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∥上半身の出物が発する健康情報(6)∥

∥シャックリをチェックする∥

 

●シャックリは横隔膜のケイレン信号

 人間の口から発せられる音の出物の一種に、シャックリがあることも忘れてはならない。シャックリの医学上の名は、吃逆(きつぎゃく)という。

 そのメカニズムを一口で解明すれば、横隔膜のケイレンである。人体の横隔膜は、呼吸中枢からの指令によって上下動し、呼吸のための重要な筋肉となっているもの。これが、何らかの拍子にケイレンを起こすわけだ。

 横隔膜はオワンを伏せたような形をしている。呼吸中枢から「息を吸え」という命令が下ると、横隔膜の筋肉が収縮して、横隔膜は平らになる。そのぶんだけ胸腔が広くなるから、胸腔内の内圧がより陰圧になる。そこで、胸腔に収まっている肺がふくらむ。ふくらんだぶんだけ、空気は声門を通って肺に流れ込んでくる。

 そのような仕組みで、我々はふだん呼吸しているわけだが、横隔膜が何かの原因でケイレンを起こすと、空気の出し入れと声門の開閉がうまく合致しないで、めちゃくちゃになる。そのために、例の「ヒック」という音が出るのである。

 そのケイレンを起こす原因について説明しよう。横隔膜は、呼吸中枢→横隔神経→横隔膜→迷走神経→呼吸中枢と結ぶループによって支配されており、このループのどこかに刺激が与えられると、シャックリが起こると考えられているのである。すなわち、頭部、咽頭部、胸部、腹部などに何かトラブルが起こると、シャックリが出るというわけで、食べすぎ、飲みすぎはその代表的な原因である。

 俗に「シャックリが三回続くと命が危ない」というが、シャックリが続いただけでは、死ぬことはない。世の中には、四億回以上もシャックリをし続けて、ギネスブックに出ている人もいるそうだ。

 しかし、「出たら止めたい」というのが人情で、世の中には、実にいろいろなシャックリの止め方が流布している。いわく、「驚かす」、「水を飲む」、「紙袋の中で呼吸する」、「舌を引っ張る」、「眼球を手で押す」、「クシャミをする」、「柿のヘタを煎(せん)じて飲む」。

 それらは本当に効き目があるのかといえば、それなりに理由はあって、単なるおまじないとはいえない。なぜなら、呼吸中枢を安定させてやる方法であったり、横隔神経や迷走神経をブロックしてしまって、シャックリ情報が呼吸中枢や横隔膜まで行き着かないようにしてやろうという方法だからだ。

●肺と心臓の働きを促す横隔膜

 さて、ここで私が強調しておきたいのは、何かの原因でシャックリというトラブルを起こす横隔膜が、呼吸作用による肺のガス交換と同時に、心臓を助けて血液循環にも重要な役割を果たしていることである。

 横隔膜という膜は、人間の上半身と下半身の境目にあって、あたかも波に漂うクラゲのように動きながら、肺の活動をうながして呼吸の出入りをつかさどり、しかも血液循環という重要な仕事に参加している。だから、無意識の呼吸でも丹田にまで行き届く呼吸を行っている人の場合は、横隔膜を活性化しており、血液循環を活発にし、体細胞の新陳代謝を健全に営ませているのである。

 そこで、横隔膜を中心とした腹筋の運動が、健康増進に大変な効果を発揮することになる。

 昔から、「腹のしっかりした人間は病気をしない」といわれた。腹とは腹筋のことである。腹筋の力強い運動は、横隔膜の動きに連係しており、呼吸を深く力強いものにしてくれる。いわゆる精神、気力の充実も、この腹の力によって達成できる。

 腹を訓練するにはジョギングやマラソンもいいが、心臓や肉体の負担が大きく、病人やお年寄りには無理である。寝床の中で仰臥(ぎょうが)したままで、私の開発した真呼吸、腹式全身の呼吸を行うのが一番よい。

 一日のうち何回でも、体を投げ出して全身の力を抜き、意識を放下して大きな息を吐き出し、吐いて吐いて吐き抜けば、次には思い切り腹いっぱい吸い込むことになる。全身で吸い込み、そして全身で吐き続ける。こうして、腹筋は鍛えられ、横隔膜は力強く活動する。

