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∥四百四病の事典∥


結節性多発動脈炎

■全身の中小動脈に炎症が起こる疾患

 結節性多発動脈炎とは、全身の中小動脈の動脈壁に炎症が起こる疾患。中小動脈に血管炎が起こる本症と、細小動脈から静脈に血管炎が起こる顕微鏡的多発血管炎とを併せて、結節性動脈周囲炎とも呼ばれます。

 膠原(こうげん)病の中でも非常にまれで重い疾患といえ、全身の諸臓器に分布する中小動脈に血管炎が生じるため、多様な症状を示します。ほかの膠原病が女性に多くみられるのと異なり、やや男性に多く、通常中年から壮年に発症します。日本では、国の特定疾患(難病)に指定されています。

 原因は不明です。B型肝炎ウイルスやヘアリーセル白血病、大気汚染などの関与が、示唆されています。初発症状としては、高熱が出て、関節痛、筋肉痛が起こり、体重減少、全身の消耗がみられます。

 侵される血管の部位によって、引き起こされる障害は異なります。皮膚の場合は、結節性紅斑(こうはん)や紫斑、潰瘍(かいよう)、時に指先に壊疽(えそ)が起こることがあります。心臓の場合は、狭心症や心筋梗塞(こうそく)が起こります。腎(じん)臓の場合は、高血圧、腎不全が起こります。腸管の場合は、激しい腹痛、嘔吐(おうと)、下血などがみられます。神経の場合は、末梢(まっしょう)神経障害が起こります。筋肉の場合は、筋肉痛の原因となります。目の場合は、黒内障といって突然失明することがまれにあります。

■結節性多発動脈炎の検査と診断と治療

 結節性多発動脈炎はまれな疾患ながら、生命や臓器不全の危険性があるので、専門医の意見を聞いて入院治療を受けることが重要です。早期診断、早期治療が望まれますので、膠原病内科、腎臓内科などを受診します。

 血液検査によって、血管の炎症の程度を調べます。皮膚や筋肉などの生検、血管造影、障害が起こっている臓器を調べる検査なども、診断のために重要です。区別すべき疾患は、顕微鏡的多発血管炎など他の血管炎および膠原病です。

 治療には、高用量の副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)と免疫抑制剤が用いられます。重篤な臓器病変が生じたら、それに応じた治療も行われます。腎臓が侵されやすく、腎不全では人工透析が行われます。心筋梗塞では、冠動脈形成術も行われます。

 

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