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∥食生活の工夫1∥

 

●乳幼児の味覚と感覚について

 本編では、乳幼児や子供、老人、あるいは眠れない人などについて、それぞれ工夫してもらいたい食事の注意点を述べてみる。

 まず子供についてであるが、子供の新しい生命体には、病気などがあるはずはないのに、現代は子供の慢性疾患が多い。これはすべて、食べ物に原因がある。

 食べ物は、自然の物を、自然な味で、腹八分目だけ与えればよい。例えば、赤ん坊に母乳を与えれば、物を噛む時に使う筋肉をよく動かして飲む。母乳が十分出ないことがあっても、自然の栄養調節になる。

 反対に、ほ乳瓶で人工のミルクを与えても、赤ちゃんは吸い出すだけでよいから、あごの運動は必要でなく、噛む力が育たない。泣きさえすれば与えられることは、過食にもつながるだろう。

 そればかりか、子供が喜ぶからといって、人工の、不自然な物を与えることは、五官をマヒさせ、自然感覚も、自然機能も働かなくさせてしまうこととなる。

 赤ん坊の五官のうち、真っ先に働くのは口と鼻である。目や耳は少し遅れる。

 目という器官は、もともと物を映すようにできているから、教えなくとも自然に見ることができる。道元禅師がいっている「見える目」で、周りの物の姿が自然に新生児の目に飛び込んでくる。

 よく、「子供は物覚えがいい」とか、「子供にあってはかなわない」ということをいうが、乳幼児期には子供の五官は非常に純粋で正しいからで、五官が正しいからこそ、見たり聞いたりしたことを、何でも吸収してしまう。

 こうして子供の五官を通して入ってきたものは、潜在性意識の中に収められ、それが体から出る時には手悪さや、いたずらとなって現れる。

 耳から入ってきたものは、縁に触れれば自然に片言となって表現されるなど、子供のうち、人間の五官作用は実によくできていて、知能や情操の発達を大いに助け、成長にとって欠かせないものである。

 ところが、乳幼児期に、親が母乳の代わりに、ミルクに砂糖を入れて飲ませたり、人工的に甘く味つけされたジュースやアイスクリームのような、口当たりのいい物をやたらに与えていると、五官がマヒし、最も大事な鼻がきかなくなってしまう。

 新生児は唾液がありあまっているから、ヨダレを流しっぱなしにしているが、すでに述べた通り、唾液の中には食物を消化するための酵素のほかに、パロチンというホルモンが含まれ、これがカルシウムを骨に定着させる作用があることが、科学的なデータからも証明されている。

 親の好みでやたらに甘い物、偏った人工物を与えれば、砂糖が発育に必要なカルシウムを奪う上に、人間の精神の安定や肉体の健康にきわめて大切な働きをする唾液の分泌力を弱め、機能を低下させる。結果的に、ホルモンバランスが変化を起こして、骨や歯がもろく、細胞組織や身体機能の弱い人間をつくってしまう。

 もともと、生まれてきた人間は本能の中に、真なる味覚というもの、真なる味というものを味わう力をいただいている、持っている、持たされているのに、それを妨げるものは、親なのである。世の中の親というものが、子供の感覚をマヒさせてしまうのである。

 人間が生まれてから死ぬまでに、この肉体に感覚というものを持っている、与えられている大変な力であり、財産であり、価値であり、値打ちなのである。

 感覚は、子供の時、一番純粋で純真である。この時、すでに親によって妨害されてしまう。自然に生かされ、生き、成長してゆく人間が、親の都合のいいようにされて、自然の感覚が成長、発達してゆく時期に、親の意識で子供をいろいろ変な者に育ててしまう。

 自然の作用で一方的に生かされ、育てられている時期には、親の満足のために人工物を与えることは控えて、完全に歯が生えそろって、肉体がしっかりでき上がるのを待たねばならない。

●子供と甘い食べ物

 子供の未完成な体は、だんだん臓器がしっかりしてくると、働きが強くなってくるため、外部からの栄養、特に固形物が必要になってくる。この時も、多く食べるという習慣をつけてはいけないので、年齢に応じて与えるべきである。

