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∥四百四病の事典∥
縦隔気腫(じゅうかくきしゅ)とは、胸腔(きょうくう)を左右に区切る縦隔の中に気体がたまる疾患。縦隔血腫とは、縦隔の中に血液がたまる疾患。
縦隔は、左右の肺の真ん中にあり、縦に広がる円筒状の空間。前方を胸骨、後方を脊椎(せきつい)、下方を横隔膜に囲まれています。その中には、前部に心臓、大動脈、大静脈、胸腺(きょうせん)、横隔膜神経、後部には気管、食道、迷走神経が収まっています。
この縦隔に、傷付けられた気管や気管支から空気が漏れ出てたまるのが縦隔気腫であり、同じように、血管から血液が流れ出てたまるのが縦隔気腫。
原因となるのは、交通事故などによる胸部の強い打撲、銃弾や刃物などによる外傷、気胸、皮下気腫、気管支ぜんそくなど。症状としては、胸痛、胸部圧迫感、皮膚が紫色になるチアノーゼ、血たんなどが現れます。重症になると、顔や首のはれが現れ、窒息することもあります。
これらは往々にして、原因を作った外傷や、合併してみられる気胸などの陰に隠れて、見逃されてしまいます。
進行性で高度な縦隔気腫、縦隔血腫の場合は、一般の人ができる応急処置は特にありません。重い呼吸障害を起こす肺損傷や気管損傷、気管支損傷に起因していることが多いので、一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。
医師による診断では、胸部単純X線検査や胸部CT検査が行われます。
縦隔気腫、縦隔血腫の治療は、流出した空気や血液が少量の時には必要ありません。流出した空気や血液が多量で、疾患が進行している場合などには、空気や血液が漏れた原因の治療が行われます。内科的な治療で改善の見込みが薄い場合、打撲や外傷が原因の場合は、外科的な手術が行われます。
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