自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾// 人体 人体 人体 人体 人体

∥上半身の出物が発する健康情報(1)∥

∥自分の顔をチェックする∥

 

●自分の顔を見れば病気がわかる

 人相、容貌がその人の性格や経歴との一致率が高いことは、すでに述べてきたことであるが、この人間の顔というものはその人の健康状態を判断する場合にも、非常に役立つものである。

 外形的な目鼻立ちのほか、表情、顔色、黒目、白目、唇、皮膚の状態など、まことに多くを教えてくれる。精神状態をよく教えてくれるのも顔で、とりわけ表情と目の状態が多くを語る。

 医者の臨床診断や健康診断に際しても、顔はきわめて有力な情報源となる。患者の顔を見て病気を判断するのは、西洋医学で「視診」、東洋医学で「望診」といって、東西両医学がともに行っていること。顔から病気を見て取ろうとするのは、ごく日常的な診察法の一つなわけだ。

 名医といわれる人なら、顔を見ただけで、患者の病気と、その症状をピタリと見抜くという。

 昔の名医には、糸脈で診断できる人がいたそうだ。いくら名医でも、腕に糸を巻いて、その先を隣の部屋で持っただけで病気の診断をすることは、眉唾物である。しかし、十数年間も臨床検査を行って病人の顔を見ているうちに、いつの間にか顔の変化を見ただけで診断がつくようになったという名医は、実際に存在する。

 人間の顔には、健康状態を示すシグナルが表れており、経験を積み重ねた医者はそれを的確に読み取り、病気の状態を認知できるようになるためである。

 治療の方法は違うが、西洋医学であろうと、東洋医学であろうと、これは同じであり、名医といわれるほどの医師は同じ能力を備えているはずだ。

 西洋医学の診察法の一つである視診は、体付き、動作、顔などから、患者の健康状態を判断する診察法。視診は、患者が診察室に入ってきた瞬間から始まり、動作が緩慢ではないか、一方に片寄った歩き方をしていないか、前かがみになって歩いていないかなどを見る。

 例えば、動きがぎこちなく、ゆっくりしていると、パーキンソン病の可能性があり、一方に片寄った歩き方をしていると、脳卒中や小脳の異常などが疑われる。歩き方が緩慢で、前かがみになっている時には、うつ病、筋力の低下、パーキンソン病、内耳疾患などが疑われるようだ。

 わけても、内科では主に、患者の顔の色を重要視する。青白いか、紅潮しているか、黄だんがあるか、紫はんがあるかなどである。そのほか、顔では髪の毛の状態、目、唇、舌、歯肉なども、注意して視診される。

 もちろん、西洋医学の診察では、視診とともに、問診、触診、打診、聴診も行って、身体的検査や、脈拍・体温などの生命力データのチェックに加え、血液や尿の検査により循環、排泄(はいせつ)機能などを調べて、総合的に病気を判断する。

●顔で病気を予測する東洋医学

 西洋医学に対し、東洋医学の漢方は、検査機器の少なかった古代中国で確立された医療である。そのため、西洋医学とは異なり、診察は患者の顔や体の状態を見たり、聞いたりすることだけで判断される。

 基本となるのは望、聞、問、切の四診といわれる方法で、西洋医学の視診に相当するのは、この四診の中の望診に当たり、陰陽、虚実、表裏、寒熱の基準によって判断する。人間の体力の充実度については、虚、実という尺度で表され、体力があり、病気に対する抵抗力がある状態を実証とし、その逆の体力のない状態を虚証と見なす。

 人間の健康状態を、どの時点で問題があるとするかについても、東洋医学は西洋医学と大きく異なっている。病気というのは本来、顔を見ただけで病名がわかったり、検査で異常値が出たりした状態になってからではもう手遅れだとして、病気になる前に前兆を予測し、対策を講ずることが大切と考えるのである。東洋医学は西洋医学と比べて、病気にならないようにすることを特に重要視するわけだ。