 親というものは、子供に物を食べさせて喜んでいるが、味の強い物は子供の感覚に残り、意識できるのである。従って、三歳から五歳までは、あまり甘い物を食べさせてはいけない。すでにおわかりのように、甘さによって、唾液そのものの価値がなくなってしまうし、唾液の粘液が薄くなってしまうからである。

 甘い物に慣れた子供にしてしまうと、その子供の中に作られてくる唾液は、口から入ってくる物を、十分に消化することができなくなる。

 そのようなわけで、体の中の機能にしても複雑であるが、物を外から入れて変化させる力が、子供の時すでに弱くなってしまったら、理性とか情操とかいう精神作用にも影響がおよぶのである。六歳以上になってくると、体の中に抵抗力ができるのであるが、親があまりにも物を与えすぎるため、子供の体の中の器官と機能で構成する働きが失われてしまうことが多い。

 一つの働きが失われると、結局、さまざまなところに障害が起こるようになる。例えば、脳の働きが散漫になるというか、弱ってくるというか、そういうことになれば、耐えるとか、我慢するとかいうことができなくなってくるし、集中力もなくなってくる。

 子供は、実際に敏感であると同時に、集中ができるものなのである。それが甘い物を食べさせすぎたため、集中力を失ってしまうことになる。

 甘い物を食べすぎたり、または濃厚な物を食べすぎたため、唾液が力を失ってしまって、ついには気息えんえんたるものになる。

 体の中に必要な糖分は、甘い物によらないでも体の中で作られる。胃の中に入った物から、ひとりでに糖分ができる。甘い物を食べすぎると、歯も悪くなっているから、十分に噛むことができない。余計な分量を入れて、胃に負担をかけてはいけない。胃では、胃液で一切が行われているのである。いつでもいたわっておかなければならない。唾液の補給はもうできないのである。唾液をいくら飲み込んでみたところで、その力には限りがある。

 こういう砂糖抜き育児の問題は、真理生活研究所で、すでに三十数年前から口をすっぱくして警告してきたところである。

 何にも知らない純真な子供に、母乳の甘味の何十倍もあるようなチョコレートや、アイスクリームなどのお菓子を食べさせることは、とんでもない誤りである。子供のおなかの中には、アイスクリームのような冷たい物もなし、チョコレートのような甘い物もない。 そんな不自然な有害物を与えたら、小さな生命体はたちまちマヒしてしまい、虫歯持ち、肥満児、虚弱児になってしまう。

 乳幼児時代から歯が悪くなるのは当然のことで、三歳児でさえ八十七パーセントが虫歯持ちだとか、小学校時代に虫歯の子供が九十パーセントとも、九十五パーセント以上ともいわれるほどいるということは、何という人の世の不覚であろう。

 そうして虫歯として現れた時は、すでに歯だけではなく、全身の骨も肉も細胞も、砂糖の害によって大きくむしばまれていることを、よく知るべきである。

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●よく噛み、よく運動する子に

 白砂糖に代表される砂糖の害は、砂糖物を食べたらすぐ、うがいをしたり、歯を磨くことぐらいでは到底すまぬものである。

 甘くても酸性食品であるから、体液を酸性にするといわれているし、唾液の根を枯らし、味覚の微妙さを殺し、胃腸から全身の細胞までを弱体化させてしまう。また、人間性も甘く、我がままなものとなってしまう。

 子供の弱体化を防ぐ第一の方法は、よく噛んで食べさせること。よく噛むということは、唾液をそれだけ豊富に分泌するということであるが、それは消化を助けるばかりでなく、肉体維持に大いに役立つ。食べすぎも防げるし、歯も丈夫になる。

 第二には、子供を自然に育て、肉体を鍛えることである。

 昭和五十九年の「日本学校保健会」の調査によれば、骨折しやすい子供の原因は、加工食品などによるリンの過剰摂取や、カルシウム不足と同時に、実は、過保護に育てるために、幼児の頃から体の発達に応じて運動をさせ、機敏な身のこなしを体得させないことにあることがわかったという。

