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健康エッセー

‖新医療制度の発足を機に実践する健康プラン‖

 2008年5月20日

新しい医療制度が次々にスタート

 日本の医療分野で次々と、新しい制度がスタートしている。長寿医療制度と通称される後期高齢者医療制度、同じくメタボ健診と略称される特定健診・特定保健指導、そして医療法に基づいて都道府県が策定する新医療計画制度も、四月から始まった。

 何かと批判が強まり、政府・与党の見直し作業が具体的になってきた後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の高齢者が加入する独立した医療制度。かつての老人医療無料化で急増した老人医療費をどうするかが議論の発端となり、医療制度改革の一環で導入されたものである。全国で約一千三百万人を数える七十五歳以上の全員が、国民健康保険などの従来加入していた健康保険から移行した。

 運営は、市町村が作る都道府県単位の広域連合が担当。医療費の一定割合を高齢者自らが負担する独立した医療制度を作ることで、高齢者と現役世代の負担を明確化することなどが、目標とされている。

 保険料は、加入者全員が等しく支払う均等割と、支払い能力に応じて負担する所得割で構成されている。低所得者は均等割部分が収入に応じて七割減、五割減、二割減の三段階で軽減されるが、最大九割減に拡充される方向で、政府・与党による調整作業が、五月から始まっている。

 因みに、この保険料を公的年金から天引きされる人は、全国で約一千万人。年金額が少ない約三百万人は、天引きの対象外であるため、従来通りに市町村窓口で保険料を納める。

 後期高齢者の医療機関における窓口負担も従来通り、原則一割であるが、現役並み所得者は三割となった。

 また、新制度で受けられる医療では、患者が掛かり付けの主治医を指定し、外来から入院、在宅治療まで一貫して、主治医にかかわってもらう仕組みとなった。七十五歳以上の人では、糖尿病や高血圧など慢性的な病気で治療が長期化する傾向が強く、認知症も少なくないため、継続的に患者を診る必要性が高いことが考慮された変更である。

■メタボリックシンドロームに注目した検診や指導

 特定健診・特定保健指導は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に注目した新しい制度で、こちらも四月からスタートした。

 生活習慣病の予備群らを見付け、未然に発症をとどめる予防医学を前面に打ち出し、保健指導を強化した試みである。増え続ける国民医療費の大幅抑制が目標で、具体的には、平成二十七年におけるメタボの該当者や予備群の二十五パーセント減少が目標とされる。

 四十歳から七十四歳までの約五千六百万人が、検診や指導、情報提供の対象。まず、腹囲またはBMI(体格指数)に加え、血糖、脂質、血圧の数値を基に判定する。一つでも該当があれば、喫煙の有無をプラスして、二つ以上が該当する積極的支援(メタボ該当者)、または一つ該当する動機付け支援(予備群)と判定された場合、医師や保健師などの専門職から、面接やメールなどで食事、運動の仕方といった生活習慣の改善を指導される。

 実施することを義務付けられたのは、市町村や企業の健康保険組合など医療保険者で、健保では従業員の被扶養者も対象になった。健診や指導の達成状況に応じて、医療保険者が国に拠出する後期高齢者医療制度の負担額が、十パーセントの範囲で加算、減算されることになる。

■病院の役割分担を明確化する新医療計画

 医療計画とは医療法に基づいて都道府県が策定するものだが、同じく四月から新しい医療計画制度がスタートした。制度の大幅な見直しは、約二十年ぶりのことである。

 旧医療計画では、医療費の抑制のために、入院ベッド数が増えすぎないよう管理するのが、主な目的だった。二〇〇六年の医療法改正で方針転換した新医療計画では、病院の役割を分けることにより、効率的な医療利用も目指している。

 具体的には、一、地域での病院の役割分担を明確にした上で、患者がスムーズに転院し、診療情報もうまく引き継がれるよう見取り図を描く、二、地域で各役割を担う病院名を住民に公開する、の二点が、主な目的。

 がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四疾病と、救急、へき地、周産期、小児、災害の五つの医療分野を担う医療機関の名称が、連携体制などとともに、各都道府県の計画に盛り込まれ、順次、公表される。

 計画ができても、医師数などの乏しい地域では役割分担作業に遅れが出ており、どこまで実効性があるかは、今後の課題となる。

 以上のように、新しい医療制度が次々にスタートした今、医療費の増加を抑えるためにも、日本の社会を構成する一人ひとりが自ら、病気を予防し、健康であり続けることが、ますます大切になる。専門家の力を借りずとも、一人で手軽に取り組める健康プランを、いくつか紹介してみよう。

