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∥上半身の出物が発する健康情報(5)∥

∥口からの出物をチェックする∥

 

●口などから出るゲップ、クシャミ、セキ

 耳の次は、人間の口からの出物についてである。いうまでもなく、人間の口は、消化器官の一部であり、声帯と一連の発声器官でもあり、その周りには表情筋を張り巡らした表現器官でもある。もちろん、呼吸器系統にも属している。

 この口から発する言葉を主にして、私たちは互いの意思を伝え合っている。実は、そういう人間の言葉というものの根源は音(おん)である。その音の発生を追求すると、宇宙大自然の中に逆上ることになる。音も光も宇宙エネルギーの具現だが、それを感覚で受け止めた肉体が体の中で「気」に変え、自己のエネルギーに変換する力は素晴らしいものである。

 人間が生かされている下半身の無意識、空意識が、上半身の潜在性意識、五官意識に通じてくる時に、肉体の働きとして音というものが発生する。すなわち、音は無意識、空意識という他力から発生して、上半身のほうへ上がってくる途中で、潜在性意識の中を通ってくると、さまざまな編集、組み合わせができて、言葉というものとなって、五官意識から発動するのである。

 音が言葉になる。音が声になる。音声、声が言葉になる。音が歌になる。思えばなかなかに面白い肉体の仕組みである。

 上半身にある口から言葉を上手に発する人は、その言葉の根が空意識、無意識という下半身、下腹にある。無意識層のよくできている人、発達している人の言葉は整然として、内容が立派である。

 本当によい声を出そうとするならば、下腹の無意識、空意識という世界を鍛錬して、腰と腹に力を持ちながら、上半身は空虚にして楽に声を発する、歌を歌うようにすべきである。上半身で力んで、努力して一生懸命歌おうとすれば、かえって楽に声が出ない。色も艶(つや)も味もない歌になってしまう。

 人間の声も、もっと美しく微妙に、立派に出す工夫が必要である。そのためには、呼吸作用を上手にしなければならないし、「気」が浮ついている時には、大きな腹式呼吸をして舌を落ち着かせることである。

 さて、口からの出物の話に移って、まずは胃から口を通って発せられるゲップについてだ。ゲップというと、何となく上からのオナラという感じがすることだろう。しかし、両方の成分を比べてみると、ゲップはほとんど大気と同じで、窒素、酸素、炭酸ガスからなる。オナラとは大違いなのである。

 人間は話したり、歌ったり、食べたり、飲んだり、タバコを吸ったりと口を開閉するたびに、空気を飲み込んでしまっている。普通の場合、食道に比べて胃の内部のほうが少し内圧が高いのだが、食道括約筋によってふたをされているので、逆流しない。ところが、空気がたまりすぎたり、ビールとかコーラの炭酸ガスが入りすぎたりすると、「あんまりじゃないか」と胃が苦しがって、放出してしまう。それがゲップというわけである。

 人によっての違いはほとんどないけれど、その時、胃の中のにおいを持ってくる。欧米ではオナラよりもゲップのほうが失礼になるというのは、食物のにおいを感じさせることが一因であろう。

 ゲップと同様に、口や鼻から音をともなって出てくるものに、クシャミとセキがある。冬には、両方に悩まされる人も多いが、前者のクシャミは、鼻粘膜に異物が付いたり、刺激が加わった時に、これを飛ばそうとする運動である。後者のセキは、気管粘膜の異物や刺激を除こうとする運動である。

 このように、出口は違うのだが、ものすごい速さの呼気を作るという点では、ほぼ同じ動作なのだ。

 もう少し詳しくいうと、クシャミは、呼吸中枢のすぐ近くにあると思われるクシャミの中枢の指令によって起こる。思い切り吸い込んだ息を、鼻腔を目掛けて吐き出す。この時、当然、口にも息が押し寄せるから、もし口を開いたりすると、ツバキまで飛び散ってしまうわけである。