 望診で注意するのは、西洋医学と同様、自律神経などの神経が多く表面に表れている顔と手。顔では輪郭、顔色、髪の毛、眉毛、目、耳、鼻、口などの状態を詳しくチェックする。

 そのほかには、姿勢、声、呼吸の仕方などにも注意を払い、それぞれ実証か虚証かを判断していく。例を挙げれば、顔色は青白いのが虚で、赤みがあるのが実、口はつい開いてしまうのが虚で、締まっているのが実といった具合である。

 その際、人間の顔は艶や張りがあり、赤みを帯びた状態が一般的には良好とされているが、東洋医学では、それのみを重要視するわけではない。

 健康を長いサイクルで判断し、天寿を全うできることを最大の目標としているため、顔の色艶がよく、脂ぎっていて、活力にあふれた状態は実証とされ、問題も抱えていると見られる。バイタリティーがあり、元気すぎるほどの人は、四、五十代で疲れてしまい、途中で高血圧症などの病気になりやすく、突然死んでしまうことも多いからだ。

 反対に、顔色が青白く、弱々しい人は虚証とされるが、世間で考えられるほど問題があるとは見なされない。体が弱い人は、体力がなくて無理をしないので、逆に長生きをすることが多いからである。

 東洋医学では、実証と虚証の中間の状態が、最もいいとされている。

 また、東洋医学には昔から平田氏帯という研究があり、これは顔の部分の変化によって、疾患を診断する方法である。

 この要点を略記してみると、男性ホルモンの過剰な人は頭がはげてくるし、婦人に子宮の疾患があると、前額に局限してニキビができることがある。便秘症の人は、鼻の付近に湿しんができる。

 観相術で見ても額は生まれつきの相というが、この部分が赤くテカテカ光っていれば、糖尿病である。

顔の中央は中年相で、このあたりがどす黒くなったり、頬にチョウ型の染みができたりしている人は、肝臓障害である。

 下顎のあたりが貧弱で、吹き出物ができていれば、胃腸障害、唇に水疱(すいほう)が生じて、治らない時は心臓が悪い、といった具合である。

●目の色や声に表れる「気」を診る

 かくのごとく、顔から病気を認知する方法が確立されているのは、人相が病気とつながりがあるからこそである。

 観相のほうから調べてみても、下顎は晩年の相を表し、下顎が発達し、円満な人は長寿であるとされている。漢方医のほうでも、下顎の貧弱な人は胃腸が弱く、短命であると考えている。

 言い換えれば、下顎がよく発達し、胃腸が丈夫な人はいわゆる福相で、「胃腸の丈夫な人に病なし」の格言の通りである。

 昔から「エビス、ダイコク、福の神」という言葉があるが、いつもニコニコしている人は、おおむね長生きである。私たちの周囲を見回しても、七十歳以上生き永らえている健康な人は、福相が多いはずである。

 つまり、楽しく、愉快な生活を送っているから、自然と人相まで福々しい顔になったものと思われる。

 これに反し、怒りっぽい人に胃潰瘍(いかいよう)が多かったり、ヒステリーの女性が神経系統の病気にかかりやすいのも、そのためである。

 その点、もしも既婚者が改めてお嫁さんをもらうなら、オカメの面のような下膨れをした、ニコニコしている娘さんを選ぶのもよいだろう。

 ともあれ、東洋医学でも、西洋医学でも、その診察に際しては、患者の顔や体から病気を判断するとともに、顔や体に表れる精神力をも判断しようとするものである。目に見えないエネルギーというか、生命力、東洋医学では「気」という概念で表現されているものである。

 同じ病気でも、患者の顔から「気」が出ている場合と出ていない場合とでは、大きく違う。「気」が出ていると、顔に生気が戻り、表情が明るくなって、病気は次第に治っていくのである。

 東洋医学では、「気」は目の色や、話す声に表れるとされている。目の動きが活発で、輝き、声に張りがある状態が、「気」が充実した状態である。

 実は、望診で一番むずかしいのは、この「気」を診ること、患者のエネルギー、生命力を見抜くことなのだ。

 ここまでの説明で、医者の視診、望診という顔から認知する病気判断の必要性がわかったことと思う。また、こうした面接や問診の場合は、じっくりと聞くという医者側の姿勢が、患者の苦しみや病像を知る上で、基本的に大切なのである。

