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∥四百四病の事典∥
ビタミン過剰症とは、ビタミン剤やサプリメントの飲みすぎ、特定の食品の取りすぎによって生じる疾患。普通の食生活をしている限りでは、まず起こらないといってよいでしょう。
ビタミンB群、ビタミンCのような水溶性のものは、過剰に摂取しても尿からどんどん出るので、過剰症を心配する必要はほとんどありません。これに対して、脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンKは、過剰に摂取すると体内、ことに肝臓に蓄積されて、いろいろな症状が起こってきます。脂溶性ビタミンのうちビタミンEは例外で、過剰症の可能性は低いとされています。
ビタミンA過剰症では、頭痛、嘔吐(おうと)、めまい、下痢、鼻血、食欲不振、体重減少、脱毛、皮膚や粘膜の剥脱(はくだつ)などの症状とともに、骨がもろくなり、肝臓の機能も悪くなります。妊婦においては、著しく大量のビタミンAを服用したため、胎児に奇形が生じた例が報告されています。
ビタミンD過剰症では、骨からカルシウムが分離し、関節、腎臓(じんぞう)、心臓、膵臓(すいぞう)、皮膚、リンパ節などにカルシウムがたまります。そのために、骨がもろくなったり、腎臓の機能が悪くなり、尿毒症になることもあります。現れる症状は、全身倦怠(けんたい)感、口渇、食欲不振、吐き気、頭痛、皮膚のかゆみ、多尿、便秘、脱水、腎障害、精神抑うつなどです。
ビタミンK過剰症では、呼吸因難、皮膚水疱(すいほう)、新生児溶血性貧血が現れます。
ビタミンA過剰症はビタミンAの服用を、ビタミンK過剰症はビタミンKの服用を中止すれば治ります。ビタミンD過剰症の治療も、ビタミンDの投与をやめることですが、いったんカルシウムが石灰化して腎臓に沈着すると、なかなか取れません。ビタミンDの過剰摂取には、特に注意する必要があります。
これはビタミンDだけに限らず、ビタミンA、ビタミンKについても同じですが、市販の総合ビタミン剤などをやたらに飲んだり、子供に飲ませることは、かえって害があります。注意書きにある指示量を守るようにしましょう。
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