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∥四百四病の事典∥


慢性腎炎

■血液を、ろ過する糸球体に起こる炎症

 腎炎(じんえん)とは、尿を作るために血液を、ろ過する糸球体(しきゅうたい)に、出血性の炎症が起きる疾患です。正確には、糸球体腎炎といいます。

 免疫の異常が関係して起こると考えられており、左右の腎臓とも平等に侵されます。病気が進行すると、毛細血管の塊である糸球体だけではなく、尿細管まで障害が広がります。腎臓病のうちで最も多い病気で、一般に1年以内のものを急性(糸球体)腎炎といい、それ以上長く続くものを慢性(糸球体)腎炎といいます。

■慢性腎炎の症状と早期発見法

 慢性(糸球体)腎炎は、腎臓病の中で最も多い疾患。糸球体を中心にした慢性の炎症がみられるもので、さまざまな原因で起こる腎炎が含まれているために、近年では、疾患群(症候群)として考えられるようになっています。

 いずれにしても、蛋白尿や血尿とそれに伴う症状が1年以上に渡って、持続する状態を、慢性腎炎と呼びます。ただし、糸球体腎炎以外で、異常尿所見や高血圧を呈する病気は除きます。

 この慢性腎炎では、何ら前兆や誘因もなく発症してくることが多く、また進行して腎不全となるまでは、自覚症状のないことが多いのです。そのため、定期健診の時などに検尿で見付かることがほとんどです。

 まぶたが腫(は)れぽったくなるほか、疲れやすい、食欲不振、動悸(どうき)、手足のしびれ、目がチカチカする、吐き気、嘔吐(おうと)といった症状が出る場合もあります。

 この慢性腎炎は、腎臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる腎生検によって、4種類に分けることができます。蛋白尿と血尿が出るという症状は共通しているので、あくまで腎生検を行わないと区別できません。

 腎炎の約4割を占め、日本人の腎臓病で最も多いのがIgA腎症です。このほか、巣状糸球体腎炎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎があります。

 IgA腎症では、発病初期から肉眼的血尿に気付くことが多いのが特徴的です。発症は10代後半から30代前半に多く、やや男性優位です。顕微鏡で見ると、IgA(免疫グロブリンA)という抗体が、抗原と結合して免疫複合体となり、糸球体のメサンギウムという部位に沈着しています。

 巣状糸球体腎炎では、糸球体の基底膜という部位に、微小な変化が生じています。膜性腎症では、糸球体の基底膜が肥厚しています。膜性増殖性糸球体腎炎では、糸球体の基底膜の肥厚に加えて、細胞の数が増える変化が生じています。

■慢性腎炎の治療と療養上の注意

 慢性(糸球体)腎炎で最大の問題となるのは、病態が進行するにつれて、次第に腎機能が低下して腎不全となり、人工透析が必要となる例があることです。そのため、病態の進行を阻止することが、治療の最大の目標になります。

 現在のところ、進行を確実に止めるという方法は確立していませんが、病態に合わせて、次のような薬物が用いられています。

 ネフローゼ症候群の場合と同様、尿蛋白量の多い場合、抗炎症作用がある副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)が用いられることがあります。腎炎の始まりが免疫反応によると考えられているので、免疫抑制剤が用いられることもあります。

 2つの薬を併用して治療に当たることもありますが、この2剤は副作用も強いので、医師の指導のもと、血液検査など定期的なチェックを受けながらの服用となります。「症状が軽くなった」と勝手に判断して、服用を止めることは危険です。

 糸球体内で血液が凝固することが腎炎の進行を速めると考えられているため、血液凝固の主役である血小板の働きを弱める薬も、よく用いられています。

 高血圧も腎炎の進行を速めることが知られていて、高血圧を合併している場合には、降圧剤による治療が行われます。最近、降圧薬の中には、蛋白尿を減少させ、さらに腎機能の低下を抑制するものの存在が確認され、そのために高血圧がなくても治療に用いられるようになってきました。また、むくみのあるような場合には、利尿剤も用いられます。

 食事療法も、腎機能の程度、症状の有無に応じて行われます。基本的には、食塩と蛋白質の摂取量に注意することです。蛋白質は1日、体重1kg当たり1g以下に抑えられます。塩分は軽症の場合、多少控える程度で大丈夫ですが、病気が進行している状態では、1日に5~8g程度にされます。ほかに、水分量とエネルギー摂取量が過不足にならないようにされます。

 慢性腎炎は経過が長引く疾患で、一部のものは進行性に悪化しますので、生活上の注意は重要です。まずは、風邪や下痢などを起こすと、数日後に肉眼でわかる血尿や蛋白尿が出たり、体がむくんだりすることがあるので、こうした病気にかからないように注意しましょう。

 体力と集中力を必要とする仕事や勉強などは、避けましょう。根を詰めてこなさなくてはならぬことは、腎臓に負担をかけます。なるべくリラックスして過ごせるようにして、夕方から夜にかけても、安静に過ごすことが大切です。

 病状にもよりますが、一般に体操や散歩など軽い運動は大丈夫です。ただし、激しいスポーツや、体を冷やす恐れのある運動は避けましょう。

 

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