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∥四百四病の事典∥


シックハウス症候群



■新築住居などの室内空気の汚染で起こる疾患

 シックハウス症候群とは、新築や改築直後の室内の空気汚染によって引き起こされる疾患。

 建材や建材関連品には、大量の揮発性化学物質が使われています。それらは、建材の防腐剤や接着剤、塗料の成分として、さらにはシロアリなど昆虫の防虫剤として、家のあらゆるところに使用されています。新築や改築直後の家の中に入ると、ツーンと鼻をつく匂いがしますが、これらの多くは放散しているホルムアルデヒドやトルエン、エチルベンゼン、クロルピリホス(防蟻〔ぎ〕剤)などの揮発性化学物質の臭気であり、微量でも極めて有害な成分が含まれる場合があります。

 新築や改築直後から遅くても数カ月以内に、家の中に入ると目がしみる、涙が出てくる、鼻水が出る、鼻が詰まる、のどが痛い、動悸(どうき)がする、頭が重い、めまいがするなど、多彩な症状が出現するようになります。また、不眠や慢性的な疲労感、倦怠(けんたい)感として、症状が始まる場合もまれではありません。

 症状には個人差が大きく、同じ家で起居していても、非常に強く症状の出る人から、まったく症状の出ない人もいることから、いわゆる引越し疲れと思い込んで生活している場合もあり、初期の対応が遅れるケースがほとんどです。さらに、もともとアレルギー疾患を有する子供では、アトピー性皮膚炎や小児気管支喘息(ぜんそく)の悪化という形で出現する場合もあり、注意が必要です。

 シックハウス症候群の予防には、シックハウス対策に十分な知識と経験のある施工業者を選定し、事前に十分な打ち合わせをすること、新築中、改築中も施工業者任せにしないで、自ら足を運んで作業工程を確認、把握することが必要です。近年では、揮発性有機化合物(VOC)放散量の低い建材や接着剤、塗料が開発、発売されています。不幸にもシックハウスと思われる症状が出現したら、まず施工業者か、最寄りの保健所に相談し、室内空気の質を評価してもらうことが肝要です。保健所の場合は簡易測定にはなりますが、無料で行ってもらえます。

 室内から原因物質を減らすためには、十分な換気が必要。建物の高気密化がシックハウス症候群の一因ともなっており、換気設備が設置されている場合には運転しておくことが望まれます。一方、カビや微生物による空気汚染が広い意味でのシックハウス症候群の原因となることも考えられるため、これらの発生防止や除去なども必要です。日常生活で使われる殺虫剤や香料などが原因となる場合もあり、注意が必要です。

 なお、海外ではシックビルディング症候群と呼ばれますが、日本では住居以外のオフィスビルや病院などの建築物で起きるものを特にシックビル症候群と呼んでいます。また、新品の自動車でも同様の症状が報告されており、シックカー症候群と呼んでいます。

■シックハウス症候群の検査と診断と治療

 医師による診断のポイントは、第1に自覚症状が出現した経過です。原因となった住居への入居前後での体調の変化を詳細に問診します。つまり、自覚症状の発症経過と居住環境の変化が1つの線で結び付けられるかどうかが、重要となります。初診時に症状が出現する場所の空気測定結果を持参することは、大きな診断の助けとなります。

 シックハウス症候群の大半のケースでは、何らかの中枢神経系あるいは自律神経系の機能障害が認められるため、診断のための検査では神経眼科検査が有用。神経眼科検査では、目の動きが滑らかかどうかを評価する眼球電位図(EOG)、目の感度を評価する視覚コントラスト感度検査(視覚空間周波数特性検査)、光に対する瞳(ひとみ)の反応を評価する電子瞳孔(どうこう)計による瞳孔検査などがあり、シックハウス症候群では、異常値を示すケースが多いことがわかっています。

 例えば、目の動きを調べる眼球電位図(EOG)検査では、程度に差はあるもののシックハウス症候群発症者の85パーセント以上に滑動性追従運動異常が認められます。また、開眼時、閉眼時重心動揺検査でも、高い頻度で異常値を認めます。ただ、これらの検査は、シックハウス症候群発症者にみられる一般的特徴を調べるもので、確定診断法としてのツールにはなりません。

 確定診断法として唯一の方法は、ブーステストあるいはチャレンジテストと呼ばれ、実際に揮発性化学物質を発症者に曝露(ばくろ)し、何らかの症状が誘発されるかどうかを結果の再現性も含めて確認する検査方法しかありません。しかし、この検査を行うためには、化学物質を低減化したクリーンルームが設備として必要で、今のところこの設備を有する特殊専門病院は国内でも数カ所程度しかなく、現在の医療水準では確定診断は難しいといわざるを得ない状況です。

 シックハウス症候群の治療は、身体状況の改善という医学的アプローチと、原因となった居住環境の改善という建築工学的アプローチの二本立てで行います。

 身体状況の改善としては、ゆっくり歩いて30分などの軽い運動療法、少しぬるいと感じる39度前後の半身浴、60度前後の低温サウナなどの温熱療法が自覚症状の改善に有効で、居住環境が整えば数カ月~6カ月程度で、多くの症状は軽快します。また、解毒剤、水溶性ビタミン剤も身体状況の改善に有効であり、タチオン、タウリン散、ノイロビタン、アスコルビン酸末などの服薬治療も併せて行うことが一般的です。

 発症者によっては、シックハウス症候群を契機に、通常では気にならないほんのわずかな芳香剤、たばこ、香水などのにおいが気になったり、極めて微量の化学物質にさらされるだけでも多彩な症状が出現するようになったりするケースもまれにみられます。このようなケースでは、多くの場合、社会生活が制限されるため、心療内科医によるケアを併せて行う必要があります。

 居住環境の改善としては、自覚症状の原因が室内空気汚染ですから、空気汚染の原因はどこにあるのか、何をどのように改善すればよいのか、汚染された建材や建材関連品の交換、新しい家具などの吟味、十分な換気量の確保を含めて、施工業者と十分に相談して善後策を立てることです。

 

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