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∥四百四病の事典∥


外傷性視神経症

■視神経管への打撃によって、視機能がさまざまに障害される疾患

 外傷性視神経症とは、視神経管への打撃による視神経の損傷や、視神経管の骨折による視神経症。外傷の原因としては、前額部の強打、オートバイや自転車、自動車などによる交通事故、墜落事故などが挙げられます。

 外傷性視神経症を起こすと、視神経線維そのものに対する一次障害と、組織への循環障害や浮腫(ふしゅ)、血腫による二次障害とが複合し、多彩な視機能障害が生じます。視神経は視覚情報を伝える100万本以上の神経線維を含んでいて、網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達するという役割を担っていますので、視神経線維が障害を受けると、物を見る働きも部分的にまたは完全に損なわれてしまうわけです。

 大多数は、眉毛(まゆげ)部外側への打撃が視神経管部に到達した際の、浮腫や循環障害が原因となります。 視神経管は視束管ともいい、視神経が眼底から頭蓋(とうがい)内に入っていく際に通るトンネルのような細い骨の穴です。まれに、視神経管内の血腫による圧迫や、視神経管の骨折による視神経線維の直接損傷が原因になります。視神経管のほか、眼窩(がんか)内や、視神経が眼底より出る乳頭部位での傷害例もあります。

 外傷性視神経症の視機能障害は、数分から数時間で急速に進むこともあれば、2~7日かけて徐々に進行することもあります。多くは中心視力が低下しますが、視野狭窄(きょうさく)のみで視力は低下しないこともあります。視野異常も中心が見えにくくなる中心暗点から、耳側もしくは鼻側半分が見えにくくなる半盲性障害までさまざまです。視機能障害が片目に生じるか両目に生じるかは、原因によって異なります。鼻出血を伴うこともあります。

 ただし、受傷直後でまぶたがはれて目がふさがっていたり、意識障害のために、症状を自覚できない場合もあります。重症の場合では、明暗を識別する光覚を失うこともあるため、緊急に眼科専門医による検査、診断および治療が必要になります。

■外傷性視神経症の検査と診断と治療

 眉毛部に強い打撃を受けた際は、まず見え方の左右差を比較することが大切です。視力、視野に異常を感じたら、早急に眼科専門医の診察を受けます。まぶたがはれて目が開かない、または意識がない際でも、眼科医による瞳孔(どうこう)検査は最低限受けておきます。

 外傷性視神経症の検査としては、ベッドサイドや救急外来でも可能な瞳孔反応検査が有用です。両目の瞳孔に交互に光を当てて対光反応の左右差をみるもので、左右差が明らかな場合は視神経障害の可能性が高くなります。この検査は、意識障害がある場合でも行うことができます。

 瞳孔反応検査で陽性の場合は、視力、視野、眼底などの眼科的検査が行われます。画像診断として、視神経管(視束管)撮影、眼窩部CT検査が行われ、骨折や血腫の有無が確認されます。

 画像診断で明らかな骨折が認められた場合は、脳外科医による視神経管開放手術が行われます。手術後は、薬物療法も併用されます。なお、薬物治療に反応していったん回復した視機能が再び悪化する場合は、血腫の存在が疑われるため、視神経管減圧手術が行われることがあります。

 画像診断で明らかな骨折が認められなかった場合は、全身状態に問題がなければ、視神経管内の視神経線維の浮腫を軽減させる目的で、高張浸透圧薬の点滴と、副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤の点滴が行われます。同時に、視神経保護作用のあるビタミンB12製剤や循環改善薬の内服が行われます。

 ただし、受傷直後から明暗を識別する光覚の消失が持続するような重症の場合は、いずれの治療法においても視力予後は不良です。

 

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