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∥四百四病の事典∥


脳炎

●減っている日本脳炎、はしか脳炎

 脳炎とは、ウイルスなどが原因となって、脳に炎症を来す疾患です。時には髄膜炎を伴い、髄膜脳炎の型をとることもあります。

 原因となるウイルスには、日本脳炎ウイルス、コクサッキーウイルス、ロシアダニ脳炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、狂犬病ウイルスなどさまざまなものがあり、同定不能のケースも少なくありません。ウイルスのほか、ツツガムシや原虫、寄生虫なども原因となります。

 脳炎の中でよく知られているものとしては、蚊によって伝染する日本脳炎が挙げられます。重症になる脳炎としては、単純ヘルペス脳炎が挙げられます。予防接種により、特に日本脳炎、はしか脳炎は減っていますが、最近はインフルエンザ脳炎、ヘルペス脳炎や原因不明の脳炎がよくみられます。

 症状は、原因となるウイルスや細菌などによって、感染してから発症までの期間に差があります。1週間から1カ月、時には数カ月の潜伏期間の後、症状が現れることも。 

 症状の軽い場合は、頭痛、発熱、吐き気、嘔吐(おうと)などがみられ、症状が進むと、意識障害やけいれん、ウトウト眠ってばかりいる嗜眠(しみん)、訳のわからない言動、精神障害、知能低下、言語障害、項部硬直、運動まひなど、さまざま神経症状を現してきます。

●単純ヘルペス脳炎の予防が大切

 経過や予後は、原因によっていろいろですが、単純ヘルペスウイルスによる脳炎の場合、予後がよくありません。口唇ヘルペスと性器ヘルペス(陰部ヘルペス)は、どちらも脳炎を起こしうるウイルスです。ふだんは、神経の根元に潜んでいますが、時に神経を介して脳に達し、脳炎を起こすことがあります。ヘルペス感染が疑われたら、抗ウイルス剤の投与と、副腎(ふくじん)皮質ホルモンの投与が必要です。

 性器ヘルペス(陰部ヘルペス)では、出産に際して、産道や皮膚粘膜から新生児に感染し、ヘルペス脳炎を起こすことがあります。防止するためには、帝王切開で出産することも必要となりますので、婦人科の医師に前もって相談しておきましょう。

 そのほかの原因による脳炎も、確実な治療法はなく、対症療法が中心になります。従って、予防が大切。体力が弱っている時には、風邪を始めいろいろの感染症にもかかりやすいわけですから、ふだんから疲れすぎないように、健康管理に気を付けることが予防の第一歩です。過労と睡眠不足を避けましょう。

 

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