自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾// 人体 人体 人体 人体 人体

∥全身の出物が発する健康情報(3)∥

∥皮膚の垢をチェックする(2)∥

 

●入浴で肌を清潔にして若さを保とう

 人間の皮膚というものは、体温の調節器官であり、有害なものを遮断する最前線の防衛網である上、大気中から酸素や窒素、「気」も吸収し、さらに外部と通ずる感覚受容器官でもあった。

 従って、皮膚を清潔にして、それらの機能を促進するため、毎日入浴することをぜひ勧めたい。加えて、身近な入浴は、全身の組織を柔らかくし、体液をアルカリ性に変える作用もするし、精神と肉体の若さを保つ効用も認められる。

 人間が若さを保つためには、感情や肉体の圧力が大敵であり、圧力のある人は心臓に負担がかかり、血圧が高くなり、体にガスができるからガンの原因にもなるのであるが、風呂にのんびり入って疲れをとるのが、その解消法として好ましいのである。

 ほかにも、息を吐く、水を飲む、体を投げ出して休むなど、生かされているという形になれば、圧力は解消するものである。

 特に年寄りは、毎日風呂に入るのがよいだろう。入浴好きの人は長命である。体を休ませ、温める。そして、肌の清潔を保つことにもなる。

 寒冷の地方の人は、冬など入浴を面倒がったりするが、それはよろしくない。温暖の地方に長寿者が多いのは、単に気候のためばかりではなく、入浴の度数が多いということも大きな原因になっている。

 ぬるめの湯で、みぞおちのあたりまで下半身をよく温めると、上寒下温の効き目もある。

 昔の人は「頭寒足熱」などといって、頭は涼しく、足は温かくすることを健康法としてきた。下半身は生かされているという、人間の根本を養う大事な部分であるから、ここを鍛えて血の巡りをよくするために、腰から下は冷えないようにする用心が大切なことを、体験的に知っていたのである。

 年配の者は絶対、腰と足を冷やしてはいけない。「暖かいな」と思っても、足は何か履いていなくてはいけない。そういう習慣をつけておくべきである。

 この足腰を温かくしておく点で、入浴の効は実に大きいし、若さを保つ効果も顕著。血行がよくなり、神経が調整されるからである。

 人間の体の健康というものは、細胞そのものだけでなしに、体内を循環する血液のよしあしにも影響されるものである。血液の循環作用が本当に正常になされていれば、病気にはならない。同時に、細胞自身がしっかりとありさえすれば、人間の体は盤石なもので、そこに健康が成り立ってくるものである。

 年寄りの血管が古びていても、それを長く使えるようにするには、まず、第一には心臓に負担をかけないこと。第二には精神に負担をかけないこと。人間は我慢、忍耐、努力ということをよくやるけれども、これも血液や血液の循環に対しては、よくないことなのである。実際、血液に負担がかかっていても、血管や血液自体にはそれほど圧迫を感じずに循環がなされているから、これが本人にはわからないのである。

 人間の血管というものは、寒さに対して非常に弱く、暑さにはそれほど影響を受けないものであるから、風呂に入るということで、血液の循環というものは、まさによくなるわけである。

●心身の疲れがとれる正しい入浴法

 年寄りばかりでなく若い人たちにとっても、毎日の入浴が体に果たす役割は大きい。心に果たす役割も大きい。

 昼間の仕事中、勉強中というのは、大抵の人が筋肉も、精神も緊張させている。夜の入浴は、その心身の緊張を解いて、体を温め、休息の態勢を整える。一方、朝のシャワーは、まだ始動していない頭と全身を目覚めさせ、やる気を呼び込んで、出陣の態勢にする。

 ここで重要なのは、入浴の仕方一つで体は楽にもなるし、逆のことにもなるということだ。正しい入浴は夜の疲れをとり、朝の活力を起こさせるが、入浴でかえってだるくなったり、寝つけなくなることもあるので要注意。

 入浴が楽になるか苦になるか、その分かれ目となるのは、お湯の温度と入浴の時間である。

 例えば、熱いお湯にざっとつかる、江戸の銭湯のような入浴では、熱いという刺激が交感神経の緊張をうながし、神経を鎮静するどころか、かえって興奮が呼び起こされる。これでは一日の疲れをとって眠りに入ろうとする人には、まるで向いていないということになる。

 安らぐための入浴であれば、皮膚との温度差の少ない三十七度前後のお湯に、ゆったりと長めにつかるのが望ましい。この温度だと、ストレス解消などをつかさどる、副交感神経に作用してくれるからだ。ただし、肉体疲労時にぬるいお湯に長くつかりすぎると、かえって疲れやだるさが引き出されるので、適度に引き上げること。

 夜の入浴と反対に、朝の入浴の場合は、四十度以上のやや高温のお湯にざっとつかり、交感神経を刺激するとよいだろう。眠気は飛び、体もしゃんと緊張して、活動しやすくなるはず。

