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∥四百四病の事典∥
ファロー四徴(しちょう)症とは、四つの病変を合併する先天性心臓病。チアノーゼが出現する心臓の複合異常の代表的なもので、日本では先天性心臓病の約14パーセントを占めると見なされています。
合併する四つの病変とは、(1)心室中隔欠損、(2)肺動脈狭窄(きょうさく)、(3)大動脈騎乗、(4)右心室肥大です。心室中隔欠損は、心臓の4つの部屋のうち右心室と左心室を隔てる心室中隔という筋肉の壁に欠損口が開いている状態。肺動脈狭窄は、右心室から肺動脈へと通じる通路が狭い状態で、肺動脈の弁の下の筋肉の壁が分厚くなって生じており、多くは漏斗部狭窄です。
大動脈騎乗は、通常であれば左心室だけにつながる大動脈が心室中隔欠損の上にまたがる形になり、右心室と左心室の両方の出口となっている状態で、両心室内の血液が主として大動脈へ流れ出します。右心室肥大は、通常であれば壁が薄く、きゃしゃな構造の右心室が出口が狭くて、心臓の収縮期の血圧が高いために、その血圧に対抗して壁が分厚くなっている状態です。
ファロー四徴症においては、全く関連のない四つの病変がたまたま複合して出現したわけではありません。胎生期に心臓が形作られる過程で、心臓の出口の部分の大動脈と肺動脈の間の仕切りと、それを支える右心室と左心室の間の仕切りがねじれ、その間の壁に心室中隔欠損を生じて、四つの病変が派生してくると考えられています。
なお、疾患名は、フランスの医師ファローが1888年、最初に詳細な報告をしたことに由来しています。
症状としては、右心室の静脈血が大動脈に多量に流出するために、酸素の足りない血液が全身に回るチアノーゼが出現し、唇やつめの色が青紫色になります。そのほか、指先が膨らんで太鼓のばちのようになるばち指がみられ、呼吸困難、発育障害がみられます。
ファロ-四徴症の乳幼児のチアノ-ゼは常に同じ程度なのではなく、ふだんは気が付かない程度に軽くても、入浴時や排便時、泣いた時、息んだ時に強く現れます。とりわけ、ほ乳時や泣いた後に、チアノ-ゼと呼吸困難が強くなる無酸素発作を起こすことがあり、注意が必要です。
重症になると、酸素不足のために引き付けを起こしたり、場合によっては命にかかわることがあります。3歳をすぎると無酸素発作の頻度が減るのが普通ですが、運動後などに無意識にしゃがみ込む姿勢が見られるようになります。うずくまって休むと、症状が軽くなるためです。
チアノ-ゼの出方は、肺動脈狭窄や大動脈騎乗の程度によってさまざまで、ほとんどチアノ-ゼの出ない場合もあります。
ごくまれに、成人期に達するまで気付かれずに経過する場合があります。疾患の程度にもよりますが、全く未治療で成人に達するのは10人に1人程度の確率とされています。無酸素発作のほかにもチアノ-ゼ状態によって起こりうるいろいろな合併症を来すため、早期の外科治療が大変重要です。たとえ成人期に達してからでも、手術をすれば症状が改善し、楽になります。
■ファロー四徴症の検査と診断と治療
心臓超音波検査で、ファロ-四徴症の確定診断がつきます。手術を行う場合には、その前に肺動脈の正確な形態や、心室中隔欠損の位置、心臓を養う血管である冠動脈の走行、まれに合併する肺に流れ込む異常血管の有無などを調べるために、心臓カテーテル検査を行います。
無酸素発作を度々起こすような時は、ベータブロッカーと呼ばれる種類の薬を内服して、発作を予防することもあります。なお、保護者が乳幼児の無酸素発作に気付いた場合は、胸膝(きょうしつ)位といって足のひざを腹に押し付けるようにします。この姿勢をとることにより、体よりも肺に血液が流れやすくなって発作を収められるのです。また、なるべく泣き続けるような状況にしない、便秘にしないなどの注意が必要です。
ファロ-四徴症の治療は、基本的には外科手術となります。第一選択となるのは、心臓を切開して行う開心術により、人工心肺の機械を用いて心臓の中を治す手術で、根治術と呼ばれます。まず、心室中隔の欠損口を閉じて、肺動脈の狭いところを広げます。肺動脈の弁の下の筋肉の張り出しによる狭窄は、筋肉を切除します。肺動脈の弁そのものが狭い場合や、その先の肺動脈の分岐が狭い場合は、狭い部分にパッチを当てて狭窄を解除します。
手術を行う時期は、手術のリスクと、手術を待っている間のチアノ-ゼによる合併症のリスクとのバランスを考慮して、決まります。心臓外科の進歩に伴って、低年齢化する傾向をたどっており、現在はだいたい1歳前後に手術を行う医療施設が多くなっています。
根治術ができない場合には、鎖骨下動脈と肺動脈を人工血管でつないで、肺血流を増加させる待機的手術が行われます。これはブラロックトーシッヒ手術、BTシャント術などと呼ばれ、チアノ-ゼが軽減され、無酸素発作の予防になります。高度の肺動脈狭窄や左心室の低形成を伴う場合、無酸素発作を伴う低体重の乳児の場合、冠動脈の異常を伴う場合などに選択されます。待機的手術後に開心術を安全に行うための条件が整えば、根治術が行われることもあります。
根治術後のファロー四徴症の予後は、良好です。多くの場合、制限のない日常生活が見込まれ、女性であれば妊娠、出産も健常人と同様に可能となります。しかしながら、血液の流れの上ではチアノ-ゼは完全になくなりますが、心臓そのものが全く正常の心臓に変わるわけではないので、根治術後も定期的なフォローアップが必要です。
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