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∥四百四病の事典∥
新生児期:出生から生後28日まで
乳児期:生後28日から生後1歳まで
幼児期:満1歳~5歳(小学校入学)まで
学童期:小・中学生
思春期:12歳~18歳の第2次性徴の発現する時期
成人期:18歳以上
更年期とは女性に特有なもので「生殖期から非生殖期への移行期」とか、「閉経前期と閉経後期」とか、「成人期から老年期に移行する時期」といわれる時期です。年齢的には、日本人女性の閉経の平均年齢が51±4歳ですから、更年期は45~55歳くらいの間となります。更年期の発来の早い人、遅い人、障害の程度の軽い人、重い人などかなり個人差があります。
●女性ホルモン分泌の話
更年期障害がどうして起こるのかを解説する前に、女性ホルモンの分泌について解説します。
女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があり、両者とも卵巣から分泌されています。エストロゲンの主な働きは、女性らしい声や身体を作り出すとともに、乳房、皮膚、子宮、骨などの発育を促します。また、黄体ホルモンは子宮に作用します。
女性のサイクルにおいて、エストロゲンと黄体ホルモンの分泌は、ほぼ28日周期で繰り返されます。
●では、なぜ更年期を迎えて障害が起こるのでしょうか?
更年期障害の原因は、ホルモン分泌異常と環境や心理・精神的な変化の二つが複合して起こります。
1.ホルモンの異常
女性ホルモンを分泌する卵巣の働きは、閉経前後5年に減退し、閉経後数年たった55歳頃には停止します。その結果、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、影響が全身の臓器や代謝に現れます。
卵巣の働きが低下し、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると、身体は卵巣の機能を元に戻そうとするため、卵巣を刺激するホルモンを大量に分泌します。
卵巣を刺激するホルモンを大量に分泌しようとすることが、脳の自律神経中枢に影響を与え、自律神経失調を起こし、さまざまな症状を起こすようになります。
2.環境や心理的・精神的な変化
更年期を迎える年齢は、人生の転換期となることが多いのです。親の介護、子どもの受験や独立、夫の多忙などに加え、体力や性機能低下の自覚、悪性腫瘍(しゅよう)や生活習慣病などの不安など、さまざまなストレスが加わり症状を悪化させます。
●どんな症状が現れるのか?
更年期障害として心身両面にわたる多彩な症状(不定愁訴)が見られます。
1.自律神経失調症状
血管運動神経系障害の症状
ほてり、冷え症、熱感、発汗、寝汗、動悸、頭痛
運動器系障害の症状
腰痛、肩こり、関節痛
胃腸系障害の症状
悪心、おう吐、腹痛、便秘、下痢、腹部膨満、食欲低下
泌尿器系障害の症状
頻尿
2.精神神経系障害の症状
イライラ、不安、不眠、記憶力減退、物忘れ、頭痛、頭重感、めまい、耳鳴り、抑うつ、気分減退、倦怠感、痺れ、知覚過敏、知覚鈍麻、蟻走感(アリが体をはうような感じ)
3.性器系障害の症状
腟・外陰部の萎縮、乾燥による性交障害
これらの症状の出現頻度・程度は個人差がかなりあります。さらに、1日でも程度が異なります。これらの症状が見られたら、「そのうち治るだろう」と安易に構えずに、医療機関を訪ねて相談してください。
●どのように診断するのでしょうか
更年期障害の診断は高血圧症、貧血、甲状腺機能異常、メニエール症候群、うつ病、糖尿病、子宮筋腫、子宮ガンなどの病気がないことを、診察や検査で確認したのちに診断されます。
診断は、以下のような条件があれば、まず更年期障害としてよいでしょう。
* 更年期に該当する年齢である
* 訴えが心身両面にわたり、多彩かつ複雑である
* 性器症状を除いて、症状に対応する病気がない