 「あれも危ない、これも危ない」と親が躾けるために、子供は体を投げ出して身を処する訓練を欠いている。木登りをして落ち、けがをして子供は鍛えられ、社会を知る。小さいけがは、大きいけがの予防だという。危険に直面して、子供は自然に乗り切るすべを肉体に躾けてゆくものである。

 まず現代っ子は肉体を鍛えよ。親は子供を自然に育てること。自然が子供を育てるのである。

 こういう大切な運動の不足や、高カロリー食品の取りすぎなどが原因で、都会っ子の世界では、半数が成人病予備軍だともいう。十歳か十五歳くらいで、すでに体が老化して、糖尿病や腎臓病に患わされている例も珍しくない。

 このままでは子供の大半が、四十代前半までに成人病にかかってしまう、と医師は警告している。

 また、朝の体温が三十六度以下という児童が四割、立ちくらみや、めまいなど、朝に弱い自覚症状を訴える児童が過半数。不規則な生活などから、自律神経失調症に陥っている児童が急増している、という発表もある。

 子供ばかりか、青年も虚弱化している。今の相撲取りの体格と、十年前の幕の内力士を比べてみると、だいたい身長が十センチ、体重が十キロ、今のほうが多いという。ところが、今の力士は誰も、どこか痛めたとかいって、サポーターなど白い物を巻いている。昔はなかったことである。これは腰骨が弱いからだという。

 そこで、第三には、子供にカルシウムをもっと与えること。肉やマグロの刺身などばかり食べていては、体だけ大きくなっても、丈夫な骨を作ることはできない。煮干しや目刺し、イワシのような骨物を頭から食べさせなくてはいけないのである。

●老人の食の原理というもの

 老人の食事法に話を移すと、年を取ったら飽食してはいけない。六十歳をすぎたら腹八分か七分で、大食を慎み、濃厚食も避けるほうがよい。

 老人の大食や濃厚食は、体を疲れさす。夕食は軽く、よく噛むこと。老後の肥満症は危険だから、米の分量も減らさないと、胃に負担がかかることにもなる。

 新鮮な野菜や果物は、動物と植物の依存関係からみても、消化によい面からみても、多く取るのがよい。生野菜、昆布、納豆など、よい食品が山ほどある。

 年を取ると、食べる分量はおのずと決まるものである。若い人でも飽食すれば短命、無福の人となり、バカの大食いの例もある通り、腹八分は若者にもいえることである。人生の後半からは特に小食のほうがよい。自然に肉体の諸器官がそうなってくるから、食べる分量はさほど必要がなくなってくるのである。

 従って、体の状態においても気が軽いし、心や精神面も気楽で、気持ち、気分がよいのである。こうした習慣をつけると、体も、意識も自然そうなるのである。そうして、どんなことでも日課のようにして続けると、かえって若い時のように気が散らず、楽しみとなり、深い味も出てくるものである。

 この点、百歳まで生き抜いた老人たちについての調査を見ると、早寝早起き、腹八分というのが多数を占めている。

 腹いっぱい食べる人は、消化器官が完全に働けないから、栄養吸収も悪いが、消化も悪い。

 人間は消化器官を、食べ物を消化するだけだと思っているが、人間を本当の最高生物たらんとするためには、物事のすべてを肉体の諸器官と諸機能で消化、吸収しなければならない。

 門戸の唾液も、中心の生命核から発する精液も、肉体内のすべてのホルモン作用は分業的で差別的ながら、総合されて、全体の生命作用に統合、奉仕しているのである。一つ狂っても全体が苦しむ総合生命体の妙。

 その人間のホルモンというものは、年を取れば、だいたいにおいて変わるものである。一番変わるのは、唾液ホルモンである。

 これは、実際にあるべきものがだんだん薄らいでいく、消滅しつつある。また、体力がなくなってくる。体力のなくなってきた体に気力を出そうとしても、無理である。気迫を出そうとしても、出ない。

