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慢性白血病

緩やかに進行する白血病

慢性白血病とは、血液のがんともいわれる白血病が緩やかに進行する疾患。白血病とは、未熟な細胞である白血病細胞が骨髄の中で異常に増殖するため、正常な血液細胞の増殖が抑えられてしまう疾患で、血液が白く見えます。

慢性と急性に大別される白血病の原因は不明ですが、放射線被曝(ひばく)やある種の染色体異常、免疫不全症がある場合に、発症頻度が高いことが知られています。慢性白血病は、その増殖している白血病細胞の種類が骨髄系の細胞か、リンパ球系の細胞かによって、慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病に分類されます。

白血病全体のうち、慢性白血病が約4分の1を占め、4分の3が急性白血病です。慢性白血病のほとんどは慢性骨髄性白血病で、慢性リンパ性白血病はわずか数パーセントといわれています。慢性白血病は、主として成人に発症します。

ここでは、慢性骨髄性白血病について解説します。慢性骨髄性白血病は、いつ発症したのかはっきりしないことが多く、また、ゆっくりと進行します。貧血、体のだるさ、脾臓(ひぞう)あるいは肝臓部のしこりを訴えて、医療機関を受診する人もいますが、定期検診や、ほかの疾患の検査で偶然に発見されることも少なくありません。

慢性白血病の検査と診断と治療

慢性骨髄性白血病は、血液検査、骨髄検査で診断します。正常なら骨髄の中だけにある未熟な白血球が、骨髄だけでなく血液の中でも多数認められ、血小板も増加しています。また、骨髄では未熟な赤血球が極端に減少し、対照的に白血球が充満しています。

染色体を検査すると、フィラデルフィア染色体という特殊な染色体が大部分の症例で見付かり、診断の決め手となります。

慢性骨髄性白血病の治療では、急性白血病のように強力な化学療法は行わず、外来で経口投与する抗がん剤によって、血液中の白血球数を抑えて、コントロールします。化学療法の進歩によって、ほぼ100パーセントの症例で寛解(かんかい)させることができますが、最後は急性白血病に変わっていくことが少なくありません。

慢性骨髄性白血病には近年、画期的な分子標的薬剤のグリベックが開発されました。グリベックはフィラデルフィア染色体上にある、この疾患の原因遺伝子のBCRーABLが産生するチロシンキナーゼの働きを特異的に阻害する薬剤。

グリベックは、インターフェロンに耐性化した発症者での第1ー2相研究で著効を示し、次いで行われた現在の標準的治療のインターフェロンとキロサイドの併用療法との比較研究で、これより優れた成績を示しました。このため、インターフェロンに耐性のある症例だけでなく、慢性期の症例への第1選択の薬剤となりました。

加えて、グリベックは増悪期、急性転化症例にも有効です。経口で投与でき、副作用が比較的軽度なので、外来で治療可能です。

しかし、ドナーのある場合は、骨髄移植が依然として治癒を狙う第1選択の治療戦略です。

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