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移動性過S状結腸症



直腸の上にあるS状結腸が普通よりも長く、移動しやすい疾患

移動性過S状結腸症とは、大腸を形成するS状結腸が普通よりも長く、移動しやすい疾患。単にS状結腸が普通よりも長い状態は、過S状結腸症、S状結腸過長症、長S状結腸などと呼ばれます。

S状結腸は、大腸のうちで直腸のすぐ上にあってS字形にくねっている部分、上からいうと下行結腸に続く部分です。S状結腸の長さ、位置には個体差がありますが、標準的な長さは約45センチほどで、へそぐらいの高さまでに位置しています。過S状結腸症では、時に左横隔膜の高さまで達することがあります。

S状結腸は可動性に富むものの、胎生期のS状結腸間膜の骨盤壁への固定が不十分な場合に、移動性過S状結腸症がみられます。S状結腸が長い上に移動しやすいため、この部分に糞便(ふんべん)がたまって、便秘や腹痛を起こすこともあります。

日本人は、先祖が食物繊維を多く取っていた関係で、欧米人に比較するとS状結腸が長いのが普通。たとえ移動性過S状結腸症であっても、多くの人は排便が正常です。ただし、体質的に長い腸管を持つ日本人が近年のように欧米型の食事をし、パン、肉類、乳製品などのような残りかすの少ない食品を取っていると、便秘になりやすくなるのは否めません。

便秘が長く続くと、大腸ポリープ、大腸がん発生の誘因になると考えられています。また、移動性過S状結腸症により、S状結腸炎を起こすことがあるほか、腸管走行異常、S状結腸軸捻転(ねんてん)の原因ともなります。

腸管走行異常はS状結腸がねじれるもので、普通は自然なαループを描いてねじれます。逆にねじれた場合は逆αループといい、糞便が直腸に行く前に交差する個所が腸管内にできてしまい、ひどい便秘になります。S状結腸が異常に長い場合、ループコースターのように二回転することもあります。

S状結腸軸捻転は、ループが完全に360度回ってしまうもので、風船のように根元が縛られてS状結腸が袋状になり、便が全く通らなくなります。袋状のS状結腸にガスがたまって、腹部が張り、激痛が起こります。

移動性過S状結腸症の検査と診断と治療

移動性過S状結腸症で便秘をする場合、S状結腸の一部を手術で切除する医師がいる一方、安易に手術をすべきではないとする医師もいます。

腸管走行異常を生じた場合、大腸内視鏡で検査後に抜去する際、逆αループなどを解除し、整復すると、簡単に便秘が治ります。

S状結腸軸捻転を生じた場合も、大腸内視鏡で捻転部よりも上側の腸管内の貯留物を吸引してガスを抜き、ねじれを解除することで、整復できます。大腸内視鏡による整復率が高率である反面、再発率も高率であるため、肛門(こうもん)から挿入したチューブを24時間留置し、腸内容物を持続的に体外へ除去することもあります。

腸管の壊死があれば、直ちに手術で切除するのが一般的です。

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