 一方、セキの場合は、セキの中枢の指令で出る。こちらの指令には、「声門と鼻腔を閉じておけ」という内容が入っている。息の吐き出し方はクシャミと同じで、息の流れが声門にぶつかった途端、声門が開かれるということになる。

 声門は意思で開閉できるから、空セキなどという芸当ができるが、鼻腔はいうことを聞いてくれないので、空クシャミはできない。

 普通の呼吸と比べてみると、クシャミやセキでは、吐く息のパワーが全く違う。普通の呼吸に使う筋肉は、横隔膜が主で、外肋間(ろっかん)筋と内肋間筋が肋骨を広げたり、狭めたりというアシストをしている。

 これがクシャミやセキとなると、がらりと態度を変えてしまうのである。まず、使う筋肉では、補助呼吸筋と呼ばれ腹壁周辺の筋肉七種以上が助っ人する。場合によっては、足腰の筋肉まで使うという物々しさなのである。クシャミをしたら腰を痛めた、などという人がいる理由が納得できるだろう。

 深く息を吸った後、これらの筋肉が力任せに収縮して、肺は猛烈に圧迫される。その結果、吐き出される呼気のスピードは、秒速二百~三百メートルという亜音速なのである。

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●アクビは大いに奨励すべきもの

 口から出るものの一つとして、アクビという吐息、深呼吸もある。人間なら誰もが、長い会議に出席したり、退屈な講演や授業を聞かされると、アクビが出そうになるもので、、一般には「眠い」、「疲労」、「退屈」と、ろくなイメージがないことだろう。

 人間工学の立場から、単調労働とアクビの関係について研究した大学教授もおられる。工場の組み立てラインや検査ラインに働いている人たちを観察したところ、仕事開始から三十分くらいは変化がないが、三十分すぎる頃から注意力が落ちてきて、能率が落ち始める。そこで何とかカバーしようとして、姿勢を変えたり、隣の人と短いおしゃべりをして、気持ちをしっかりとさせている。

 ところが、開始六十分頃になると、もう、そんな努力ができなくなって、姿勢も動かなくなり、アクビが出始めるという。新幹線の運転手のデータをとった時も、六十分でアクビが出てしまったという。

 その結果からわかったのは、人間が大きな変化のない仕事を続ける場合の限界は六十分とみられることだ。つまり、「これ以上続けても、大脳生理学からいって効率はよくない」とサインしているのが、アクビだというわけだ。

 六十分やってアクビが出た時は、二十分休憩というのが理想で、これでほとんど能率が回復する。少なくとも、十分は休憩したほうがいいようだ。

 一方、「アクビは深呼吸の一種であって、特別な意味はない」という医学関係者もいる。

 それによると、疲れた時だけでなく、緊張が続いてもアクビが出そうになる。緊張した時も、「息を詰めた」状態なので、血液に酸素の借りができる。あまりに借りると「返せ」といわれるのはどこでも同じで、それがアクビというわけである。しかも、このアクビという深呼吸の後は、しばらく無呼吸状態になるので、派手なアクションのわりに返済額は大したことがないというのである。

 授業や会議中にアクビが出そうになったら、何回かに分けて大きめの深呼吸をすれば同じことだが、緊張すべき時が終わったら、なるべく派手なアクションをすれば、リラックス効果があるそうだ。

 編集子にいわせれば、アクビは体内の悪疲、悪ガス、圧力の放出法である。アクビは疲れを「気」に変えて、体外に放出する自然作用だから、大いに奨励すべきものである。

 誰もが仕事に飽きたら、アクビをせよ。これが前夜の睡眠不足が原因では怠け者の象徴となるが、気分転換、心機一転の機会ごとに、着想が新しく、新しくと進んでゆくのがよい。そうすれば、意識は前向きで元気が出る。