 呼吸法のポイントは、上半身と下半身の境目を作っている横隔膜の運動を力強く行うことである。これによって、腹腔内の内臓諸器官から静脈血を心臓に効率的に送り、同時に冠血流も活発にするので、心筋および内臓全体の収縮強化にも役立つ。

 横隔膜の活発な収縮運動にともない、内臓全体の収縮運動が行われるので、自然に腹が鍛えられることになるのである。

 これは、横隔膜という呼吸筋の自在な働きが、内臓諸器官の健全な活動を保障し、併せて精神の充実にも寄与しているからである。

 ところで、横隔膜というのは、少し変わった筋肉集団である。その位置は、すでに述べたように胸腹両腔を横に隔てる境界をなしており、絶えず上下に移動運動を繰り返している。固定した境界膜ではなく、クラゲが漂うように上下に波打ちながら移動する境界筋、といったほうが適切である。

 この横隔膜は収縮と弛緩(しかん)の上下運動を繰り返して、胸腹両腔に減圧、加圧のダブルプレーを行い、両腔内臓に巧妙至極なマッサージを施して、血流をうながし、活性化をうながしているのも特徴の一つだ。

 横隔膜が、呼吸作用によってこのように巧妙至極な働きをしていることを知れば、私たちの健康や生命の維持の保障人の役割を、果たしてくれていることに気づくであろう。

 横隔膜が第二の心臓として働いていることも、詳しく説明しておこう。横隔膜の収縮上下運動は、もっぱら静脈血ポンプの役割も担っているのである。

 いうまでもなく、血液循環系においてダイナミックな仕事を絶えず繰り返しているのは心臓である。それは、肺動脈および大動脈へのポンプとしての役割で、肺に対しては静脈血を、全身の動脈へは動脈血を送るポンプである。

 この心臓の働きで最も重要なことは、栄養分と酸素を多く含んだ血液を全身の体細胞に送り届けることである。

 だが、心臓自体は、体細胞が使い古した血液を、栄養分と酸素を多く含んだ血液に再生することはできない。とはいえ、使用済みの血液をその都度捨て去るほど、人間の肉体はぜいたくにはできていない。そこで再生産が必要である。そのためには血中の不足物を補い、不要物を捨てた新鮮な血液を再生産し、絶えず全身から静脈血が集められ、心臓へ送り返されなくてはならないのである。

 そういう全身の静脈血をかき集め、心臓へ送り届ける重要な仕事を助けているのが、横隔膜である。その収縮上下運動は、もっぱら静脈血ポンプの役割を果たしている。つまり、横隔膜は第二の心臓として働いているのである。

 だから、横隔膜の活動が鈍いと、心臓も十分にその機能を果たすことはできないのである。横隔膜の働きは、直ちに心臓の働きとなるからである。

 この点、腹を使った腹式呼吸をすると、横隔膜を上下して内臓諸器官をマッサージすることになるばかりか、意識的な呼吸によって大脳の前頭葉を使い、脳幹で発動される本能的な雑念は制御されることになる。エネルギーは上昇し、ますます精神がさえわたるのである。

 ここで、内臓と脳との関係についても触れておくと、人間は内臓が衰えると、脳の働きが鈍ってくる。脳が内臓を支配していることは、誰でも知っていることだが、内臓も脳を支配していることは、あまり知られていない。精神的なストレスですぐ胃炎になったり、胃炎がひどくなると気がふさいだり、とっぴな行動をとったりするようになるのは、脳と腹が密接な関係にあるからである。

 実は、腹の中に脳の兄弟ともいえる神経節、つまりリトルブレインと称する小さな塊があり、それが人間の気力や体力に影響を与えているのである。

私たちは一般的に、脳だけが考えることを行う器官だと思っている。しかし実際は、脳とすべての器官を使って考えているのである。頭脳明敏であるためには、心身ともに健康でなくてはならない。どこかに痛いところや悪いところがあれば、名案も浮かんでこない。特に、内臓機能の衰えは、気力、体力だけでなく、思考をゆがめやすいので、注意しなければならない。

 内臓を鍛えるには、内臓機能の中枢である小さな脳、リトルブレインを強化することが大切だ。ここを鍛えれば、頭も体も心もすっきりする。

 このリトルブレインは、臍(せい)下丹田、臍の下にあるから、ぜひ毎日の日課の一つとして、腹式全身呼吸法によって鍛え、その能力をさらに高めることをお勧めする。

 

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