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∥四百四病の事典∥
潰瘍
潰瘍(かいよう)とは、皮膚や粘膜の上皮組織が何らかの原因で傷付き、深くえぐられた状態のことです。
通常、より深層の組織も、症例ごとにさまざまな深さで損傷を起こしています。上皮組織を失ったことで受ける外部刺激、特に感染に対する防御反応や、損傷した組織の修復と再生のために、炎症を伴うのが常です。
潰瘍より軽度の上皮組織の損傷、すなわち肉眼的には上皮が欠損していても、顕微鏡で見ると不連続的に上皮細胞が残っているものは、びらんと呼びます。より深層の組織の傷害も、軽微で限定的です。
代表的な潰瘍で、頻度が高く健康への影響が大きいのは、胃潰瘍と十二指腸潰瘍。いずれも、本来は食物を消化するために分泌されている胃液によって、胃や十二指腸の粘膜そのものまで消化されて傷付いた結果、発生する病気です。
総称して消化性潰瘍と呼び、皮膚にできる潰瘍と違って、粘膜が常に強酸にさらされているため、なかなか治りません。ほかに、口の中、大腸などにできる潰瘍もあります。
なお、潰瘍を形成する特徴を持った炎症を潰瘍性炎と呼び、組織の損傷がさらに深層に及んで消化管などの壁を貫くものを穿孔(せんこう)性潰瘍と呼びます。
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