健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 病気 健康創造塾 健康創造塾

∥四百四病の事典∥


細菌性肺炎

■さまざまな細菌が肺に入り、肺の奥の領域に炎症が起きる疾患

 細菌性肺炎とは、一般細菌が肺に入り、酸素と炭酸ガスの交換を行う肺胞や肺間質など、肺の奥の領域に炎症が起きる疾患。実に多種類の細菌が関与します。

 普通はまず、ウイルス感染が起きて、気道粘膜が障害を受けたのに乗じた形で、細菌による二次感染が起きるという過程をとります。

 細菌性肺炎の代表的なもので、ふだん健康な人がかかる市中肺炎を引き起こす主な原因となるのは、肺炎球菌によるものです。人間の右肺は上中下3つ、左肺は上下2つの大きな袋である肺葉に分かれていますが、この肺葉全体を侵す大葉性肺炎を起こすことで、肺炎球菌はかつては有名でした。抗生物質の発達した現在では、大葉性肺炎は珍しくなり、気管支肺炎にとどまるもののほうが多くなりました。

 黄色ブドウ球菌も、肺炎を起こします。この菌のうち、ほとんどすべての抗生物質に耐性を示す耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が近年、重症の疾患で入院している人がかかる院内肺炎の原因となり、大きな問題となっています。

 インフルエンザ桿菌(かんきん)も、肺炎を起こします。この菌の場合には、気管支拡張症、慢性気管支炎などの呼吸器疾患を持っている人に、繰り返し急性の気道感染を起こすのが、問題となっています。

 同じように、緑膿菌(りょくのうきん)という厄介で、院内肺炎の原因となる菌があり、気管支拡張症、びまん性汎細(はんさい)気管支炎などの疾患を持つ人の気道に住み付いて、治療をしてもなかなか取り除くことができません。

 レジオネラ菌も、肺炎を起こします。1976年にアメリカで集団発生したことにより発見された菌で、建物の屋上などに設置されている冷却塔であるクーリングタワー、エアコンディショナーなど、空調設備や給湯系を介した感染や、土壌、河川などの自然環境からの感染が知られるところ。日本での特徴としては、温泉、特に消毒が不十分な沸かし湯を用いた風呂(ふろ)での感染が多いことです。

 また、高齢者に多い嚥下(えんげ)性肺炎も、細菌性肺炎。唾液(だえき)や物を飲み込みにくいために誤飲して、さらに誤飲した物を吐き出す力が弱いために、細菌感染が起こることが原因です。

 細菌性肺炎の症状は、発熱と激しい寒け、せき、たんなどが主な症状。発熱は39度以上と、高熱になることがしばしば。

 せきが激しい時は、それに伴って胸が痛くなります。肺炎が胸壁を覆う胸膜にまで達して胸膜炎を合併した時は、激しい胸痛が起こることがあります。頻度はあまり多くないものの、たんに血が混じることがあり、気管支拡張症などの既往症がある時は、血たんがしばしば認められます。

 しかし、体の反応の弱い高齢者では、あまり激しい症状が出ないことも少なくなく、気が付いた時にはかなり悪化していることもあります。風邪を引いた後、いつまでもだるそうにして元気がなく、食欲も回復しない時は、肺炎を疑う必要があります。

 肺結核などの呼吸器疾患の既往症がある人や、肺の疾患で手術を受けた人が肺炎にかかると、劇症になりやすくなります。肺から取り込む酸素が不足し、速く浅い呼吸になり、時には呼吸困難に陥ることもあります。

■細菌性肺炎の検査と診断と治療

 肺炎が劇症になると、時には呼吸困難に陥ることもありますので、なるべく早期のうちに呼吸器内科、呼吸器科の専門医を受診します。

 医師は、胸部X線撮影を行います。炎症が起こると肺の末梢(まっしょう)血管から水分が染み出して、肺胞にたまりますが、これがX線で撮影すると影になって見えます。

 ほかに、血液検査を行って白血球の増加、CRP値(C反応たんぱく)の増加、赤血球沈降速度の高進など、炎症反応を調べます。有効な抗生物質を探るために、たんを培養して原因菌も調べます。

 細菌性肺炎の治療の基本は、原因となっている細菌の排除を目的に、抗生物質を投与すること。通常、市中肺炎で原因となる細菌は肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌であるため、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質、ニューキノロン系の抗菌剤が用いられます。

 院内肺炎の場合は、セフェム系やマクロライド系、ペニシリン系の抗生物質がよく用いられます。

 対症療法として、たんをサラサラにして出しやすくするために去たん剤、せき込みによる体力の消耗を防ぐために鎮咳(ちんがい)剤が用いられます。

 いろいろのタイプがある肺炎は、かつては非常に怖い疾患の一つでしたが、現在は胸部X線検査の進歩で早期に診断できるようになり、ペニシリン系、セフェム系などの抗生物質の開発で、完治しやすくなりました。しかしながら、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者、体の衰弱した疾患の人などの肺炎による死亡率は依然として高く、油断できない疾患だといえます。

 日常生活においては、風邪を引かないように注意する、 うがいや歯磨きでいつも口の中を清潔にする、 室内の換気をよくし空気を清潔に保つ、禁煙するなどの予防対策を施したいものです。

 

ホームへ戻ります コンテンツのトップへ戻ります ページのトップへ戻ります

ホームへ戻ります 四百四病の事典のトップへ戻ります ページのトップへ戻ります


Copyright 2003〜 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.