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音楽療法
音楽療法とは、音楽が人の生理や心理に働き掛ける力を利用して、心身の障害からの回復、機能維持、生活の質の向上などを目指し、音楽を意図的、計画的に使用する治療法の一つ。ミュージック・セラピー(Music Therapy)ともいいます。
音楽を聴くだけでなくて、楽器を弾いてみたり、歌を歌ってみたりすることなども音楽療法に含まれます。前者を受容(受動)的音楽療法、後者を活動(能動)的音楽療法といいます。
音楽は原始宗教の誕生と同時に生まれ、儀式や呪術に用いられたとされています。これにより人々の精神を鼓舞したり、一種のトランス状態を引き起こしたりしていました。ユダヤ教やキリスト教の賛歌などにおいても音楽は用いられ、これにより人々の信仰が深められていました。
音楽の治療効果も古くから知られ、3000年前のユダヤ王サウルのうつ病を、ダビデという羊飼いの若者がハーブの調べで治したことは、現代でも語り継がれている話です。古代ギリシャのアリストテレスは、音楽には体にたまった悩みやもやもやを吐き出してスッキリさせる効果があるとして、カタルシス効果と名付けていました。
現代では、音楽療法の主役はアメリカへと移り、初代大統領のジョージ・ワシントンが音楽療法に興味を示し、軍隊などにも使われ始めました。第二次世界大戦の最中、音楽を流したり演奏したりした野戦病院では、兵士の治癒が早まったといわれています。
その後、アメリカを中心として音楽療法による治療効果が立証され、うつ病や精神不安定な状態の患者の治療、重度心身障害児の精神発達のための治療などに取り入れられています。
日本でも、音楽療法は心と体を健康に導くという研究が、20世紀に入ってから進みました。現在では、精神科病院や一般病院などのリハビリテーションセンター、養護学校や小学校、中学校などの養護学級、デイケアなどの老人保健施設、児童施設などで、日本音楽療法学会認定の音楽療法士という資格取得者が、認知症、精神疾患、事故による脳障害や後遺症、脳性まひ、自閉症などを抱える人達に対して、音楽療法を活用しながらコミニュケーションをとり、リハビリテーションやセラピーなどを行うようになってきました。
また、公的機関の認定として、奈良市、岐阜県、兵庫県が独自の市および県認定音楽療法士という資格を出しており、それぞれの地域でリハビリテーションやセラピーなどを行っています。岐阜県音楽療法研究所を始め、音楽療法の研修、研究機関を設ける大学や短大、専門学校も増えてきています。
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