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∥四百四病の事典∥


クローン病

■腹痛と下痢が続く原因不明の慢性疾患

 クローン病とは、小腸の最後の部分に当たる回腸末端を中心に、小腸のほかの場所、大腸から口腔(こうくう)に至る消化管に炎症を起こし、びらんや潰瘍(かいよう)を生じる慢性の疾患。大腸だけが侵される潰瘍性大腸炎と似ている点も多く、2つをまとめて炎症性腸疾患と呼びます。

 遺伝的要因とそれに基づく腸管での異常な免疫反応のためとされていますが、はっきりとした原因は解明されていません。食生活の欧米化によって、日本でも20歳代を中心に発症者数が増えており、食物中の物質や微生物が抗原となって異常反応を引き起こすことが、原因の1つと考えられています。

 1932年に、アメリカの内科医ブリル・バーナード・クローンらによって限局性回腸炎として報告され、後に病名は改められましたが、回腸末端から盲腸にかけての回盲部に好発する点は確かです。病変が小腸のみにある小腸型、大腸のみにある大腸型、両方にある小腸大腸型に分類されます。日本では、いわゆる難病として厚生労働省特定疾患に指定されており、申請すると医療費の補助が受けられます。

 主な症状は、腹痛、下痢。進行すると、体重減少、発熱、貧血、全身倦怠(けんたい)感がみられます。また、腸管が部分的に非常に狭くなることが多く、そのため腹痛はなかなか軽快しません。

 血便はあまりはっきりしないこともあり、下痢や下血が軽度の場合、なかなか診断が付かないことがあります。口腔(こうくう)粘膜にアフタ(有痛性小円形潰瘍)や小潰瘍がみられたり、痔(じ)、特に痔瘻(じろう)や肛門周囲膿瘍(のうよう)といわれる難治性の肛門疾患を合併したりすることがあります。

 また、消化管以外の症状として、関節炎、結節性紅斑や壊疽(えそ)性膿皮症などの皮膚症状、ぶどう膜炎などの眼症状を合併することがあります。

■クローン病の検査と診断と治療

 いったん発症すれば、急性期は家庭で自分でコントロールできる疾患ではありません。まれな難病ですので、胃腸科専門医の適切な治療を受けることが大切です。

 クローン病の病変は、非連続性といわれ、正常粘膜の中に潰瘍やびらんが飛び飛びにみられます。また、縦走潰瘍といわれる消化管の縦方向に沿ってできる細長い潰瘍が特徴的で、組織を顕微鏡で見ると非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(にくげしゅ)といわれる特殊な構造がみられます。大腸内視鏡検査、小腸造影検査、上部消化管内視鏡検査などを行い、このような病変が認められれば診断がつきます。血液検査では炎症反応上昇や貧血、低栄養状態がみられます。

 根本的治療法はありませんが、薬物療法として、5—アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ)、ステロイド薬を使用します。食べ物が原因の1つとして考えられているため、栄養療法も重要で、最も重症の時には絶食と中心静脈栄養が必要です。少しよくなってきたら、成分栄養剤(エレンタール)という脂肪や蛋白(たんぱく)質を含まない流動食を開始します。成分栄養剤は、栄養状態改善のためにも有効です。

 炎症が改善し普通食に近い物が食べられるようになっても、脂肪の取り過ぎや食物繊維の多い食品は避けます。

 腸に狭窄(きょうさく)を生じたり、腸管と腸管、腸管と皮膚などがつながって内容物が漏れ出てしまう瘻孔(ろうこう)を生じたり、腸閉塞(へいそく)、穿孔(せんこう)、膿瘍などを合併したりした場合、内科的治療の効果が期待できないため手術が必要となることがあります。

 最近、抗体療法である抗TNFα(アルファ)抗体製剤(レミケード)が日本でも使用可能となり、高い活動性が続く場合や瘻孔を合併している場合に明らかな効果が認められています。対症療法として、止痢薬、鎮痙(ちんけい)薬などを使用します。免疫抑制薬(アザチオプリンなど)を使用することもあります。

 長期に渡って慢性に経過する疾患であり、治療を中断しないことが大切です。治療の一部として日常の食事制限が必要なことが多く、自己管理と周囲の人たちの理解が必要です。症状が安定している時には通常の社会生活が可能です。

 

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