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∥四百四病の事典∥
慢性中耳炎とは、耳の鼓膜と内耳との間にある中耳に起こる炎症。耳垂れ、すなわち耳漏が主症状で、同じ中耳の炎症でも、耳痛、発熱、耳鳴りを伴う急性中耳炎とは、かなり様子が違っています。
慢性中耳炎の多くは、小児期からの持ち越しです。この慢性中耳炎には、2つの型があります。1つは、連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌といった化膿(かのう)菌の感染による慢性化膿性中耳炎。もう1つは、鼓膜に穴が開く穿孔(せんこう)から、回りの上皮が中耳に入り込んで、上皮の剝脱(はくだつ)角化物がたまり、腫瘍(しゅよう)のようにみえる真珠腫性中耳炎。
症状としては、鼓膜に穿孔があり、持続的に耳垂れが出ます。真珠腫性では、耳垂れに悪臭があります。耳垂れの刺激で外耳道炎を起こしやすく、多くは難聴を伴います。
経過中にめまいを起こせば、内耳炎の併発が疑われ、発熱や激しい頭痛があれば、脳合併症の疑いもあります。急いで、専門医に診てもらいます。
慢性中耳炎の診断は、比較的簡単で、鼓膜の穿孔、耳垂れの有無が目標になります。耳垂れの細菌検査、CTを含む耳のX線検査、聴力検査を行います。
治療では、抗生物質で炎症を抑え、耳垂れを止めます。しかし、鼓膜の穿孔や破壊された中耳はそのまま残ることが多く、また、真珠腫性中耳炎では普通の治療では治りにくいので、手術が必要です。
鼓膜の穿孔をふさぎ、疾患で破壊された、音を鼓膜から内耳に伝える働きをする耳小骨をつなぎ直せば、聴力は改善できます。これを鼓室形成術といい、細かい手術のため手術用の顕微鏡を使って行います。
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