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∥四百四病の事典∥


●肥満●

■内臓脂肪型の肥満に注意を

●病気にかかる割合が倍増

 あなたは最近、おなかの回りが気になりませんか? 現代人の多くが悩んでいるのが太りすぎで、肥満に伴う生活習慣病も増加しています。

 この肥満とは、体内に占める脂肪の割合が多い状態のことです。食事から得た摂取エネルギーが消費エネルギーよりも多い時、脂肪細胞は余ったエネルギーを蓄えます。その状態が続くと、脂肪細胞の数が増え、一つ一つの脂肪細胞も大きくなるのです。肥満の人においては、エネルギーの摂取、利用、蓄積、放出というメカニズムが、正常に機能していないことになります。

 肥満には、皮下に脂肪がたまる「皮下脂肪型」と、肝臓や腸管などの周囲に脂肪がたまる「内臓脂肪型」があります。

 皮下脂肪型肥満は若い人や女性に多く見られ、付きにくくて落ちにくいのが皮下脂肪の特徴。

 一方、内臓脂肪型肥満は男性や閉経後の女性に多く見られ、付きやすくて、かつ落ちやすいのが内臓脂肪の特徴で、40~50代から徐々に増えていく傾向があります。

 後者の内臓脂肪型の肥満が特に健康に悪影響をおよぼすことが、近年わかってきました。このタイプの肥満の人は、健康な人に比べて1・5~2倍近く、病気にかかりやすいと見なされています。   

●内臓脂肪型肥満とは 

 内臓脂肪が増加すると、脂肪細胞から糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化などを引き起こす「生理活性物質」が、体内に多量に放出されます。高尿酸血症や脂肪肝にもつながります。

 その他の肥満のリスクを挙げれば、まず心臓などの臓器に負担がかかります。腰や脚の関節も痛めやすくなります。脂肪がたまって胸郭の動きが悪くなると、呼吸の力が弱まるため、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすケースもあります。女性の場合は、生理不順を招きやすくなります。 

 太り方で肥満の型を見分ける場合、下半身に脂肪が付いた「洋ナシ型」は皮下脂肪型肥満、おなかの回りがポッコリ張り出してくる「リンゴ型」、いわゆる太鼓腹は内臓脂肪型肥満の可能性が高い、と考えられます。

 次に、肥満男性の場合、おなかを指でつまんで、つまめる脂肪が薄いほど皮下脂肪が少なく、危険な内臓脂肪がたまっています。特に、おへそ回りの腹囲が85センチ以上の男性は、注意が必要です。

 女性の場合、女性ホルモンの働きで内臓脂肪は付きにくいのですが、肥満になると皮下脂肪とともに内臓脂肪も増えます。そのため、腹囲が大きいほど内臓脂肪がたまっており、特に、おへそ回りが90センチ以上の女性は、注意が必要になります。 

●肥満度チェック

BMI(体格指数)

 体重と身長から肥満度を判定するのがBMI(=Body Mass Index)。成人にのみ当てはまり、個人差があるので目安として利用します。

 BMI=体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長(メートル)

 日本肥満学会による判定基準では、

 18.5未満    ⇒⇒やせ 

 18.5以上25未満⇒⇒普通(22が最も有病率が低い)

 25 以上    ⇒⇒肥満

体脂肪率

 電気が流れにくいという脂肪の性質を利用し、体に微弱な電流を流して計測するのが体脂肪率。正確に測ることは難しく、あくまでも目安として利用します。内臓脂肪などの状態をきちんと調べるためには、CTスキャン検査が必要となります。

 成人男性 25パーセント以上⇒⇒肥満

 成人女性 30パーセント以上⇒⇒肥満 

■心掛けたい「肥満」対策

●体重を5パーセント減らす

 健康で長生きするためにも、肥満の解消は重要なことです。肥満により糖尿病になった人でも、体重を5パーセント減らすだけで、かなり症状が改善します。例えば、体重が80キロの人ならば、月に1キロ弱ずつ減らすようにして、3カ月から半年間で76キロにすればよいでしょう。

 急な減量を試みると、必要な栄養素を摂取することができず、かえって体調を崩してしまうので、ゆっくりと減らすように心掛けましょう。

●バランスのとれた食事を

 食事の内容は、年齢相応の適切な摂取カロリーを考え、栄養バランスのよいものに。砂糖や脂肪分のとりすぎに注意し、緑黄色野菜を積極的にとります。

 反対に、まとめ食い、とりわけ一日の食事量の半分以上を夜間に食べるのは、内臓脂肪を蓄積するので禁物。

 また、タバコを吸うと体脂肪の分布が変化し、内臓脂肪が付きやすくなるので、注意しましょう。

●食生活を見直す

 肥満が気になる人は、毎回の食事量を2~3割減らし、ゆっくり、よくかんで食べることを実践しましょう。間食の多い人の場合は、毎食の食事をきちんととり、間食は量と時間を決めて1回に。

 揚げ物、脂の多い物は、控えます。また、味付けが濃いとご飯もお酒も進んで、食べすぎにつながりがちですので、だしをしっかりとり、塩分、糖分を控えた薄味にしましょう。

 ワカメ、寒天、ヒジキ、昆布などの海藻、青菜、根菜といった野菜類など食物繊維の多い食材を毎食、とり入れましょう。さらに、動物性脂肪を減らして、魚、豆類をとり、穀類は大麦やヒエ、アワといった雑穀などを加えて、食物繊維やミネラルを増やしましょう。油脂では、植物性のオリーブオイルや魚の油脂がお勧めです。

●有酸素運動を行う

 肥満が気になる人にとっては、食事の見直しだけでなく、有酸素運動も必要です。運動不足になると、基礎代謝が減少し、貯蔵エネルギーが増えやすくなるからです。

 運動を併せて行えば、筋肉を落とさず、さらに脂肪を燃焼することができます。短距離走や重量挙げのような無酸素運動は筋力を増やし、ウオーキングなどの有酸素運動は脂肪を燃やします。特に、内臓脂肪は運動で減りやすく、これもまた欠かせないのです。

 どなたにもお勧めできる運動としては、ウオーキング、ジョギング、ラジオ体操、水泳などの全身を使う有酸素運動が挙げられます。これらの運動は週に3回以上行う必要があり、軽い運動なら毎日から1日置きとし、休日などを利用して十分な時間をとるのがよいでしょう。

 運動の強度については、いきなり強い運動をしないこと。軽い運動から始めて、徐々に慣らしていくのがよいでしょう。ウオーキングを主体にして、ダンベルなどを利用した筋力トレーニング、ストレッチも併用するのが、一番のお勧めです。

    

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