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∥四百四病の事典∥


子宮下垂、子宮脱


■子宮が下垂して腟の中外に脱出した状態

 子宮下垂および子宮脱とは、子宮の位置の異常のこと。子宮が正常な位置よりやや下降して、腟(ちつ)内にとどまっている状態を子宮下垂といい、下垂がさらに進行して、子宮の一部または全部が腟から脱出してくる状態を子宮脱といいます。

 子宮下垂や子宮脱があると、子宮の前方にある膀胱(ぼうこう)や後方にある直腸も、膣の壁と一緒に膣外に脱出する膀胱脱、直腸脱を合併することが多くあります。

 子宮は骨盤内のほぼ中央にあり、前後左右に靭帯(じんたい)で支えられ、また骨盤底の支持組織と筋肉によって位置が保たれています。これらの子宮を支える靭帯や骨盤底の筋肉が弾力を失い、弱くなると発症します。

 靭帯や筋肉が弱くなる原因としては、加齢のほか、妊娠や出産による影響も大きく、お産の回数が多かった人、難産だった人、出産の後あまり休まないで働いていた人、長年立ち仕事や肉体重労働を続けていた人などに多くみられます。特に、更年期以降、エストロゲンの分泌が低下してくると、膣や骨盤底の筋肉の緊張が緩んでくるために起こりやすくなります。先天的に骨盤底の筋肉や支持組織が弱い人は、1回の出産だけで起こることもあります。

 疾患自体は健康に差し支えることは少なく、治療も必要ありません。ただ、脱出の程度が強くなると、子宮を指で押し戻すことができなかったり、外陰部に出た子宮が体や下着に接触して不快に感じたり、歩行の障害になることもあります。脱出部分の粘膜のただれや炎症のために、出血などの症状がみられることもあります。

 また、膀胱脱では残尿が多くなって、腹圧性尿失禁の大きな原因の1つになります。下垂がひどくなると、逆に尿が出にくくなったり、頻尿になったりします。さらにひどくなると、尿が出なくなってしまい、しばしば膀胱炎の原因や腎臓の働きに障害を来すこともあります。

■子宮下垂、子宮脱の検査と診断と治療

 子宮の下垂感や脱出感があって日常生活に支障を来す場合には、婦人科、産婦人科を受診します。

 医師の側は、立位や寝た状態での視診や内診によって、容易に診断できます。さらに、腹圧を加えることにより、子宮下垂と子宮脱の程度が増悪するので、明確に診断できます。

 子宮下垂や子宮脱があるといっても、腟の中程まで落ち込んでいる程度で特に症状がなければ、治療は行いません。炎症、出血、尿漏れなどの症状があれば、治療が行われます。

 保存的治療としては、硬質プラスチック製のペッサリーを腟内へ挿入し、下から子宮を支えて位置を矯正する方法があります。ペッサリーにはリング状、ドーナツ型、円錐型などがあり、日本では長期連続装着型のリング・ペッサリーが多く用いられていて、必要に応じて2個用いる場合もあります。適切な大きさのものを装着すれば、異物感もなく、性交渉にも問題はありません。ただ、長期に使うと下り物が増えたり、炎症を起こすことがあります。

 手術療法では、程度や症状、年齢、持病の有無など全身状態、そして発症者自身の希望によって、さまざまな方法が行われます。

 基本的には、骨盤内の臓器を支える筋肉や靭帯を腟のほうから修復する、腟式骨盤底修復術が行われます。状態に応じて、下垂した子宮を丸ごと摘出する子宮全摘術や、膀胱脱などで膨らんだ腟の壁を修復する手術などが、単独あるいは併用して行われます。

 子宮全摘術の代わりに、子宮頸部(けいぶ)を切断して子宮を短くし、靭帯で固定するマンチェスター手術も行われます。また、妊娠を望む若い女性には、妊娠能力を残して臓器を固定する手術も行われます。逆に、高齢の女性には体への負担が軽いという意味で、腟を閉鎖する手術が行われることもあります。

 子宮下垂、子宮脱の予防には、出産の後は十分に休養すること、骨盤底の部分の筋肉である肛門(こうもん)や尿道、膣口の回りの筋肉を収縮させる運動をすることが役立ちます。

 

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