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心構え、あるいは観念などという意識は、それだけでは抽象的で実体のない自己満足のようなものであるが、この観念の持ち方いかんでは、人間の一生を左右するほどの力を持っていることさえある。
毎日毎日、同じ思いを心の中に持ち続けていると、文字通り身も心も、その思いの通りになるもの。その思いを固く観念として維持しておれば、それは自然にその人の人相を形作り、その人の表情を操作し、その人の発する言葉の端々にまで反映されてくるものである。
心の中の想像はそのまま、精神の肖像たる顔の創造につながる。一日一日の自分の意識の集積が、自らの人相を形作ってゆく。
とりわけ、四十歳以後の風貌は、本人自身の後天的な責任にある。「男子は四十歳になったら自分の顔に責任を持て」とは、世間でしばしば交わされる言葉で、もはや不惑は、親がどうの、仕事の上の人間関係がどうの、女房や隣人がどうのといって責任転嫁をしてお茶を濁せる年ではない。
大学卒なら学窓を出て二十年近い四十歳代には、誰もが人生の年輪が顔に刻まれ、修養や勉学の深浅、苦労の多寡などが自然と表れるのが必然。
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