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∥四百四病の事典∥


うっ血乳頭


■視神経の乳頭にむくみが起きて、はれ上がった状態

 うっ血乳頭(にゅうとう)とは、眼底にある視神経の乳頭にむくみが起きて、大きくはれ上がり、充血した状態。

 眼球の奥にある中心窩(か)から少し鼻のほうに寄ったところにあって、眼球壁を貫く視神経乳頭を中心として、視神経は一本のコードのように伸びて、脳とつながっています。視神経乳頭は、網膜の視神経が束ねられて眼球から脳側に出る部分に相当します。

 うっ血乳頭は、脳腫瘍(しゅよう)のほか、水頭症、髄膜(ずいまく)炎、硬膜下出血、くも膜下出血、脳膿瘍(のうよう)などで、頭蓋(とうがい)の内圧が上昇したり、眼内圧が異常に低下した時に起こります。

 初期には無症状なこともありますが、一般症状としては、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)などのほか、時折、視野が暗くなる発作があります。進行すると、視力の低下、視野狭窄(きょうさく)がみられ、視神経は委縮してきます。

 この疾患を起こす原因は、脳腫瘍などいずれも命にかかわる疾患ですので、急いで医師の治療を受けることが必要です。

■うっ血乳頭の検査と診断と治療

 無症状の脳腫瘍もあるので、うっ血乳頭がある場合、医師による精密検査が必要です。

 眼科的な検査のみでなく、脳神経外科的な検査が行われます。眼科的には蛍光眼底検査で視神経乳頭の状態を調べ、脳神経外科的には脳神経症状、頭部X線検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴映像法)検査、脳血管撮影などによって調べ、診断が行われます。

 うっ血乳頭自体の治療は行われませんが、脳神経外科との連携により探求された原因疾患の治療を行います。頭蓋の内圧が高まって視神経を圧迫し、乳頭をはれ上がらせる原因疾患が取り除かれずに、うっ血乳頭が持続すると、視神経委縮を起こして失明に至ることもあります。

 

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