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アミロイド腎症
アミロイド腎症(じんしょう)とは、ナイロンに似たアミロイド線維蛋白(たんぱく)と呼ばれる異常な蛋白が腎臓に沈着することが原因で、腎臓の機能障害が生じる疾患。
アミロイド線維蛋白は腎臓、心臓、肝臓、脳、消化管のどこかに限局して沈着するほか、全身に沈着して臓器の機能障害を起こすことがあります。前者を限局性アミロイドーシス、後者を全身性アミロイドーシスといいます。
アミロイド腎症は通常、全身性アミロイドーシスの一部分症として発症し、何らかの原因によりアミロイド線維蛋白が腎臓の糸球体や尿細管、間質に沈着することが原因で、腎臓の機能が低下します。特に糸球体への沈着により、ネフローゼ症候群を起こした場合は、予後が不良です。
アミロイドが沈着する腎臓の部位により、症状は異なります。一般的な症状としては、全身衰弱、体重減少、貧血、浮腫(ふしゅ)などがあります。特に糸球体に沈着した場合は、高度のネフローゼ症候群を呈することが多く、浮腫が認められます。
アミロイド線維蛋白にはいくつかの種類があり、アミロイド腎症を生じる頻度が高いアミロイド線維蛋白は、多発性骨髄腫に合併するALアミロイドーシス、原発性のALアミロイドーシス、慢性炎症に合併する反応性AAアミロイドーシス、免疫グロブリン性ALアミロイドーシスです。
全身性アミロイドーシスになると、倦怠(けんたい)感、むくみ、蛋白尿、貧血、低蛋白血症、巨舌がみられます。腎不全、心不全、または感染症を併発すると、死に至ることがあります。
遺伝性のもの、原因不明のもの、多発性骨髄腫や膠原(こうげん)病、がん、腎不全による長期透析に伴って起こるものがありますが、免疫グロブリンなどの原因となる蛋白質からアミロイド線維蛋白が過剰に体内でつくられ、沈着する仕組みは不明です。
内科、消化器科、消化器内科の医師による診断では、症状や一般的な検査において、アミロイドーシスが疑われた場合は、上部消化管(胃・十二指腸)あるいは直腸の生検を行い、組織検査をします。
蛋白尿を認める場合は、アミロイド腎症を疑い、腎生検を行います。腎生検では、組織に特殊な染色を行い、アミロイド線維蛋白の沈着を証明していきます。同時に、特異抗体を用いた免疫組織化学染色という方法で、沈着しているアミロイド線維蛋白の種類を決めていきます。
多くはネフローゼ症候群を呈する持続性蛋白尿が認められる場合は、腎臓の機能がすでに低下していることもあり、腎生検では糸球体や尿細管、間質に構造物のない結節性の病変を認めます。
内科、消化器科、消化器内科の医師による治療では、腎臓にできたアミロイド線維蛋白は溶けにくい性質であるため、いったん沈着したら除去することは非常に困難で、それぞれの症状に対しての対処療法が主体となります、現時点で根治治療がないため、対症療法が主体です。
ネフローゼ症候群だけでなく、腎臓の機能も低下し、透析治療が必要になり、腎予後は極めて不良です。
また、生命予後も不良といわれていますが、早期発見により、慢性炎症に合併する反応性AAアミロイドーシスでは、新たなアミロイド線維蛋白の産生を抑制するために、原因となる関節リウマチなどの基礎疾患の治療をすることにより改善を期待できるともいわれています。最近は、末梢(まっしょう)血幹細胞移植(PBSCT)を用いた大量化学療法の有効性も報告されています。
すでにほかの臓器に全身性アミロイドーシスの症状が出ていて、さらに腎臓にも症状が出ている場合は、治療に長い時間がかかります。全身性で進行が極めて速い場合は、命にかかわるような危険性もあります。
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