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∥四百四病の事典∥
臍肉芽腫(さいにくげしゅ)とは、新生児の臍帯が乾いて脱落した跡に、豆状の肉の塊である肉芽が増殖したもの。
出生時に母胎と切り離された新生児の臍帯(へその緒)は、生後1週間〜10日で乾いて自然に脱落し、本来ならば、跡はすぐ皮膚で覆われます。臍帯が脱落する際に、臍帯の組織の一部が臍底に残ると、これが増殖して盛り上がるために、米粒から小豆粒ぐらいの大きさで、赤いいぼのような臍肉芽腫が生じます。時には、大豆(だいず)大になり、臍部から表面に飛び出して見えることもあります。
肉芽腫の表面から、少し濁った滲出(しんしゅつ)液が出るため、いつも湿って乾きが悪く、放置すると細菌感染を起こしたり、こすれて出血したりします。表面が上皮化して、皮膚のように硬く強くなることもあります。
なお、胎生の初期では、臍帯が腸管や膀胱(ぼうこう)とつながっているために、まれに腸管の一部が臍部に残る臍ポリープを生じたり、膀胱とのつながりが臍部に残る尿膜管遺残を生じたりすることがあります。これらは臍帯の名残の臍肉芽腫とは別のもので、治りにくく手術が必要です。
退院した後1週間〜10日ぐらいしても、へそがジクジクしているようなら臍肉芽腫の可能性がありますので、出産した病院または小児科を早めに受診します。
医師による治療では、滅菌した糸で肉芽腫の根元を硬く縛り、ステロイド含有軟こうを塗布してガーゼで覆っておくと、2〜3日で取れます。小さければ、硝酸銀棒(ラピス)や硝酸銀液で焼き切る方法もあります。
硝酸銀棒はそのまま使用し、滅菌蒸留水100cc に硝酸銀20gを溶かした硝酸銀液は滅菌綿棒に染み込ませて使用します。焼き切った後は、化学熱傷を起こさないように、臍部を生理食塩水を浸した滅菌綿棒でよくふいて、硝酸銀を除去します。
以上の処置で治らない臍肉芽腫の場合は、手術で切除することもあります。臍ポリープ、尿膜管遺残の場合も、手術で切除することが必要です。
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