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慢性閉塞隅角緑内障

房水の出口が慢性的にふさがり、徐々に視野が欠けていく緑内障

慢性閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障とは、眼内液である房水の出口が軽く閉じたり開いたりを繰り返しているうちに、出口が慢性的にふさがって、徐々に眼圧が上がる疾患。自覚症状に乏しく、徐々に視野が欠けていきます。

閉塞隅角緑内障には、房水の出口が急にふさがり、急激に眼圧が上がる急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)もあります。慢性と急性の中間型として、軽度の発作を伴う亜急性閉塞隅角緑内障もあります。

眼球には、角膜や強膜でできた壁の内側に、眼内液の房水が入っていて、その壁の弾力と房水の充満状態によって、一定の硬さを保っています。この硬さが眼圧であり、正常眼圧は平均15ミリHgと外気圧より高いことで、眼球の形を保っています。眼内を満たす房水は主に毛様体で作られて後房に分泌され、前房へ流れて水晶体や角膜に酸素や栄養を与え、水晶体や角膜から老廃物を受け取って、前房隅角より出て静脈に戻ります。

ほとんどの緑内障は、房水の出口の前房隅角に問題があり、房水が流出しにくくなって眼圧が上昇します。慢性閉塞隅角緑内障も、自覚症状に乏しいまま徐々に前房隅角が虹彩(こうさい)にふさがれ、徐々に範囲が広がることが多く、前房水を静脈へ流出する機能が悪くなり、眼圧が上昇します。

前房隅角が虹彩によってふさがれてしまう原因としては、生まれ付きの素因、また、強い遠視や老化のために、水晶体が膨らんで虹彩を持ち上げ、隅角部が狭くなることが挙げられます。

一部の発症者は、睡眠によって軽減する目の充血、不快感、視力低下、頭痛を自覚します。大抵の発症者は、自覚症状に乏しく、慢性的にゆっくりと視神経が死滅していき、徐々に視野が欠けていくため、中期~末期の進行した時点になってから、初めて気付くことが多くなります。

視野の欠損の初めは、光の感度が落ちる程度で、いきなり黒い物が出現するわけではありません。また、両目で物を見る場合には脳が不具合を補正する両眼視機能が働くために、たとえ片方の目に慢性閉塞隅角緑内障による視野の欠けがあったとしても、視野の欠けが消失してしまうのです。両眼視機能には視力を向上させる働きもあり、片目だけの時よりも、両目で見ると少し視力が上がるため、片目の視神経の50パーセントを失っても、まだ自覚症状がありません。

初期の段階では、視野の中心部分から欠けていくことは、まずありません。通常、中心の少し上あたりか、鼻側から欠けていき、次に、耳側のほうが欠けていきます。視野の中心部分は、網膜の黄班(おうはん)部や中心窩(か)に映っている映像で、黄斑部や中心窩は視神経の線維が強くできているためです。最終的には、中心部分だけが見えるため、まるで筒からのぞいているような見え方になります。

このまま何もせず、慢性閉塞隅角緑内障の症状を放置すると、失明することになります。

慢性閉塞隅角緑内障の検査と診断と治療

視野欠損や視力低下を最小限に抑えるには、なるべく早めに眼科を受診して、適切な治療を受けることが必要です。

眼科の医師による検査では、中等度の眼圧上昇が認められます。眼圧が正常の場合もありますが、通常は発症している目のほうが高くなっています。隅角検査では、広範囲の隅角閉塞を認められ、周辺の虹彩前の癒着を認めることもあります。特徴的な視神経所見、視野変化を加えて、慢性閉塞隅角緑内障と診断します。

治療としては、中期~末期の進行した時点で初めて発見されることも多いことから、レザーによる虹彩切開が第一選択となり、房水の出口を閉じている周囲虹彩を切開します。また、隅角検査で隅角が狭いことが認められた場合、症状がなくても予防目的でレーザーによる虹彩切開が行われることもあります。

レーザーによる虹彩切開によっても眼圧が下がらない場合は、薬物治療や虹彩切除を主とした手術が行われます。

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