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∥四百四病の事典∥


●性感染症(STD)●

●増えているエイズなどの感染症

 日本では、コレラ、赤痢といった法定伝染病は以前に比べて、少なくなりました。代わって、新たな感染症が増えています。

 世界的な問題になっているエイズも、その一つです。また、クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症など、その他の性感染症(STD=sexually  transmitted diseases)も増えています。これらは若者の間で流行していることに加えて、一般市民に広がっていることで社会問題になっています。

 性の解放、男性同性愛の増加、無防備な性行為、軽いSTDの放置などが、流行拡大の要因と考えられています。

 また、海外との交流が活発になることで増えてきた輸入感染症も、増加の一途をたどっています。輸入生鮮食品などによる寄生虫病も、その一つです。

 インフルエンザも、代表的なウイルス感染症です。香港でニワトリから人に感染した新型インフルエンザも記憶に新しいところで、ここ数年のインフルエンザの流行はA香港型が主流なのですが、同じA香港型でも突然変異で少し変化したウイルス株が次々と現れて毎年、重症な症状を引き起こしています。

 最近、報告された新しいウイルス感染症では、成人T細胞白血病リンパ腫(ATLもしくはATLL=adult T-cell leukemia-lymphoma)があります。これは昔からあった白血病の一種ですが、キャリアからの輸血、性交、母乳などにより感染します。

 感染症の多くは、気を付けていれば防げる病気です。感染源との接触に十分注意するほか、日常の健康状態に配慮し、環境や食生活の衛生保持が必要です。もちろん、有効な予防接種も大いに役立ちます。

●いろいろなSTD

 性感染症(STD)については、セックスによって移る病気全般を指しています。かつては「性病」と呼ばれ、「遊んでいる人の病気」というイメージが強かったのですが、現在はインフルエンザなどと同じ感染症の一つと考えられ、セックスをしたことのある人なら誰でもかかる可能性のある病気、と見なされています。

 STDの病気の範囲はとても広く、クラミジア、性器ヘルペス、淋菌感染症、毛じらみ・疥癬(かいせん)、子宮頸がんの原因になる尖形(せんけい)コンジロームやウイルス性肝炎(B型・C型肝炎)などがあり、さらにエイズ(HIV感染症)や成人T細胞白血病(ATL)まで含まれるわけです。

 以下、特に流行して問題の多い病気に絞って、STDを紹介しましょう。

  病  名

     病気の特徴

   治療法

クラミジア

 クラミジアとは、セックスによりクラミジア・トラコマティスという病原体に感染する病気。潜伏期間は数日だが、感染した病原体が少ないと、1カ月ぐらい後に発病する場合もある。

 男女とも症状が軽いために気付かないことも多いせいで、感染を拡げてしまう。

 特に女性の場合は症状が出にくいために、初めは子宮の頸管部に起きた炎症(子宮頸管炎)が子宮内膜、卵管、腹腔内へと、体の奥へ奥へ広がる恐れがある。

 女性に比べると男性は症状が出やすいが、放っておいても自覚症状が消えてしまうので、治療を受けなかったり途中で中断してしまう人が多く、こちらも体の奥に入り込み、前立腺に膿を持ったり、睾丸に感染して不妊症の原因になったり、周囲に感染を拡げる原因ともなっている。

 感染初期であれば、適切かつ十分な抗生物質の飲み薬により、通常2週間ほどで治療可能。

 ただし、パートナーが一緒に治療しなければ、治ってもすぐ移されてしまうので要注意!ゆえに、複数のパートナーがいる人の場合は、「性行為をするグループ全員」の治療をしなければならない。

