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咽頭クラミジア感染症
咽頭(いんとう)クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマーティスという微生物が喉(のど)に感染したことが原因となって、発症する性(行為)感染症。
一般的には、単にクラミジア感染症といえば、クラミジア・トラコマーティスが性行為により性器に感染した性器クラミジア感染症のことを指しますが、クラミジア・トラコマーティスは、性器以外にも喉や目に感染することもあります。
この咽頭クラミジア感染症は、女性がするフェラチオや、男性がするクンニリングスなど、性器への挿入行為のないオーラルセックスから感染するケースが多く見受けられます。オーラルセックス以外のディープキスで感染するケースもあります。
喉にクラミジア・トラコマーティスが感染してから治療せずに放置すると、細胞内で増殖を繰り返し、喉の違和感に始まり、はれや痛み、発熱といった症状を引き起こします。扁桃腺(へんとうせん)のはれを引き起こすこともあります。
しかしながら、咽頭クラミジア感染症の症状自体は比較的軽く、特に女性の場合は症状が出にくいために、発熱したり、扁桃腺がはれたりとその症状がよく似ているために、風邪と誤解されて治療が遅れてしまう危険性も高くなっています。
結果として、症状が重篤化したり、ほかの人に感染させたりします。特に、抵抗力の少ない子供や老人に、呼吸器感染させることもあり、咳(せき)から感染して肺炎を起こさせることもあります。
咽頭クラミジア感染症を発症していると、性器クラミジア感染症も一緒に発症していることもあります。性器クラミジア感染症を発症したことに気付かず、治療せずに放置していると、女性の場合は下り物が増える、下腹部に痛みがある、排尿時に痛むといった軽度の症状が現れることに始まり、子宮頚管(けいかん)炎を引き起こし、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎になり、将来、卵管の通過障害を起こして不妊症、子宮外妊娠になる恐れがあります。
また、妊婦が感染していると、出産時、新生児が産道を通る際に感染します。感染した新生児は、生後2~3週間ころに結膜炎、生後3~4カ月ころに肺炎を発症する危険性があります。
オーラルセックスなどの後で喉に違和感を感じたら、医療機関で検査してもらうことが勧められます。診てもらう診療科としては、性器クラミジア感染症の場合は性病科や泌尿器科、婦人科などですが、咽頭クラミジア感染症の場合は耳鼻咽喉科(いんこう)が一般的なようです。ただし、検査や治療を行っていない耳鼻咽喉科もあるので、電話などであらかじめ確認しておくことが勧められます。
また、最近では自宅から郵送で検査できるキットが販売され、コンビニエンスストアの端末やインターネットなどから申し込めるので、これを利用してもいいでしょう。ただし、自分で粘液、粘膜、尿、血液などの検体をきちんと採取できていないと、正確に検査結果が表示されないこともあるので注意が必要です。郵送検査で陽性と判明した場合には、耳鼻咽喉科、ないし性病科、泌尿器科、婦人科を受診することが必要になります。
耳鼻咽喉科、ないし性病科、泌尿器科、婦人科の医師による診断では、 咽頭クラミジア感染症の症状がみられたり、疑いがある場合は、通常、喉の奥の粘膜を採取して、分泌物から病原体を検出する検査を行います。併せて、血液検査を行うこともあります。
分泌物による検査では、クラミジア・トラコマーティスが今いるかどうかがわかります。血液検査では、クラミジア・トラコマーティスに感染したかどうか、クラミジア・トラコマーティスが活動的でほかの人に感染する可能性が高いかどうかがわかります。
耳鼻咽喉科、ないし性病科、泌尿器科、婦人科の医師による治療では、ビブラマイシン、ミノマイシンなどのテトラサイクリン系、ジスロマック、クラリスなどのマクロライド系、クラビット、タリビッドなどのニューキノロン系の抗生物質(抗生剤、抗菌剤)が有効です。通常は、2週間以上服用します。
性器クラミジア感染症の治療では、通常は7~14日間、抗生物質を服用するのに比べると、咽頭クラミジア感染症は治りにくく、服用期間も長引きやすいといわれています。
治療の際には、クラミジア・トラコマーティスが完全に死滅したことを検査で確認して、医師が完治の診断が出すまで、指示通り服用する必要があります。
また、性的パートナーの同時治療も大切です。どちらか一方が治療をしても、オーラルセックスを含む性行為で感染が往復するピンポン感染を来し、いつまでも治らないことがあるからです。
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