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‖四百四病の事典‖


仮面高血圧

●仮面をつけた高血圧

 医療機関の診察室で医師が測ると正常血圧なのに、病院以外のふだんは高血圧の病態を、「隠された高血圧」、「正常血圧という仮面をつけた高血圧」という意味で「仮面高血圧」と呼びます。

 仮面高血圧は発見しにくく、治療もされない状態が続くため、将来、「持続性高血圧」と同等に脳卒中、心筋梗塞(こうそく)などになるリスクが高い病態として、近年、非常に注目されています。

  誰でも簡単に計れる電子血圧計が家庭に普及したことや、持続血圧モニタリング装置で24時間血圧の測定が可能になったことで、仮面高血圧の存在が予想以上に多いことがわかってきたのです。

 従来からよく知られていたのは、「白衣高血圧」です。こちらは、医師が測る外来血圧のほうがふだんの血圧より高くなってしまうことです。

 白衣高血圧の人は、病院という非日常的な環境に緊張してしまうようです。緊張すれば、血管が収縮して、血圧が上がります。とりわけ、医師の白衣がきっかけになると考えられるので、白衣高血圧と呼ばれるのです。

 白衣高血圧の人は、一時的に緊張して血圧が高くなるだけですから、積極的に治療しなくても、脳梗塞などの心配はあまりいらないと考えられます。

 しかし、仮面高血圧のケースでは、白衣高血圧と逆の症状で、医療機関で測る外来血圧の値よりも日常生活の血圧が高いわけで、「逆白衣高血圧」とも呼ばれます。中には健康上、無視できないほどに高い値の人もいます。

 結局、医師が外来診察室で測定した血圧データは、必ずしも受診者の平常時の血圧を反映したデータではないのです。時には、治療すべき患者が見逃されていたり、時には、不必要な治療が行われたりする可能性が生じます。 

●仮面高血圧が疑われる人

 医療機関で測った外来血圧と平常時の家庭血圧が異なるわけは、人間の血圧というものが気持ちや、環境に大きく左右されるからです。

 仮面高血圧になるきっかけとして、いくつかの原因が挙げられます。一つはタバコで、タバコを吸うと間違いなく血圧が上昇します。病院の中や、医師による検診中は吸えませんので、受診者の血圧は正常の値まで下がります。

 しかし、ヘビースモーカーなら、タバコを吸っている時の血圧のほうが、その人にとってのふだんの血圧です。外来血圧が低く出たからといって、正常ではなく、本来は薬物療法の対象となるべき人です。

 ヘビースモーカーのほか、仕事に追われているハードワーカー、仕事と家事を両立して多忙な主婦、ストレスを感じやすい人などの例では、診察の待ち時間にリラクゼーション効果があるため、診察時の血圧が低く出てしまう場合があります。

●仮面高血圧の種類

 仮面高血圧には、「職場高血圧」、「夜間高血圧」、「早朝高血圧」の主に三つのタイプがあり、それぞれの特徴や原因があります。

◆職場高血圧

 外来血圧では正常の範囲内なのに、忙しい職場にいる時に、高血圧値まで血圧が上がっている状態のこと。

 職場の緊張感や焦燥感、人間関係の悩みなどが、血圧を上げています。最近は就業時間が長く、1日8時間以上の勤務は当たり前ですから、血圧の高い状態が1日の3分の1以上を占めるわけで、血管もボロボロになりやすくなります。

 職場でのタバコも、血圧を上げる一因となります。喫煙者はタバコを吸っている間はリラックスしているつもりですが、体の中はニコチンのせいで血管が収縮し、血圧が上がります。

 20〜40代の男性に多く、中間管理職や、肥満ぎみの人は、特に危険性が高まります。

 こういう日中にストレスの多い人がなりやすい「日中上昇」タイプでは、血圧上昇の管理、生活習慣の管理が重要となります。 

◆夜間高血圧

 夜間から早朝にかけて、寝ている間も血圧が高い状態が続くこと。血圧が上がりっぱなしで、下がらないことから、「ノン・ディッパー(血圧が沈まない人)」という呼び方もされます。

 原因の一つに、動脈硬化が疑われます。健康な状態であれば、夜の就寝時は交感神経から副交感神経へ切り替わり、血管が自然に拡張します。血圧は昼よりも、10〜20パーセント下がります。しかし、動脈硬化が進行していると、自律神経が切り替わった程度では血管が広がらず、血圧が高いままの状態になるのです。