 だが、最近の西洋医学においては、検査データばかりを見て、患者の顔をしっかりと見ない医者が少なくない。病棟回診の医者が「お変わりないですね」と、おざなりに声を掛けるだけで、サッといってしまうだけでは、患者の心にも不満が残ってしまうというものだ。

●自分の顔を鏡に映し、よく点検

 一般家庭における健康管理の問題についても、同じ傾向が見られる。昔の家庭では、母親たちが家族の顔色、表情に注意し、健康点検に役立たせたものだが、最近の母親は世情の慌ただしさの影響を受けてか、家族の顔をあまり注意しない兆候があるのは残念だ。

 また、テレビの影響のためか、夫婦でさえも、お互いの顔をちゃんと見る機会が少なくなり、お互いの健康状態のチェックがなされない傾向が強い。

 一般に、日本では健康管理の仕事を、医師や保健婦といった医療の専門家たちの仕事と割り切り、あなた任せの風潮が強い。

 この点、西欧諸国の人たちのように、健康は人生の幸福と考え、ヘルスケアは自分自身でやる仕事で、自分で手に負えない場合に専門家の指導を受ける生活態度を、私たちは学ぶ必要がある。

 少なくとも、毎朝一分間でよいから、自分の顔を鏡に映し、顔色、顔の表情、目、鼻、口の状態を点検してほしい。

 コンピューター会社に勤めるOLのA子さんは、毎朝自分の顔の点検を続けていたお陰で、ある朝白目が何となく黄色っぽいのに気づいた。約一カ月残業が続き、疲れがたまり気味で体もだるい。会社の健康管理室を訪ねたところ、急性の肝臓炎と診断され、緊急入院をした。幸い早期発見のため、約一カ月の入院で回復できた。

 大阪にある大学のB教授は、ある朝、目尻の上に米粒大の腫瘤(しゅりゅう)があるのに気づいた。早速、大学の付属病院の友人に診察してもらったところ、血液中のコレステロールが異常に高く、黄色腫と呼ばれる脂肪の塊ができたことが判明し、約二カ月間の厳しい食事療法でやっと高脂血症状態から脱出し、黄色腫をなくすことができたのである。

 誰もが毎朝、自分の顔を鏡に映し、数分間の点検を心掛けよう。睡眠不足や二日酔いの時は、何ともさえない顔が鏡に映る。

 こんな場合は健康の危険信号で、必ずそこには健康を損ねる原因が潜んでいる。早く、その原因を取り除き、その回復に努めてもらいたい。

 また、このようにして、その朝、その時、その日の人間の表情や、血色、気分、健康状態について考えてみると、それはよいにつけ、悪いにつけ、そのままが天の印でないものは一つもないことに気づくであろう。

 寝不足をすると、すぐ翌日の疲れとなり、顔の表情にも活気がなくなるというような一事にも、人間を生かしてくれている宇宙天地大自然の営みに反した印が、すぐその翌朝の表情に出ることを知る。

 従って、人間の今日、ただいまの表情に、私たちは天の印を見ると同時に、その人がどれだけ天の営みにのっとっているかどうかも、その表情からうかがい知ることができるのである。

 人間の一生涯は、片時も天の営みから離れてはならず、人間は何よりも、その営みに従うことを心しなくてはならない。

 だから、人間が生涯にわたって、その時々に応じての美を満喫したければ、常に天の営みにのっとって最高度の健康を保持するがよい。十分睡眠が足りて、心の平らかな健康そのもののような朝は、気分がよいのみか、自己の顔にほれぼれするような頼もしさを感じるだろう。

 顔の美の根源は睡眠にあり、健康にある。肉体にある。体の中から本質的に美が発動してくれば、心は健となり幸となる。血色はよくなり喜色がみなぎり、能力が出る。健が賢に通じ、康が幸となるということがよくわかる。

 

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