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∥四百四病の事典∥


自閉症

■人と心を通わせることが不自由な、発達障害の一つ

 自閉症とは、生まれ付きの脳障害により、人と心を通わせる能力が不自由な発達障害の一種。症状は2歳までに現れることが多く、3歳までには必ず現れます。

 1943年に、アメリカの児童精神科医のレオ・カナー教授が「情緒的接触の自閉的障害」という論文で初めて報告し、最初は幼児期にみられる精神病の一つと考えられていました。現在では、広汎性発達障害の一つとして自閉性障害に分類されており、脳と脊髄(せきずい)を含む中枢神経機能の成熟の遅れによって広い範囲に及ぶ、アンバランスな発達の遅れとされています。

 子供の0・1〜0・2パーセントに発症し、女子よりも男子に2〜4倍多くみられます。自閉症の子供には精神遅滞を伴う場合も少なくありませんが、全般的な知能の遅れがある精神遅滞と自閉症は別のものです。また、うつ病や引きこもり、内気な性格を指して自閉症と呼ぶこともありますが、誤った認識です。

 自閉症のはっきりした原因は、完全には解明されていません。遺伝的な要因によって脳の構造や機能に異常が生じる疾患であることは明らかで、脆弱(ぜいじゃく)X症候群のようなある種の染色体異常は、自閉症の一因となります。出生前に風疹(ふうしん)や、ヘルペスウイルス科に属するサイトメガロウイルスに感染することも、原因となるようです。自閉症が育て方のまずさや環境の悪さ、予防接種などによって起こるものでないことは、はっきりしています。

 症状は軽度から重度まで幅がありますが、自閉症の子供は少なくとも、人間関係、言語、行動の3つの領域で症状が現れます。場合によっては、知能に影響が出ることもあります。これらの症状があるために、自閉症の子供は学校や社会で自主的に行動することができません。さらに、自閉症の子供の約20〜40パーセント、特に知能指数(IQ)が50未満の子供は、小児期の後期から思春期の早期にかけて、脳波異常やてんかん発作を合併します。

 人間関係の領域の症状として、自閉症の乳児は生後数カ月頃から反応が少なく、抱いても喜ばず、視線を合わせようとしません。親と離れると動揺する自閉症の子供もいますが、大抵はほかの子供のように安心や安全を求めて親を頼ることがありません。年長児は1人で遊ぶことを好んで、個人的に親密な関係を築こうとせず、特に家族以外の人と親しくしません。他の子供と交流する際にも視線を合わせようとはせず、顔に表情を浮かべることも、ほかの人の気分や表情を読み取ることもできません。

 言語の領域の症状として、自閉症の子供の約半数は話せるようになりません。話せるようになる子供でも、話し出すのは普通の子供より遅く、言葉の使い方に異常がみられます。意味のない独り言や、テレビのコマーシャルの一節を繰り返したりします。自分に話し掛けられた言葉をそのまま繰り返して使うオウム返しや、代名詞を入れ替えて使うこともよくあります。とりわけ、自分のことを指して「わたし、ぼく」という代わりに、「あなた、きみ」といった主客が逆の表現をよく使います。めったに他人と話すことがありませんし、異常な韻や音程を付けて話すことがよくあります。

 行動の領域の症状として、自閉症の子供は変化を非常に嫌い、新しい食べ物やおもちゃ、部屋の模様替え、新しい衣服などを嫌がります。反対に、特定の物や習慣、儀式に異常なほど執着を示すことがよくあり、極度の偏食や奇妙なこだわりがみられます。特定の行動を繰り返す傾向があり、体を揺らす、耳をふさぐ、手をひらひらさせる、全く同じやり方で繰り返し物を回転させるなどの行動がみられます。パニックや、かんしゃく、衝動的行動がよくみられ、頭を何かにぶつけたり、自分の手をかんだりという自傷行動を繰り返すために、けがをする子供もいます。睡眠のリズムも、不規則になりがちです。

 知能の領域の症状として、自閉症の子供の約70パーセントにある程度の精神遅滞がみられ、知能指数(IQ)が70未満となります。言語能力よりも運動能力や空間感覚が優れ、学習に抵抗を示して成績にむらがある一方、数学や音楽、芸術、記憶に非凡な才能をみせる子供もいます。

■自閉症の検査と診断と治療

 自閉症の子供は、愛情を通わせたり示したりすることが苦手ですが、ほかの子供たちと同じように愛されることを求めています。早期から継続的に治療していくことにより、自閉症の子供の発達を伸ばすことができます。小児科医、精神科(児童精神科)医、保健所、児童相談所、自閉症児の施設などに相談し、適切な診断と指導を受けることが必要です。

 専門家による自閉症の診断では、まず、言語や社会性の発達に遅れがあるかどうかを判断します。さらに、出生から現在までの医学的情報、診察所見、血液検査、頭部画像検査、心理発達検査などにより自閉症かどうか、治療可能な疾患や遺伝性の疾患(代謝性遺伝性疾患や脆弱X症候群など)はないか、総合的に診断します。

 自閉症の治療には、療育的方法と薬物療法とがあります。いずれも自閉症の原因に対する根治療法というよりは、行動異常に対する対症療法という意味合いが強い治療ですが、早期に適切な療育や教育を行うことが必要とされています。

 療育的方法では、刺激の少ない、落ち着いた治療環境で、自閉症の子供の基本的な行動の特徴と苦手なところを理解し、年齢や発達水準に合わせた療育や教育を個別指導と集団指導を組み合わせて行い、生活体験を広げていくようにします。

 年齢が低い間は、運動や言語や社会性の訓練、指導を行い、日常生活で自立でき、社会生活に適応できることを目指します。年長になるにつれ、人間関係を築けるようにすることを目的とした心理面への対応を組み入れていきます。

 薬物療法では、脳機能の障害に由来する自閉症そのものを治すことはできません。しかし、フルオキセチン、パロキセチン、フルボキサミンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、自閉症の子供の儀式的行動を軽減するのにしばしば効果があります。自傷行為を減らすためには抗精神病薬のリスペリドンを使いますが、運動障害などの副作用を考慮しなくてはなりません。

 自閉症の症状は、生涯続きます。経過の見通し(予後)は、子供が7歳までにどの程度使い物になる言語を習得できるかによって、大きく左右されます。標準以下の知能、例えば標準的知能指数(IQ)検査で50未満のスコアの子供は、成人後も施設で完全なケアを受けることが多くなります。知的障害の程度が軽く、ある程度会話が可能な子供は、早期からの適切な療育や教育がなされた場合、比較的予後がよいとされています。

 

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