 1日の約3分の1を占める夜間、ゆっくり体を休ませるべき時間帯において、本来なら下降すべき血圧が十分下降しないか、上昇し、血管も心臓も酷使されるわけですから、動脈硬化や心肥大が進行しやすくなります。

 その危険度は、正常な血圧の人の4倍以上だということがわかっています。また、昼間の行動力や思考力が低下するという研究結果もありました。

 つまり、夜間高血圧は、死のリスクを高め、生活の質を著しく下げるのです。ほかの生活習慣病との合併も多く、腎臓病や糖尿病の人がなりやすいといわれています。

 この「夜間持続型」タイプには、長時間持続タイプの降圧薬が医師から処方されます。 

◆早朝高血圧

 早朝に血圧が高くなるタイプを、早朝高血圧といいます。仮面高血圧の中でもよくみられ、就寝時は正常なのに、起床してから急激に血圧が上昇します。このタイプの人は、もともと高血圧体質である上に、自律神経の働きが重なって、危険なほど異常に血圧が上がってしまうのです。 

 朝、急いで電車やバスに飛び乗る人や、急激な気温の変化に体をさらす人も、血圧が激しく上昇する可能性があります。その結果、急性心筋梗塞や、脳梗塞の発作の原因になることが知られています。

 急性心筋梗塞は、朝の6時から10時の間に起こることが多く、早朝高血圧とのかかわりは無視できないとされています。

◆その他

・降圧薬の効果が持続していない人

 高血圧の患者で、すでに降圧薬を服用しているにもかかわらず、薬の効果が持続していないことがあります。朝、服用し、外来受診時には正常血圧となっているものの、夜間から翌朝にかけて、血圧が再上昇してしまうことがあります。

・心肥大や腎障害のある人

 心肥大や、たんぱく尿などの腎障害があると指摘されているものの、診察室で測っても特に血圧が高くないという場合には、仮面高血圧の可能性があります。

●仮面高血圧の予防法

◆正しく家庭血圧を測る 

 早朝高血圧は、家庭用の血圧計で早朝の血圧を測ることでわかります。

 手首や指で測るタイプは誤差が出やすいので、なるべく上腕で測るタイプを使用します。安定した血圧を測るため、2分くらい前からリラックスし、カフと心臓の位置が同じ高さになるように、タオルなどを置いて調整するとよいでしょう。

 家庭血圧を測るポイントは、朝と夜の1日2回、毎日同じ時間に行うことです。それぞれ2度ずつ測り、2度目の数字を毎日記録していくのが、よいとされています。職場に血圧計があるなら、昼間も測ります。夜は入浴前や就寝前が測定の時間がとりやすいので、お勧めです。

 測った血圧の記録に、医療機関で配付している血圧記録表やグラフを利用するのも、よい方法です。 

◆病院に相談する時のコツ 

 病院に相談する際には、日ごろの血圧記録を持参することと、ほかの生活習慣病の心配や、食生活も申告してください。初めは、内科の開業医を受診するといいでしょう。

 医師側では、すぐに血圧を下げる薬を出す場合もありますが、最近は「毎日、血圧の記録を付けてください」という医師が多くなっています。家庭での血圧の値を参考にして、治療方針を決めるからです。 

◆塩分を管理する 

 日本人の高血圧の一因は、塩分の取りすぎだといわれています。塩分を控えめにすることが、まず肝心です。

 現在の指導では、塩分の摂取量を1日6グラムまでに抑えるのが、理想だとされています。日本人は10グラム以上の塩分を摂取していますから、かなり減らす必要があります。 

 加工食品を控えて、調味料を少なくすることが大切。加工食品にはナトリウム量が表示されていますが、2・5倍すると塩分量になります。

◆運動で血圧ケアをする

 肥満は、血圧に悪影響をおよぼします。運動を行って、体重を減らすように心掛けましょう。

 高血圧の人には、ゲーム性の高いスポーツや、激しい運動は不向きです。ウオーキングやサイクリングなど、穏やかな運動がお勧めです。まずは一駅ぶん歩くなど、身近なことから始めてみましょう。  

◆寒い冬場に注意する

 冬場は、外気温と体温の差が大きい上、塩辛いものを食べがちなので、高血圧には危険な季節となります。気温の大きな変化には、十分に注意しましょう。冬季の風呂場での心臓発作は、高血圧も関係があります。特に高齢者は、注意が必要です。

 逆に秋は、気候が穏やかで、健康管理に適しています。秋の間に、体重を落とすための運動を始めるなど、血圧対策をスタートさせるといいでしょう。

 

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