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∥四百四病の事典∥


気胸

■肺に穴が開き、肺がつぶれてしまう疾患

 気胸とは、肺から空気が漏れて胸腔(きょうくう)にたまり、肺の一部または全体がつぶれる疾患。時に、肺の大部分または全部がつぶれると、突然激しい呼吸困難が起こります。

 正常な状態では、胸腔内の圧力は肺の内部よりも低くなっています。肺胞が破れるなどで肺に穴が開き、空気が胸腔に入ると、胸腔内の圧力が肺の内部よりも高くなり、肺が空気に押されてつぶれ、小さくなるため、気胸になります。

 気胸は、原発性自然気胸、続発性自然気胸、外傷性気胸、医原性気胸、月経随伴性気胸に分類されます。

 原発性自然気胸は、交通事故やナイフで刺されたというような明らかな理由もなく、発生するものをいいます。普通、肺の表面のややもろくなった部分である肺胞内嚢胞(のうほう)が破裂するために起こり、40歳以下の背が高く、やせて胸の薄い男性に最もよくみられます。

 この原発性自然気胸の大部分は、運動中には起こりません。ダイビング中や高い高度を飛行中に起こることがあり、肺の内部の圧力が変化するのが原因です。ほとんどの人は一時的に空気が漏れますが、すぐに閉じて完治します。漏れた空気は、血液に溶け込んで次第に消失します。問題なのは、穴がふさがらず、空気が漏れ続ける時です。また、しばしば再発を起こすことも問題です。

 続発性自然気胸は、肺にある広範囲の疾患が原因となって起こるものをいいます。原因疾患の分布から高齢者に多くみられます。この気胸で最も多いのは、肺気腫(きしゅ)のある高齢者で肺胞内嚢胞が破裂して起こるものです。そのほか、嚢胞性線維症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、サルコイドーシス、肺膿瘍(しゅよう)、肺結核、カリニ肺炎などの肺疾患がある場合にも起こります。肺に原因疾患があるため、続発性自然気胸の症状および経過は一般的に良くありません。原発性自然気胸と同じく、しばしば再発を起こします。

 外傷性気胸は、交通事故などで折れた肋骨(ろっこつ)が肺を傷付けたり、胸部が強く圧迫されたり、刃物などで胸を刺されたりすることで起こるものをいいます。

 医原性気胸は、病院で針を刺すような、胸腔内に空気が入りやすい治療や検査を受けたことが原因となって起こるものをいいます。人工呼吸器も、肺に気圧外傷を与え気胸を起こす場合があります。これは、重症の急性呼吸促迫症候群の患者に最もよくみられます。

 月経随伴性気胸は、生理の前後に発症するものをいいます。この変わった気胸の原因は、子宮内膜症が横隔膜に広がり、生理の時に横隔膜に穴が開くことにより胸腔に空気が入るため、あるいは肺に子宮内膜症があり生理に際して穴が開くためと考えられています。気胸は女性には比較的少ないので、女性が気胸を起こした時は、月経随伴性気胸の可能性を考えておかなくてはなりません。治療は、外科療法かホルモン療法を行います。

 気胸の主な症状は、胸痛、呼吸困難、せきです。多くの場合、鋭い胸の痛みや息切れ、時には乾いた空せきが突然始まります。気胸を起こした肺はしぼみ切っており、機能不全状態になっているため酸素の供給量が著しく低下し、息切れを感じやすくなるのです。また、気胸で開いた穴から胸腔に空気が流れ込み、気圧が高まって肺を圧迫するため、痛みを感じやすくなるのです。肩、首、腹部に痛みを感じることもあります。

 胸腔に流れ込む空気の量が多くなると、緊張性気胸となります。緊張性気胸では、突然発症し、進行性の胸痛と呼吸困難が生じ、血圧が低下します。疾患のある側の肺は空気で置き換えられて完全につぶれており、気胸の起こっていない肺も次第につぶされていきます。大量の空気が心臓を圧迫して、心停止させてしまうこともあり、非常に危険です。

 一方、ゆっくり進行する気胸では、急激に進行する気胸よりも症状が軽い傾向にあります。まれに、症状がないのに胸部レントゲン検査で発見されることがあります。

 緊張性気胸や非常に広範囲の気胸を除き、症状は体が肺のつぶれた状態に順応するにつれて大抵治まり、胸腔から空気が再吸収されるのに伴って、肺はゆっくりと再びふくらみます。

■気胸の検査と診断と治療

 胸部X線写真で肺の紋様がない領域が胸腔内に確認されれば、気胸と診断されます。健康な長身、やせ型の青年男子で急に胸痛や息切れを訴える時は、原発性自然気胸を疑います。ほとんどの症例では、胸部レントゲン写真で診断がつきます。判断に迷う時は、息を吐いた時と吸った時の写真を比較します。

 軽度の気胸の場合は、特別な治療をしなくても安静にしていれば、自然に治癒します。軽い原発性自然気胸では、重い呼吸障害は起こらず、たまった空気は数日間で吸収されます。外来で時々、胸部X線検査を行って経過観察をします。

 より広範囲の気胸では、空気が完全に吸収されるのに2〜4週間かかりますが、入院して胸腔ドレナージを行えば、より早く空気を除去できます。胸腔ドレナージでは、胸壁を切開して挿入したチューブで、たまっている空気や新たに漏れた空気を外に排出します。チューブからの空気漏れがなくなったら、チューブを抜去し、肺のふくらみが良好なら退院です。

 自然治癒を見込めないほど気胸の範囲が大きい場合、胸腔ドレナージを行って空気の漏れが止まらない場合、気胸が再発した場合、左右両側の肺が気胸の場合などでは、全身麻酔による胸腔鏡下手術で肺嚢胞の切除が行われます。従来の開胸手術においては、初回の気胸について手術をすることはありませんでしたが、胸腔鏡下手術は入院期間も1週間程度ですむため、初回から手術して今後起こりうる病変まで切除してしまうこともあります。

 しかし、胸腔鏡下手術には、切除した周囲の組織が気胸を起こしやすくなるというデメリットがあります。そのため、セルロース製のメッシュシートを被せるカバーリング法が、新たに注目を浴びています。セルロース製のメッシュシートは、肺組織に吸収されて厚みを増すため、気胸の再発防止に効果を発揮します。

 再発率は内科的に治療した場合、初回の気胸が起こってまた再発するのが約50パーセント、2回起こるとまた再発するのが80パーセント以上と考えられています。内科的治療と比べると外科治療の成績は格段によく、再発率は数パーセント以下です。

 続発性自然気胸の場合は、肺に原因疾患があるため、手術は危険な場合があります。手術が行えない際は、胸腔から空気を抜き取ったチューブを通して薬を入れて、肺を周囲と癒着させ気胸を起こさないようにします。この薬を使って気胸を起こした組織をやけどさせた状態にしてふさぐという治療法は、手術と比較して効果が不確実です。

 外傷性気胸や緊張性気胸の場合は、迅速な治療が求められます。緊張性気胸では、血圧が低下しショックを起こすので、直ちに治療をしないと数分間で死に至ります。大きな注射器をつけた針を胸部内に挿入し、すぐに空気を抜き取ります。その後、継続的に空気を抜くために別のチューブを挿入します。

 

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