 こうするために、お茶を飲んだり、タバコを吸ったりするが、一番簡単で無害有効なのは、伸びとアクビである。単調労働に従事している人や、事務仕事の多い人は人工的に、時々、伸びやアクビをする癖をつけておくと、習慣的に、条件反射運動的に、疲れがたまると、すぐに伸びやアクビが出るようになる。努めて、このような自然機能が発動するような体勢、体調にしておくことである。

●筋肉を伸ばせば頭がはっきりする

 俳人高浜虚子は、「五十ばかりアクビをすると一句浮かぶ」という特技を持っていたそうである。

 頭の働きに活を入れようと思ったら、筋肉を引き伸ばすことが一番なのであるが、人間が無意識に実行している典型的な例が、アクビなのである。

 筋肉が引き伸ばされた時、その中にある感覚器の筋紡錘からは、しきりに信号が出て大脳へ伝達される。大脳は感覚器から網様体経由でくる信号が多いほどよく働き、意識は高まって、頭ははっきりするようにできている。

 アクビも、咬筋(こうきん)といって、上顎と下顎の間に張っており、食べ物を噛(か)むのに必要な筋肉を強く引き伸ばすものであることを思えば、俳人の特技ももっともな話だ。

 アクビは「血液の中の炭酸ガスを追い出すための深呼吸」だと説いている書物が圧倒的だが、アクビは「頭をはっきりさせるための運動の一つ」でもあるのである。

 それでも納得いかないという方にも、わかってもらえるような例を挙げる。

 今まで眠っていた猫が目を覚まして、行動を起こそうという間際には、決まってアクビをし、続けて背伸びをしている。我々も、これから起き出そうという際には、伸びをしたり、アクビをする。

 ともに筋肉を伸ばすことによって、頭をはっきりさせる効果があることは、ご承知の通りである。

 退屈な講演や授業を聞かされた時のアクビが、頭をはっきりさせて、何とか目を覚ましていようという、無意識の努力の現れだとしたら、ただ「行儀が悪い」としかりつけたり、腹を立てたりはできなくなる。

 アクビは自然の覚醒剤。したい時には、いつでも堂々とやりたいものである。先のゲップや放屁と同様、エチケットに反することになるのは、いかにも残念だが。

 ついでながら、咬筋の収縮を繰り返しても、同じような効果があるので、ガムを噛むのは結構なこと。アメリカの野球選手は、例外なくガムを噛みながらプレーしている。

 同じ意味で、パソコンやワープロに向かう際には、立ったままで仕事をするのもいいだろう。人間が立っている時も、意識には上らないけれども、百くらいの筋肉が働いているから、腰掛けて筋肉をダラッとさせている時より、頭はずっとさえるはずである。

 だから、学校の朝礼において、「気をつけ」と不動の姿勢をとらせての訓示は、休みの姿勢で聞くより効果的なのだ。疲れて電車に乗っても、立ったままではなかなか眠れない。それが腰掛けると眠ってしまうのも、同じような理由によるのである。

 では、腰掛けるのと座るのとは、どちらが頭の働きをよくするかというと、太股(ふともも)の筋肉がより強く引き伸ばされるようになる座り方だろう。説明してきた通り、筋紡錘からの信号は、筋肉が引き伸ばされた時に、しきりに出るものだからである。

 また、座りっ放しで仕事をしている人にとっては、体の伸びを取り入れた簡単な運動が気分転換に大いに役立つだろう。

 椅子(いす)に腰掛けるたびに、腕を精いっぱい伸ばし、深呼吸をする。十分か十五分おきに、きちんと椅子に座り直して、肩を回し、体をリラックスさせる。三十分おきに、椅子の背にもたれて、十分に体を反らせる。電話を手元におかず、少し離しておく。当然ながら、電話のたびに手を思い切り伸ばさなければならないので、腕の運動になる。立ち上がるたびに、前かがみになって、足先をつかむようにするなどだ。

 それぞれ本当に簡単な運動ながら、これらを習慣的に実行すれば、緊張を解きほぐし、やる気を呼び起こす上できわめて効果的である。

 

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