生体にとって有害元素に相当し、生体への蓄積による中毒が問題になります。

アルミニウム中毒症の主なものには、アルミニウム骨症とアルミニウム脳症があります。

アルミニウム骨症は、アルミニウムが骨に沈着して骨軟化症的な変化を生じ、骨折を起こしやすくなる疾患。腎(じん)不全に伴って起こる特有な骨の障害である腎性骨症の一つに、相当します。

一方、アルミニウム脳症は、アルミニウムが脳に沈着して脳細胞に変性を生じ、言語障害や精神症状などが現れる疾患。

自然界ではアルミニウムはいろいろな化合物の形態になっており、鉱物や土壌、水、空気、植物、動物などに含まれています。そして、食べ物や飲み物、水や空気などを通して、人間は毎日アルミニウムを摂取しています。また、食品添加物や医薬品、飲料水の浄化剤などにも、アルミニウムは広く使用されています。

飲食物と一緒に体内に入ったアルミニウムは、約99パーセントが吸収されずにそのまま大便中に排出されることがわかっています。また、わずかに残ったぶんの大部分は腸管を通して吸収された後、腎臓を通って尿とともに排出されます。

腎臓の機能が極端に低下して、正常な体の調節機能が働かなくなった腎不全の状態になると、水道水など日常生活の飲食物、アルミニウム製剤(消化性潰瘍〔かいよう〕剤、制酸剤など)から体内に取り込まれたアルミニウムは、腎機能の廃絶に伴って腎臓から排出できないために、体内に蓄積します。

特に血液透析患者では、透析液中に含まれるアルミニウム、高リン血症に対するアルミニウム製剤(水酸化アルミニウムゲル)の投与、あるいは日常生活の飲食物から体内に取り込まれたアルミニウムが貯留し、アルミニウム中毒を招くことが、1970年代から知られていました。

慢性腎不全では、腎臓におけるビタミンD活性化の代謝異常により、高リン血症、低カルシウム血症を引き起こします。そこで、腸管からのリン吸収を抑制する目的で、リン吸着剤が用いられます。従来、アルミニウム製剤(水酸化アルミニウムゲル)がリン吸着剤として広く使われてされてきましたが、長期投与によりアルミニウムが血液中、骨、肝臓、腎臓、肺臓、脳など広く体内に貯留し、アルミニウム中毒を引き起こす結果を招きました。

現在では、透析患者へのアルミニウム製剤の投与禁止、透析液にはアルミニウムを除去した逆浸透水を使用するなどの対策がとられ、アルミニウム中毒は激減しました。

アルミニウム中毒を起こし、体内に貯留したアルミニウムが骨に沈着すると、アルミニウム骨症となります。体内に貯留したアルミニウムが脳に沈着すると、アルミニウム脳症となります。

アルミニウム骨症では、骨のカルシウム沈着部位(石灰化前線)へのアルミニウムの蓄積により、骨の石灰化障害を生じます。この骨の形成に必要不可欠な石灰化障害の結果、骨組織の基質要素の1つである類骨量が増加した状態である高度の骨軟化症を招きます。

アルミニウム骨症を発症すると、体幹、膝(ひざ)や足などの四肢の広範囲に関節痛、骨痛がみられ、足腰の筋肉低下が起こり、歩行障害を引き起こします。骨折も起こしやすくなります。

アルミニウム中毒を起こし、体内に貯留したアルミニウムが血液と脳の間にあって、血液中の物質を簡単には脳に通さない血液脳関門と呼ばれる組織を突破して、脳に沈着すると、アルミニウム脳症となります。

アルミニウム脳症では、脳細胞が変性し、言語障害に始まり、幻覚や幻聴などの精神症状、記憶障害、意識障害、運動障害などが現れます。認知症が現れることもあります。半年くらいで死亡するケースが多くみられます。

アルミニウム中毒症の検査と診断と治療

泌尿器科の医師によるアルミニウム骨症の診断では、アルミニウム、カルシウムなどの血液検査や骨X線検査を行います。

泌尿器科の医師によるアルミニウム脳症の診断では、アルミニウム、リン、カルシウムなどの血液検査を行います。

泌尿器科の医師によるアルミニウム骨症の治療では、活性型ビタミンD3製剤の服用や、腎臓の機能低下時にアルミニウムを含んだ胃腸薬を避けることが有効です。活性型ビタミンD3を服用することは、骨の軟化による痛みや骨折を防ぐのに有効です。

骨に沈着したアルミニウムは、キレート剤(金属封鎖剤)の一つのデフェロキサミンを筋肉注射、または点滴静脈注射によって投与して除去します。

泌尿器科の医師によるアルミニウム脳症の治療では、腎臓の機能低下時にアルミニウムを含んだ胃腸薬を避けることが有効です。体内に入ったアルミニウムは、キレート剤(金属封鎖剤)の一つのデフェロキサミンを点滴静脈注射によって投与して除去します。

治療中は、デフェロキサミンの投与による網膜障害、聴力障害、肺ムコール症の発生に注意します。

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