 逆に、朝からぬるい湯にのんびりとつかっているのでは、副交感神経の出番となり、ストレスがなくなるのはいいが、仕事や勉強に取り組むやる気までも失せてしまうので、注意を要する。

●上寒下温効果が認められる半身浴

 温度と時間に左右されるといえども、本来、入浴が頭の働きを高めることは、アルキメデスの原理がお風呂で発見されたことでもわかる。人間の発生という観点から考えると、脳は皮膚が変形したものであり、皮膚のほうは脳の薄い膜ともいえる。この薄い脳から内臓や脳へ神経が通っていて、皮膚の刺激が脳へと伝わっていくのである。

 この皮膚刺激をもっと効果的に行う入浴法として、熱い湯に入っている最中に、体に冷たい水をかけるという方法もある。

 赤ちゃんが仮死状態で生まれた時、熱い湯と冷たい湯に交互に入れると、薄い脳の膜である皮膚が刺激されて産声を上げることがある。

 皮膚表面を温めたり、冷やしたりの繰り返しは、体全身を刺激することになるから、毛細血管や自律神経、感覚神経を通して脳に刺激を伝えるのである。そして、冷たい水をかけるということは、生体防衛反応を働かせて、脳を活性化させるのだ。

 次に、日常の入浴は全身浴であるが、上寒下温の効果がある半身浴を実行してみるのもいいだろう。半身浴とは、下半身だけを温める入浴法のことである。先にも述べた通り、足や腰など、体はとかく下半身だけが冷えてしまいがちだが、頭寒足熱でじっくりと温まることによって、万病の元である冷えを取り去ろうという入浴法だ。

 一言で半身浴といっても、やり方は何通りかある。裸になって、ぬるいお湯にみぞおちから下を長い時間、のんびりとつける方法。また、上半身は肌着を着込んで、腰から下だけを温める腰湯と呼ばれるもの。薬湯に腰から下だけつかる方法もある。

 共通しているのは、下半身をじっくりと温め、肌に汗をたっぷりかくことで老廃物を排出し、疲労、倦怠感、だるさを取り去り、肩凝り、腰痛をいやし、血圧を安定させと、いいことずくめであることだ。何度か試してみて、自分の体質に合った温度、入浴法を選んでみたらいいだろう。

 そのほか、風呂に入る際は、体全体を健康にするために、体を洗う時など、亀の子だわしかヘチマのような、少し質の強い物で皮膚を刺激すると、皮膚から本当の艶が出る。皮膚は外界と内界との境界にあるものだから、皮膚が強くなると、本当の肉体の血色というものが輝くように出てくるのである。

 人間の体というものは、縦横に均整のとれたものであるから、あまり太りすぎている人は、養分を節するか、運動をする。亀の子だわしで、湯に入る時も、起きる時も、裸になってよくこすり、摩擦していると艶が出る。常に生き生きとして、皮膚呼吸をするから、血色がよい。

 入浴に際して注意してほしいことは、飽食、大食して風呂に入ることは禁物で、食事をしてすぐに入浴することも、健康にとってはマイナスになるということである。

●頭のフケは皮膚の垢と同じもの

 全身の皮膚の一部に、頭の皮膚がある。皮膚の細胞が角質化し、表皮からはがれたカスが垢だったのに対して、頭の皮膚の場合はフケと呼ばれている。垢とフケは同じものなのだ。

 清潔指向が強い現在の日本では、たくさんのフケがある人を探すのは難しいはずであるが、実は意外に、フケに関して悩んでいる人は多い。フケは少しでも目立つもので、肩にパラパラといった程度でも、印象に影響するのである。

 単純に、頭を洗えばフケは出なくなるというものではない。フケ性の人は、洗っても洗っても、フケがどんどん出てきて止まらないということもある。このような場合は、異常なフケが出ていることが多い。頭の出物にも、正常なものと異常なものがあるわけだ。

 皮膚の垢と比較してフケが目立つのは、頭皮にはたくさんの皮脂腺があって、そこから分泌されている脂肪がフケ同士をくっつけてしまうからであり、大きなフケが出て困っている人は、皮脂が多すぎるのかもしれない。

 逆に、頭皮の皮脂が少なすぎても、フケに悩まされることになる。乾燥した細かいものが出るのである。

 いずれの場合にしろ、脂っぽいのか、乾燥しているのか、自分の頭皮の状態を調べて、それに合わせたシャンプーやリンスを活用すれば、正常なフケは抑えることができるだろう。

 問題は異常なフケであり、いわゆるフケ性の人の頭皮では、何らかの原因で新陳代謝のスピードが速くなり、その結果として角質層がどんどん作り出され、それが大量のフケになる。いくら頭を清潔にしても、そのままの状態では逃れる方法はない。

 新陳代謝を速める原因は、さまざまな刺激である。紫外線や微生物、傷、あるいは精神的ショックやストレスも刺激となる。また、毛髪や頭皮に付着した汚れや微生物による刺激も、フケの大きな要因なのである。

 頭を清潔に保つことと同時に、ストレスのない安定した生活を送ることが必要なのである。

 

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