 自覚症状が消えても、投薬の中止は専門医の判断にゆだねること。勝手に治療を中止するのは禁物。

尖形(せんけい)コンジローム

 セックスにより、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染して発症。

 男女ともに性器から肛門にかけて、先の尖った白色からピンク色の細かいイボができる。痛みやかゆみはないが、増殖するとイボが群がってカリフラワー状に。

 他のSTDと合併しやすいのも、尖形コンジロームの特徴。

 悪性型のHPVは女性の場合は子宮頸がん、男性の場合は陰茎がんの原因に関わるとも見なされており、きちんと治療することが大切。

 患部を電気で焼いたり、凍結させて取り除いたりする外科的手術による治療法と、患部に軟膏を塗る治療法とがある。     

 日本では軟膏の保険認可がないことと、効果が不確実なので、レーザー照射を含む外科的手術や、冷凍凝固が主流となっている。

 再発しやすいので、根気よく治療を続けることが大切。

淋菌感染症

 淋菌と呼ばれる細菌によって感染。1回のセックスで移る確率は50%とも言われ、かなり強い感染力を持つSTDが淋菌感染症だ。

 女性の場合、症状が出にくいので感染が進みやすく、炎症が子宮の奥や卵管に進むと不妊の原因に。感染したまま出産すると、産道で赤ちゃんに感染し、失明させることもある。

 抗生物質の普及で一時は減ったものの、1998年頃から男女ともに増加の傾向が見られる。とりわけ、オーラルセックスの一般化により、咽頭感染が目立ってきている。中年以降の男性の淋菌感染症のほとんどは、風俗店での感染といっても過言ではない。

 適切かつ十分な抗生物質を4-7日投与するが、治癒の判定は専門医にゆだねるべき。自己判断で投薬の中止をしてはいけない。筋肉注射が有効な場合もある。

 近年、抗菌剤が効かない耐性淋菌も増加していて、有効な治療薬が短い期間で変わってしまうので、たとえ大学病院といえども対応しきれないこともある。第一線の経験豊富な専門医を選びたい。

性器ヘルペス

 性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって感染する。STDの中では、クラミジアに次いで発症が多い。

 症状の出方は2通りあり、激しい痛みと発熱を伴う「急性型」と、感染後に再発を繰り返す「再発型」とがある。再発の場合には自覚症状が軽いので、知らず知らずのうちにウイルスを放出している恐れがある。

 自分の手についたものが目に入ると、角膜炎などを起こす危険がある。

 高熱や激痛などの重症のものには、抗ウイルス剤の注射や飲み薬が処方され、水ぶくれや潰瘍には軟膏が処方される。

 通常は1-2週間のうちに症状が治まるが、体からウイルスがなくなるわけではないため、完治は難しく、体力が落ちている際に再発しやすい。

毛じらみ・疥癬(かいせん)

 どちらも寄生虫によって感染。

 毛じらみは吸血虫で、陰毛や腋毛などの体毛について吸血・産卵し激しいかゆみを引き起こす。減少していたものの、90年代半ばから再び、増加の傾向に。

 疥癬はヒゼンダニというダニによるもので、陰部に限らず全身に激しいかゆみが現れる。

 体毛を剃ることが治療の第一歩。成虫は肌から離れると数時間で死んでしまうが、卵は生き続けるため駆虫剤を使うが、とにかく根気強い治療が必要。

 下着やシーツなど、洗濯して乾燥機にかけたり、寝具はよく干して掃除機を何回もかける。

HIV感染症(エイズ)

 HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染して起こる病気。発病するとカリニ肺炎、カポジ肉腫という腫瘍などに侵され、全身が衰弱していく。

 1回のセックスで移る確率は0.1~1.0%と感染力はさほど強くはないものの、感染後、約10年間の潜伏期は症状が出ないため、見逃してしまうことも多い。

 日本に上陸した当時は同性愛者の病気という偏見があり、その後、薬害エイズの事件が話題になったが、エイズは異性間のセックスで感染していく「STDの一つ」でもあることを忘れてはいけない。欧米諸国でのエイズ感染者数は年々減少しているのに、日本ではエイズに対する認識の欠如もあってか、いまだに増加し続けている。 

 保健所などでは、無料無記名の検査が受けられる。結果を怖がって検査しないことが、もっとも危険。積極的に抗体検査を受けるべきである。

 HIV感染症と合併しやすいSTDは、梅毒、尖形コンジローム、性器ヘルペス、クラミジア性尿道炎の順に多い。逆にいえば、上記の病気にかかったら、HIV感染の危険性も考慮して、HIV抗体検査をするよう心掛けるべし!

 感染しているか否かは、血液検査でわかる。現在のところ特効薬はないが、抗ウイルス剤を飲むことで、発症を遅らせることができる。

 よい薬も開発されているので、根気よく治療を続けながら特効薬の開発を待つことも、可能。

    

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