健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾

∥四百四病の事典∥


シェ-グレン症候群

■目と口が乾燥する自己免疫疾患

 シェーグレン症候群とは、自己免疫の異常によって発症する自己免疫疾患。主症状とされる目の乾燥(ドライアイ)、口の乾燥(ドライマウス)のほかにも、全身にさまざまな障害を引き起こすことがあります。

 自己免疫による疾患であり、自分の体の細胞に対して免疫反応を起こすことによって発症しますが、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、さらに女性ホルモンの要因も複雑に関連し合っていると考えられています。免疫システムが涙を作る涙腺(るいせん)と唾液(だえき)を作る唾液腺を破壊してしまうために、目や口の乾燥が起こります。乾燥が進むと、目や口に傷が付いたり、涙や唾液の殺菌作用が働かず、感染症にかかりやすくなります。

 シェ-グレン症候群という病名は、スウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンが1933年に発表した論文にちなんで、付けられています。

 発症するパターンは2種類あり、医学的にもその2種類に大別されています。1つ目は原発性シェーグレン症候群で関節リウマチなどの膠原(こうげん)病の合併のない種類です。 2つ目は続発性(二次性)シェーグレン症候群で、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病などの膠原病に合併する種類です。

 原発性シェーグレン症候群の発症者の内訳をみると、約45パーセントの人は目と口の乾燥の症状のみを発症しています。ほとんど健康に暮らしている人もいますが、ひどい乾燥症状に悩まされている人もいます。約50パーセントの人は全身性の何らかの臓器障害を伴っていて、残り約5パーセントの人は悪性リンパ腫(しゅ)や原発性マクログロブリン血症を発症しています。

 厚生省研究班の調査では、日本国内において1年間に、17000人が医療機関で治療を受けたという結果がまとまりました。 しかし、病気自体の認知度の向上や診断基準の普及などによって、発見、診断される率が高くなったことにより、シェーグレン症候群の患者数は近年、増加しています。 専門医の間では、診断を受けていない潜在的な発症者を含めると、約10~30万人と推定されています。

 発症者は40~60歳の女性に多いのが特徴で、男女比は男性1人:女性14人。50歳代にピークがあり、子供や80歳以上のの老人が発症することも少数ながらあります。

 続発性(二次性)シェーグレン症候群については、関節リウマチの発症者の約20パーセントにシェーグレン症候群が併発し、その他の膠原病の発症者にも併発しています。

 シェ-グレン症候群の自覚症状は、以下のように現れます。

目の乾燥(ドライアイ)

 涙が出ない 、 目がゴロゴロする 、目がかゆい 、 目が痛い 、 目が疲れる 、 物がよく見えない 、 まぶしい 、 目やにがたまる 、 悲しい時でも涙が出ないなど。

口の乾燥(ドライマウス) 

 口が渇く 、 唾液が出ない 、 食事の際によく水を飲む 、 口が渇いて日常会話が続けられない 、食べ物の味がよくわからない 、口内が痛む、夜間に飲水のために起きる、虫歯が多くなったなど。

鼻腔(びくう)の乾燥

 鼻が渇く、鼻の中にかさぶたができる、鼻出血があるなど。

その他

 唾液腺(だえきせん)の腫(は)れと痛み 、息切れ 、熱が出る 、関節痛、毛が抜ける 、肌荒れ、夜間の頻尿 、紫斑(しはん)、皮疹(ひしん)、手指や足先が蒼白(そうはく)になり次いで紫色になってピリピリ痛んだりするレイノー現象、アレルギー、日光過敏 、膣(ちつ)乾燥(性交不快感)など。全身症状として、疲労感 、記憶力低下、頭痛は特に多い症状で、めまい、集中力の低下、気分が移りやすい、うつ傾向などもよくあります。

■病気の診断と、目や口の乾燥症状の治療

 医師による診断では、1)口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある、2)唾液分泌量の低下が証明される、3)涙の分泌低下が証明される4)抗SSS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である、という4項目の中で2項目以上が陽性であれば、シェーグレン症候群と見なされます。

 治療では、目や口などの乾燥症状を軽快させることと、疾患の活動性を抑えて進展を防ぐことが目的とされます。現状では、根本からシェーグレン症候群を治す治療法はありません。

 目の乾燥(ドライアイ)に対する治療法は、涙の分泌の促進、涙の補充、涙の蒸発の防止、涙の排出の低下を目的に行われます。 

 涙の分泌を促進する方法として、ステロイド薬による抗炎症作用や炎症細胞の浸潤抑制による効果が一部で期待されます。

 涙の補充には、人工涙液や種々の点眼薬を1日3回以上使用します。傷害された角膜上皮の再生促進や角膜炎の治療の目的として、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ビタミンA、フィブロネクチンなどを含んだ点眼薬も使用されます。別の治療法として、自己血清を採取してこれを薄めて使用する方法が推奨されています。血清の中には、上皮成長因子、ビタミンなどさまざまな物質が入っているからです。

 涙の蒸発を防ぐために、眼鏡の枠にビニール製のカバーをつけたモイスチャー・エイド(ドライアイ眼鏡)があります。

 涙の排出を低下させるためには、鼻側の上下にある涙の排出口である涙点を閉じる方法があります。それには涙点プラグで詰める方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法があります。

 口の乾燥に対する治療法は唾液の分泌促進、唾液の補充、虫歯の予防や口内の真菌感染予防、口腔(こうくう)内環境の改善を目的に行われます。

 唾液の分泌を促進するものとして、アネトールトリチオン(フェルビテン)、ブロムヘキシン(ビソルボン)のほか、漢方薬なども用いられます。副腎(ふくじん)ステロイド剤も有効であり、症状に合わせて使用されます。

 唾液の補充には、サリベートや2パーセントのメチルセルロースが人工唾液として使われます。サリベートは噴霧式で舌の上だけでなく、舌下、頬(ほお)粘膜に噴霧したほうが口内で長持ちします。また、冷蔵庫保存で不快な味が消えます。

 虫歯の予防や口内の真菌感染、口角炎を予防するものとしては、イソジンガーグル、ハチアズレ、オラドール、ニトロフラゾン、抗真菌剤などが用いられます。歯の管理と治療としては、ブラッシング、歯垢(しこう)の除去と管理、虫歯、歯周病対策などがあります。オーラルバランスという口腔保湿剤もあります。

 なお、全身性の臓器病変のある人の場合は、内科などでステロイド薬や免疫抑制薬などを含めて適した治療を受けるべきです。全身性の病変の中には、白血球減少、高γグロブリン血症、皮膚の発疹、間質性肺炎、末梢神経症、肝病変、腎病変、リンパ腫などがあります。  

 

ホームへ戻ります  コンテンツのトップへ戻ります ページのトップへ戻ります

ホームへ戻ります  四百四病の事典のトップへ戻ります ページのトップへ戻ります


Copyright 2003〜 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.