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∥四百四病の事典∥


急性肝炎



■原因はほとんどが肝炎ウイルス

 急性肝炎とは、肝臓が炎症を起こす肝炎が発病して、6カ月以内のものを指します。普通の経過を取る定型的な急性肝炎と、非定型的な急性肝炎の2つに分けられます。

 定型的な急性肝炎の原因は、ほとんどが肝炎ウイルス。原因ウイルスにより、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎があります。日本ではD型肝炎、E型肝炎の発症はまれですが、E型肝炎については最近、増加傾向にあるため留意が必要です。

 肝炎ウイルス以外を原因とする急性肝炎では、薬物によるものや健康食品による肝障害、肝炎ウイルス以外のEBウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスなどの感染が原因となります。これらの原因によるものを急性肝炎に含めず、それぞれの疾患の範囲に入れることもあります。

 日本では、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎の発症が多くみられ、肝臓の病気のうち、比較的頻度の高いものになっています。感染して発病する3つの肝炎ウイルスが、肝臓に取り込まれやすい性質を持っているためです。

 感染経路は、A型肝炎やE型肝炎のように、ウイルスに汚染された水や食べ物から経口感染するものと、B型肝炎やC型肝炎のように、既感染者の血液や分泌物を介して非経口的に感染するものがあります。

 急性肝炎各型の占める比率は、A型肝炎の発症例が年度により大きく異なるために著しく変動します。日本国内の国立病院、療養所専用情報ネットワークを利用した肝疾患共同研究のデータによれば、急性肝炎各型の比率は、A型肝炎約30パーセント、B型肝炎約35パーセント、C型肝炎約13パーセント、それ以外の肝炎(非A非B非C型肝炎)約22パーセントとなっています。

■全身の倦怠感、高熱、黄疸が主症状

 A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎の一種。慢性化することはありません。日本では、だいたい60歳以下の戦後生まれの世代で、A型肝炎に対する抗体を持っていない人が多く、これらの人々がA型肝炎の流行地へ旅行することで感染するパターンが主。

 A型肝炎ウイルスに汚染された水や野菜、魚介類などを生で食べることにより感染します。食物を介さずに、糞便(ふんべん)に汚染された器具、手指などを経て人から人へ感染することもあります。

 感染力が強く、集団発生することがあります。また、患者の発生報告には季節性があり、例年春先になると感染者数が増加しますが、その理由は明らかではありません。

 感染してから2~6週間の潜伏期間を経て発病し、症状の特徴は発症が急激であり、全身倦怠(けんたい)感など風邪と似た症状と、食欲不振などの消化器症状で始まり、高熱、寒気、さらに頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛、皮膚の発疹(ほっしん)が続くこともあります。腹痛については、肝臓が急にはれるため、上腹部に鈍痛があり、その部分を押すと痛みを感じます。

 やがて、尿の色は褐色調が強くなり、黄疸(おうだん)がみられる時期にはさらにその濃さが増します。黄疸の程度は、発病後1~2週間たつと強くなりますが、自覚症状はむしろ軽快してきます。食欲も出てきますが、肝臓の病変はまだ最盛期ですので、絶対安静が必要です。

 普通は1カ月以内に症状はなくなります。軽いものは数日で消失し、経過もよいようです。

 A型肝炎の流行地へ旅行する際には、あらかじめ医療機関でA型肝炎ワクチンの接種を行うことで、予防することができます。

 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)が原因のウイルス性肝炎の一種。1~2パーセントが慢性化します。血液や体液を介して感染しますが、経路は性交渉、輸血、医療事故、負傷、母子感染などによるものです。

 潜伏期間は、1~6カ月と幅があります。症状はA型ほど急激でなく、強くありませんが、A型と同様の倦怠感、消化器症状、黄疸が出現します。

 C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が原因のウイルス性肝炎の一種。かつては非A非B型肝炎と呼ばれていましたが、1989年にアメリカのカイロン社が開発したHCV抗体の検出法により、診断が可能となりました。

 主な感染経路は輸血を始めとする医療行為でしたが、献血時の抗体スクリーニングが徹底して、輸血後肝炎としてのC型肝炎は激減。しかし、患者の半数には輸血歴がなく、母子感染や性行為などの経路も想定されます。

 一般に発症が緩やかで、症状が軽いのが特徴ですが、慢性肝炎に移行する可能性があります。慢性化すると、かなり高い確率で肝硬変や肝がんになりますので、持続的に感染している場合は、定期的な検査が必要です。薬物常用者、医療従事者などハイリスク群では、特に留意が求められます。

 慢性肝炎に移行した場合には、ウイルスを体外へ排除して治癒を図るインターフェロン療法が期待されます。

■まれなD型肝炎とE型肝炎は重症化も

 D型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルス感染者にのみ感染するという変わった感染因子で、B型肝炎ウイルスの助けを借りて、初めて感染が起こるという不完全なウイルスです。

 しかし、いったんかかると重症な肝炎になる危険がありますので、要注意です。血液や体液を介して感染し、地中海沿岸で発生しています。日本では、この型の肝炎は極めてまれとされています。

 E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)に汚染された水や食べ物から経口感染し、吐き気、食欲不振などの症状が出るウイルス性肝炎の一種。通常、一過性で慢性化しませんが、まれに激症化して死亡することがあり、妊娠末期に感染すると重症化する頻度が高くなります。

 約100年前にイギリスから輸入された豚と一緒に、日本国内に入ってきた可能性があるという研究結果がありますが、従来、開発途上国を旅行した人が水などから感染するケースが多い、とされてきました。

 2002年以降は、国内での感染が疑われるケースが急増し、02~04年が20件前後、06年は44件という報告があります。その背景には、高度なE型肝炎ウイルス遺伝子の検出法が広まったことがある、と見なされています。鹿(しか)肉や豚レバー、猪(いのしし)肉による感染例、輸血で感染した例も報告されています。

 野性の猪の5~10パーセントがE型肝炎ウイルスを保有している可能性があるとされますので、野性動物の肉の生食は避け、しっかり火を通すことと、生肉に触れた、まな板、はしは熱湯消毒することが、感染の防止に必要とされます。

■十分な安静を取るのが治療の基本

 急性肝炎の診断は、血液をとって成分を調べる血液検査、超音波やCTを使って調べる画像診断、肝臓の細胞を採取して調べる肝生検により行われ、病気の進行度や治療効果、副作用発現の可能性などが評価されます。

 急性肝炎の治療は、入院して十分な安静を取り、完全に治すことが基本となります。8週間以内に急性肝不全症状が出現する劇症肝炎に進行すると、短時日で死亡することもあるからです。食欲がなく栄養を十分に取れない時には、ブドウ糖を中心とした点滴により栄養を補い、体力の維持に努めます。

 急性肝炎はほとんどの場合、数カ月で症状は治まります。しかし、B型肝炎やC型肝炎では炎症が治まらずに慢性化し、薬による治療が必要になる場合もあります。

 この場合の薬物療法においては、インターフェロン療法でウイルスを体外へ排除し治癒を目指すか、対症療法として肝庇護(ひご)剤を使用して肝臓の炎症を抑える治療を行うかが選択されます。

 

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