 そうした面は、神経でつかさどってもらわなければならぬ。代わる働きをしてくれるのは、神経作用以外にはない。

 唾液が薄くなるけれども、胃液はそれほど薄くならないもの。しかし、胃の機能は衰えさせてしまうとどうにもならない。

 胃の中には、七分目ぐらいの物を入れておきさえすれば、胃液は絶えず分泌し、胃の先の腸とか、その周辺にある肝臓とか、すべての臓器は間違いなく働いてくれて、消化してくれるのである。

 唾液が薄くなり、少なくなるから、老人は物を食べる時、噛むことがいっそう大切になる。常識の倍も三倍もよく噛んで食べること。

 それだけ時間がかかっても、唾液が十分に出れば、生気は失われずにすむ。人は唾液ホルモンという若返りの妙薬、長命の秘密を知らない。子供時代は唾液が多い。唾液と若返りの関係を見逃してはいけない。

●年寄りに勧めたい多種少量主義

 続いて、高齢者が食事について注意してもらいたいことは、老人になると歯が不自由になったり、胃腸が弱くなったりしてカロリーの摂取が減りがちで、それにつれて蛋白質の摂取も減ることが多いので、蛋白質が欠乏しがちだということである。

 普通、蛋白の必要量は一日当たり体重毎キロ一グラムとされ、この量は老人にも当てはまると考えられているから、この程度の蛋白摂取は考慮する必要がある。

 ただし、老人が体重毎キロ一・五グラムといった大量の蛋白質を取ると、血中の残余窒素が上昇するといわれているので、特に多く摂取することは、むしろ有害とされている。脂肪については、大量の脂肪、ことに低カロリー食での大量の脂肪摂取は避けること。

 大切なことは、老人はカロリーの必要量が低いことが知られているが、これは活動組織の減少によることで、相対的に蛋白質を増加させ、この欠乏をきたさないようにすることである。

 そのためには、動物性の肉とか濃厚な物は避けるのがよいから、魚や植物性の蛋白質を多く摂取するようにしたらいいと思う。

 また、カロリーの摂取が少なくなると、正しい比率でビタミン各成分の摂取ができなくなりがちなので、十分なビタミンを補うことも必要で、老人のビタミン必要量は若年者と変わりないといわれている。水分も適当にとって、便秘を防ぐとともに、ビタミンを十分にとるように留意することが大切である。

 すでに述べた通り、老人での過栄養は好ましくなく避けるべきだが、老人の中には食事への興味が薄くなり、とかく栄養が偏って低栄養、栄養不足と思われる人が、案外多いことに注目する必要もある。

 これに対処するには、ご飯やめん類で満腹になりやすいから、おかずから食べたり、料理の品数を多くするようにアドバイスしたい。

 例えば、私の毎日の食卓には、常に二十種近い品が並べられるのである。量は少量ずつで、重ね鉢五個に十七、八種くらいを入れる。鉢の中身は、魚介類、納豆、昆布、佃煮、漬物、干物類、それに生の野菜などである。従って、価格にすれば割安の物ばかりであるが、長生きするには魚の多い日本食が最高という、最近明らかになった原理にはかなっている。

 これらをよく噛んで、唾液を十分に混ぜることが、私の健康の秘訣である。

 その上、多種類の食べ物を少しずつ食べて、その物独特の味をみることは、楽しいこと限りなし。食べ物は、少ない種類を大量に食べるよりも、たくさんの種類の物を少しずつ味わって食べる多種少量主義のほうが、栄養的にも好ましいし、かつ物事の味をみるという人間形成の上からも望ましいことである。

 そうして吸収された食べ物の価値、効果は多様、多種であり、それがすべて肉体の力となり、精神の糧となるのである。

 五味をバランスよく食べることも、内臓を鍛えるためにも大切だ。酢の物は肝臓、苦い物は心臓、甘い物はすい臓、辛い物は肺臓、塩辛い物は腎臓を強くする。食べすぎると逆に害になるので、量を考えることが肝心である。

 年寄りは物質的なことでも、精神的なことでも、何によらずすべてほどほどにやれ、過ぎたるは及ばざるにしかずである。

 

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