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乳房のすぐ下には大胸筋、その下には小胸筋という筋肉がありますが、この胸筋温存乳房切除術にも、大胸筋だけを残す大胸筋温存乳房切除術と、両方の筋肉を残して乳房を切除する大小胸筋温存乳房切除術があります。
リンパ節転移が多い場合などは、リンパ節を確実に切除するために、小胸筋を切除することがありますが、最近は両方の筋肉を残して乳房を切除するケースが多くなっています。腕を動かす時に主に使われる大胸筋を残すだけでも、ハルステッド法に比べればかなり障害は少なくなります 。
さらに、近年では、早期に発見された乳がんに対しては、乳房を全部切り取らずに、しこりの部分だけを取り除いて、残した乳腺に放射線をかける乳房温存療法が、盛んに行われるようになりました。日本では2003年に、乳房温存療法が乳房切除術を数の上で上回るようになり、標準的な手術法となっています。
この乳房温存療法では、乳房を残して、がんの病巣をできるだけ手術によって切除し、残ったがんは放射線の照射で叩くというのが基本的な考え方ですので、放射線治療は必須です。一般的には、わきの下のリンパ節転移があるかどうかにかかわらず、しこりの大きさが3センチ以下で、乳房の中でがんが広範囲に広がっていないことなどが、適応の条件とされています。
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