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∥四百四病の事典∥
舌(ぜつ)がんとは、口の中の舌前方に発生するがん。歯肉がん、唾液腺(だえきせん)がんなど口の中に発生するがんの中では、最も頻度が高くて約50パーセントを占めます。
この舌がんは、普通に鏡で見える範囲の舌前方の3分の2、すなわち舌背部後方にある8〜10個の突起に相当する有郭(ゆうかく)乳頭より、前方部に生じたがんをいいます。有郭乳頭より後方に発生したものは、舌根がんと分類されます。
好発部位は舌の側縁から下面で、特に臼歯(きゅうし)部に相当する側縁部に多く発症し、舌の先端、中央、裏面にできるのはまれです。組織学的には、その大多数が扁平(へんぺい)上皮がんですが、まれに腺系(せんけい)がんも発生します。初期の舌がんではアフタ性口内炎と間違えやすく、放置していると進行がんになります。
病変の表面には、こぶ状に膨らむ腫瘤(しゅりゅう)、びらん、潰瘍(かいよう)を形成することが多く、白板、肉芽(にくげ)、乳頭状を示すものもあります。白板型、肉芽型および乳頭型のがんは外向性に発育し、粘膜表層を広範囲に侵すものの、深部への浸潤は比較的少ない傾向があります。腫瘤型や潰瘍型は内向性に発育し、深部組織に深く浸潤して、嚥下(えんげ)障害や構音障害などを生じます。
頸部(けいぶ)リンパ節への転移も多くみられ、治療後に現れる後発転移も多く認められます。全経過をみると、約50パーセントに転移が認められます。通常、口腔(こうくう)がんでは病変と同じ側の頸部リンパ節へ転移しますが、舌がんでは両側に転移することもあります。
女性の約2倍と男性に多く、50〜70歳代に多く発生します。最近では、20歳代の若い人にも認められつつあります。発生の原因は、不明です。誘因としては、口腔内の不衛生、喫煙、飲酒、義歯や虫歯による持続的な刺激が考えられています。
早期では、ほかのがんと同じように、ほとんど自覚症状はありません。ただ舌の表面がわずかにザラザラしたり、白い斑点(はんてん)状の病変が認められるものが多いようです。
最初から浅いびらんや潰瘍ができる場合には、舌が歯にこすれて痛い、食べ物がしみるなどの症状がみられます。進行してくると、舌に硬いしこりが触れるようになり、しこりの表面には潰瘍を生じ、出血しやすく、次第に激しい痛みを伴うようになります。舌の動きが悪くなり、ろれつが回らない、飲み込みにくいなどの症状も現れます。
口内炎が治りにくかったり、舌の側縁に白い斑点があったり、しみて痛かったりしたら、耳鼻咽喉(いんこう)科や、口腔外科、頭頸部外科を受診します。
医師による診断では、触診を重視します。触診により、周囲の舌の軟らかさとがんの浸潤による硬さとの違いがはっきりします。表在性のがんの場合でも、触診に勝る診断法はありません。
舌の深部に浸潤している場合には、CT検査やMRI検査を行い、がんの広がりを診断すると同時に、頸部のリンパ節転移の有無を診断します。しかし、口腔のCT検査、MRI検査では、歯の治療に使われた金属材料のため十分な所見が得られないこともあります。確定診断には、潰瘍部の細胞片を採取して調べます。
治療方法には、大きく分けて手術治療と放射線治療の2つがあります。
長径2センチ未満や、長径2〜4センチ未満の舌がんでは、放射線治療が有効です。外から放射線を照射する方法ではなく、放射線を出す線源と呼ばれる針やワイヤーを舌に刺して、直接組織内に放射線を照射する方法です。治療の数日後に、刺した線源を抜き取ります。また、放射線を出して、次第にエネルギーが減衰していく金属の小粒子を埋め込む方法もあります。これらの放射線治療は、比較的浅い部分にあるがんで有効。
一方、手術治療は小さいがんでも有効です。大きな進行がんでは、切除手術と再建手術を同時に行います。舌がんでは部分切除術、半側切除術、亜全摘術、全摘術などがあります。部分切除術以上の切除では、再建手術を行います。
半側切除までであれば、手術後の言語は十分に保たれます。切除した部分が大きいほど、言語と咀嚼(そしゃく)、嚥下などの機能障害が強く出ます。近年では、再建手術が進歩したため、舌の3分の2を切除しても術後の機能は比較的良好で、社会復帰が容易にできるようになっています。
手術の前後に、放射線照射を行ったり、抗がん剤による化学療法を加えることもあります。術後は積極的に舌を動かして、リハビリテーションを行う必要があります。
頸部リンパ節転移に対する治療も、大切になります。初診時になかったリンパ節転移が治療後に現れることが、約20〜30パーセントにみられます。見付けたら早急に、転移のあるリンパ節のみならず、頸部のリンパ節を周囲の組織も含めてすべて摘出することが必要です。
リンパ節の後発転移が予後に影響し、舌がんの5年生存率は全体で約60パーセントです。
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