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黄疸出血性レプトスピラ病



病原性レプトスピラの感染によって起こる急性発熱性の感染症

黄疸(おうだん)出血性レプトスピラ病とは、病原性レプトスピラがネズミやイヌに感染し、その尿に汚染された水や土から経皮的、経口的に人間へと感染する急性発熱性の疾患。ワイル病とも呼ばれます。

レプトスピラは、螺旋(らせん)状の特殊な細菌の一群であるスピロヘータの一種です。黄疸出血性レプトスピラ病を含め、レプトスピラによる感染症を総称して、レプトスピラ病、ないしレプトスピラ症と呼びます。

レプトスピラの血清型の違いによってレプトスピラ病はいくつかの種類に分けられ、重症型の黄疸出血性レプトスピラ病を始め、軽症型の秋季レプトスピラ病やイヌ型レプトスピラ病などがあります。

病原性レプトスピラは、ネズミ、イヌ、ウシ、ウマ、ブタなどの保菌動物の腎臓(じんぞう)に保菌され、尿中に排出されます。人間には、保菌動物の尿で汚染された水や土壌から経皮的、経口的に感染します。人から人への感染はありません。

ドイツの医師ワイルにより、1886年に初めて報告され、日本の稲田龍吉、井戸泰両博士により、1915年に世界で初めて病原体が発見されました。

日本では古来より、秋疫(しゅうとう、あきやみ)、用水病、七日病(なのかびょう、なぬかやみ)と呼ばれる地方病として、農作業や土木従事者の間で発症し、1970年代前半までは年間50人以上の死亡が報告されていましたが、近年では感染者数、死亡者数とも激減しました。現在は沖縄県などで、散発性に発生するのみです。

2003年の感染症法の改正により、レプトスピラ病は4類感染症に位置付けられ、保健所への届出が必要になりました。それ以降4年間で93例の届出があり、うち87例の国内発症例の約半数が沖縄県での感染と推定されています。

国外では、現在でも全世界的にレプトスピラ病が流行しており、ブラジル、ニカラグアなどの中南米や、フィリピン、タイなどの東南アジアなど、熱帯、亜熱帯の国々での大流行が挙げられます。

病原性レプトスピラの種類によって、症状は軽症から重症までさまざまです。軽症型では、風邪のような症状だけで軽快します。

重症型の代表である黄疸出血性レプトスピラ病の主症状は、黄疸のほか、出血傾向、高熱、吐き気、嘔吐(おうと)、腎障害、蛋白(たんぱく)尿、筋肉痛、結膜充血などで、感染後3〜14日の潜伏期をへて悪寒を伴う発熱で発症します。

ふくらはぎの筋肉痛、眼球結膜の充血が特徴的ですが、全身倦怠感(けんたいかん)、頭痛、腰痛などのさまざまな症状が現れます。発症して4~5日後に、黄疸や出血傾向が増強する場合もあります。進行すると、腎不全、心不全が起こる場合もあります。

黄疸出血性レプトスピラ病の感染の機会があり、ふくらはぎの筋肉痛や、眼球結膜の充血を伴う発熱が現れた場合には、早急に内科、消化器科を受診することが必要になります。経過は極めて速く、治療開始時期が遅れるとしばしば重症化します。

黄疸出血性レプトスピラ病の検査と診断と治療

内科、消化器科の医師による診断では、症状とレプトスピラ病の流行地への旅行歴、保菌動物の尿に汚染された水への接触などが診断の助けとなります。

黄疸出血性レプトスピラ病(ワイル病)では、発病初期から蛋白尿がみられ、血液検査で白血球数が増え、体の中の炎症反応を調べる検査であるCRP(C反応性蛋白)が陽性になります。確定診断には、血液、髄液、尿からの病原体の分離、血清診断、遺伝子増幅検査を行います。

内科、消化器科の医師による治療では、黄疸出血性レプトスピラ病の場合は抗生剤(抗生物質)を早期に投与します。感染早期ではペニシリン系、テトラサイクリン系など多くの抗生剤の効果が認められ、ストレプトマイシンが最も有効です。合併症では、その治療を行います。

黄疸出血性レプトスピラ病などのレプトスピラ病を予防する上では、中南米や東南アジアなど流行地域へ旅行した場合には、不用意に水の中に入らないことが重要です。特に洪水の後は、感染の危険性が高まります。

また、1999年夏に沖縄八重山地域において、観光ガイドやカヤックインストラクターなど、河川でのレジャー産業に従事する人たちの集団感染が報告されていますので、水辺のレジャーにも注意が必要です。海外では、トライアスロンなどのウオータースポーツによる集団感染も報告されています。

水田作業、土木工事、野外調査などを目的に海外の流行地域へ行く場合、可能なら感染症の予防に用いるワクチンを接種します。また、薬物による予防として、テトラサイクリン系に属する抗生剤であるドキシサイクリンの効果が報告されています。

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