■食事の見直しで減量を図る

 肥満は脂肪が蓄積した部位によって、上半身肥満と下半身肥満、また上半身肥満は内臓の周囲に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満と、お腹の皮下に脂肪がたまる皮下脂肪型肥満に分類されている。それらのうち、糖尿病などの合併症を最も発症しやすいのは、内臓脂肪型肥満の型である。

 肥満が気になる人は、毎回の食事量を二〜三割減らし、ゆっくり、よく噛んで食べるプランの実践を。食事内容は、年齢相応の適切な摂取カロリーを考えて、栄養バランスのよいものに。

 反対に、まとめ食い、とりわけ一日の食事量の半分以上を夜間に食べるのは、内臓脂肪を蓄積するので、禁止プランに組み入れよう。

■速足歩きの立案と実践を

 食事の見直しに加えて、有酸素運動も必要である。運動不足になると基礎代謝が減少し、貯蔵エネルギーが増えやすくなるためで、ウオーキングを主体にして、筋力トレーニング、ストレッチも併用しよう。

 肥満により糖尿病になった人も、体重を五パーセント減らすだけで、症状をかなり改善できるはず。しかし、急な減量では栄養素不足によって体調を崩してしまいかねないので、ゆっくり減らしていくべきである。

 そこで、年配の方が足の衰えを防ぐためにも、速足歩きの立案と実践がお勧め。              

 私たち人間は普通、一分間に七十〜八十歩の速度で歩いているが、速足歩きとは百歩前後にスピードを上げること。距離でいえば、一分間に八十メートル以上のスピードになる。合計の時間は、一日に二十分から三十分程度でけっこう。

 姿勢をよくして大きく手を振って、サッサと大股に歩こう。ベストは毎日、少なくとも三日に一回の間隔で行うこと。

 ジョギングなどの強い運動をすると、万病のもとになる活性酸素が体内に発生するため、健康に有害な面もある。緩やかな運動の場合は、脳内ホルモンが出て活性酸素の害を中和してくれる。

 その意味でも、歩くという単純な運動が好適。しかも、歩行筋など多くの筋肉を鍛え、肥満につながる脂肪を燃やすことが可能。さらに、病気に対する免疫力や、自然治癒力を強化する手段ともなるのである。

 毎日の通勤、通学の際、一駅前で下車して歩く、買い物の時いつもより遠くの店へ出向くなど意識的に工夫をしたり、特別な運動プログラムを組んで実践し、継続していただきたい。

■手を鍛練して頭の働きを維持する

 足に続いては、手を鍛錬して頭の働きを維持するプランを紹介しよう。

 人間の脳にあって、手の指の運動を担当する領域は、足の運動野の十倍以上の広さを占めており、互いに連動し合って、手による複雑な動作をも可能にしている。

 そこで、クルミや市販のハンドグリップを両の手のひらで包んで、始終動かすのが、一つの効果的な鍛錬法となる。

 ふだん使わない指を使うことも、効果的。日常、字を書いたり、食事で箸(はし)を使う時、小指や薬指はほとんど使わないため、大脳の運動野や運動連合野などへの刺激も、不完全なものとなっているからである。

 そこで、小指で固定電話のダイヤルを回したり、薬指で携帯電話や電卓のボタンを押したりする習慣を付けると、大脳を十分働かせることに。

 なるべく利き腕でない手を使うことも、一案。片方の手ばかり多用していると、その手を支配する側の脳しか刺激されない。左右の脳を生き生きと働かせるためにも、両手使いを実践したいところ。

 右利きの人ならばボタンを左手でかけたり、箸やナイフを左手で持って食べたりするのがベター。

■趣味と入浴でリフレッシュを図る

 ストレスを解消するリフレッシュ法は、各人各様。香り、音楽や映画鑑賞、スポーツ、旅行、カラオケ、ゲーム、ギャンブル、囲碁、庭いじり、家族や友人との会話などなど。

 健康プランの一環として、特に勧めたいリフレッシュ法は、創作的な趣味と、毎日の入浴である。

 日記や自分史など文章の執筆、絵画や工芸品の制作、楽器の演奏、あるいは男の料理といった趣味を持つと、手を使うために脳をも活性化することになるのが、大きな効用である。

 また、仕事を終えて帰宅したなら、必ず風呂に入って体を温めること。入浴には、皮膚の新陳代謝を促すなど、各種の効用がある。

 こうした夜の時間や休日にリフレッシュを心掛け、ストレスを解消することも、有効な病気予防対策となる。ストレスというものは、自律神経を弱め、免疫力を低下させる原因となるからである。

 時には、自然豊かな保養地に出掛けて、温泉につかることも計画し、実行していただきたい。「一日に数回、温泉につかるのが醍醐味」という方が多いようだが、反復入浴には実際、高い効果が認められている。

 

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