乱視/四百四病の事典

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∥四百四病の事典∥


乱視

■角膜の球面の異常により物の形をはっきり見られない状態

 乱視とは、遠くの物を見る時も、近くの物を見る時も、ともに視力が悪く、網膜上に1点として像を結ばない状態。がちゃ目とも呼ばれます。

 水晶体が乱視の原因となっている場合もありますが、多くの場合は角膜が原因となっています。正常な人では、角膜は横方向も縦方向もほぼ同じカーブをしています。乱視の人では、カーブの度合いが、横方向と縦方向で異なります。このために、横方向と縦方向とで屈折力に差が生じ、網膜上にはっきりとした像を結ぶことができないのです。

 生物の目は完全ではないため、万人が乱視の要素は持っています。軽い乱視では、視力障害が少ない場合もあります。ある程度以上の乱視では、遠方視、近方視ともに物が見にくかったり、片目で見ても物が二重、三重になるなど、ずれた像となることがあります。調節性の眼精疲労のため眼痛、頭痛を生じる場合もあります。その他、夜間に見えにくくなることもあります。

 このような症状は、軽い乱視でも年齢が進むに従って現れてきます。乱視のために、特に低年齢で弱視を生じることもあります。

 乱視には、不正乱視と正乱視の2種類があります。

 不正乱視とは、角膜の表面が凸凹不整となっているもの。円柱レンズの眼鏡では矯正できません。角膜の外傷や、円錐(えんすい)角膜、翼状片などによる角膜の非対称的なゆがみ、加齢性変化による白内障などが原因となって生じます。まれに、水晶体の外傷による亜脱臼(あだっきゅう)、円錐水晶体などの水晶体疾患などが原因となります。

 近年、不正乱視は高次収差とも呼ばれるようになり、波面センサーという機械を用いることで、その光学的特性などを分析することができるようになりつつあります。高次収差をその特性で大きく分けると、いわゆるピンぼけを生じる球面収差と、彗星(すいせい)の尾のように網膜に結像させるコマ収差の組み合わせともいえます。

 一方、正乱視とは、角膜または水晶体が正しい球面ではなく、いびつな形をしているもの。円柱レンズの眼鏡で矯正できます。一般に乱視といえば、この正乱視のことを指します。

 円柱レンズとは、円柱を軸に平行な平面で切り取ったものです。軸方向には屈折力がありませんが、軸と垂直方向に屈折面があるレンズで、凹と凸の円柱レンズがあります。その円柱レンズと球面レンズの組み合わせのパターンにより、近視性乱視、遠視性乱視、混合(雑性)乱視に分類されます。

 別の分類方法として、屈折力が強い強主経線が垂直方向の直乱視、同じく強主経線が水平方向の倒乱視、強主経線が斜めの方向である斜乱視という3種類に分ける場合もあります。このうち、直乱視が正乱視の90パーセント程度を占めます。

 さらに、強主経線の一方が正視つまり球面レンズでの矯正を必要としない単乱視、強主経線とそれに直交する屈折力が弱い弱主経線が、どちらも遠視もしくは近視である複乱視、強主経線が近視で、かつ弱主経線が遠視である混合(雑性)乱視という分類方法もあります。

■乱視の検査と診断と治療

 医師による視力検査では、放射状の線からなる乱視表を使います。乱視なら、ピントが合っていない方向の線ははっきり見えますが、ピントが合っている方向の線はぼやけて、あるいは二重に見えます。つまり、ピントの合う合わないと線がぼやけるぼやけないは、逆の関係にあります。

 乱視の治療としては、眼鏡をかけたり、コンタクトレンズを使用したりします。しかし、不正乱視の場合は眼鏡で矯正するすることはできないので、コンタクトレンズを使用します。

 角膜のゆがみによる正乱視は、円柱レンズまたはハードコンタクトレンズによる矯正が一般的に適しています。最近では、ソフトコンタクトレンズでもトーリックレンズと呼ばれる乱視矯正レンズも多種あるものの、矯正可能な乱視屈折度数が限られていて、まばたきなどでコンタクトレンズの軸ずれが生じ、きっちりと乱視を矯正することがハードコンタクトレンズに比べてやや難しい面があります。

 水晶体が原因である正乱視は、コンタクトレンズでは矯正できません。また、特に子供では乱視による屈折異常弱視(経線弱視)が発生しやすいので、眼鏡処方を行うことはとても大切なこと。眼鏡が顔に対して位置ずれを生じると矯正効果が大きく変わるので、眼鏡の顔に対するフィッティングもしっかり行うことが大切です。

 不正乱視の治療は、その原因が角膜の形状異常によるものであれば、第一選択としては、やはりハードコンタクトレンズが適しています。ただし、水晶体が原因である不正乱視は、水晶体が原因である正乱視と同じくコンタクトレンズによる治療では矯正できません。

 現在、近視や乱視は、エキシマレーザーによる角膜のレーシック(屈折矯正手術)により、屈折度数には制限があるものの、矯正することがある程度可能になってきています。さらに、補償光学と呼ばれる方法で、不正乱視もある程度ならば治療可能になりつつあります。

 ただし、このようなレーシックは、手術適応か否かなどを明確に診断できる眼科専門医の知識がなくては不可能です。簡便で安価な非眼科専門医の施設で手術を受け、とんでもないことになってしまったケースが、多く報告されています。レーシックを受ける場合は、まず眼科専門医に相談することが肝要です。

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