* 自律神経機能検査の結果が不安定である
* ホルモン療法が有効である
●どのように治療するのでしょうか
更年期障害の治療方法には、ホルモン療法と非ホルモン療法があります。患者さんの症状により治療法が異なります。正確に症状を医師に伝えて治療方法を決めてもらってください。
1.ホルモン療法
更年期障害を抑えるエストロゲンと、エストロゲンの働きを抑える黄体ホルモンを用いた治療が行われます。ホルモン療法は、のぼせ、異常発汗、冷え症などを伴う“血管運動神経系障害”と肩こり、腰痛、関節痛を伴う“運動器系障害”に有効で、高齢者になると一層進むコレステロールの増加による動脈硬化や心臓の病気の発病、骨粗鬆症の予防にも有効です。
女性は、一般に女性ホルモンの分泌が減少し始める前の、40歳代前半に心身の活力のピークを越え、閉経の頃から際立って低下していきます。しかし、ホルモン療法を受けた人は活動力もさほど衰えず、平均寿命も、やや長くなるというデータがあります。
〔具体的な治療方法〕
具体的には以下の四つのホルモン療法があります。
* エストロゲンを定期的に服用する:この治療はすぐに効果が現れるのですが、エストロゲンのみを長期に服用すると、子宮ガンの発生する危険性があり長くは行われません。
* エストロゲンと黄体ホルモンを定期的に併用して服用する:この治療は更年期障害で最も広く行われている方法です。
* エストロゲンを持続して服用する一方、黄体ホルモンを定期的に服用する:この治療は重症な人に行われます。
* エストロゲンと黄体ホルモンを持続して服用する:この治療は高齢者になった人に行われます。
その他にエストロゲンと男性ホルモンの併用療法も行われることがあります。また、性器系障害の強い人には、局所ホルモン療法が有効な場合があります。
更年期障害に対するホルモン療法は、子宮ガン・乳ガンにかかっている人、肝臓障害を持っている人、糖尿病で薬を使っている人、血栓のできやすい人は、元の病気を悪化させる恐れがあり行われません。
ホルモン療法は有効ですが、薬の量、副作用など専門的な注意と管理が必要です。主治医とよく相談しながら治療を継続してください。
2.非ホルモン療法
非ホルモン療法には薬物療法とカウンセリング(心理療法)があります。
薬物療法は頭痛、不安、イライラ、不眠、うつ状態、手足のしびれ、知覚感覚の鈍麻、蟻が身体をはうような感じ(蟻走感)などに見られる“精神神経系障害”に有効で、抗うつ剤や自律神経調節剤、また漢方薬も用いられることがあります。
薬物に頼ることなく、カウンセリング(心理療法)を受け、生活に張りや目標を定め、自信を持つだけで、症状が軽快する人もいます。
●更年期を迎えたら
更年期および更年期以降になると、ホルモンの変化(エステロゲンの減少)によりさまざまな病気を起こしやすくなります。更年期出血、肥満、糖尿病、子宮ガン、卵巣ガン、乳ガン、老人性腟炎、コレステロールの増加による動脈硬化や心臓の病気、骨粗鬆症などの頻度が増します。
適度な運動、バランスのとれた規則正しい食事、定期的に検診(住民検診や人間ドックなど)を受けるなど、健康管理にはこれまで以上に気をつけることが大切です。
女性に特徴的な現象とされてきた更年期障害について、最近では、男性にも見られるという学説があります。
男性諸氏の場合には、女性ほど症状が顕著ではありませんが、45歳すぎに性欲が急激に減退したり、うつ病状態が見られます。これらの症状は、男性の更年期障害によるといわれています。
今後、男性の更年期障害の研究も進み、解明されることが期待されます。
以上、更年期障害について解説しました。皆さんの健康を守るために少しでもお役に立てれば幸いです。わからない点や心配な点などがある場合は、お近くの掛かり付け医などの医療機関にご相談ください。
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