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慢性便秘

数日以上も便通がない症状が日常的に起こるもの

慢性便秘とは、大腸内に便がとどまり、数日以上も便通がない症状が日常的に起こるもの。旅行などで食事や生活環境が急に変化して起こる一過性の便秘は、除外します。

便通は一般的に、食後24〜72時間後に起こるとされています。便が長い間、大腸内にとどまるために水分が減少して硬くなり、排便に困難を伴う状態が便秘で、通常は便の回数の減少、便量の減少、硬い便、排便困難感、残便感、腹部不快感、腹部膨満感、腹痛がみられます。ひどい便秘で苦しんでいるのは女性に多く、加齢とともに増える傾向があります。

慢性便秘では、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室(けいしつ)、子宮筋腫(きんしゅ)など大腸や婦人科の疾患が原因となって、腸の内径が狭くなり、便が通りにくくなるために起こる場合と、疾患以外で起こる場合とがあります。後者には、習慣性便秘、弛緩(しかん)性便秘、けいれん性便秘があります。

習慣性便秘は、現代人に最も多い、生活習慣が原因で起こる慢性便秘です。朝はぎりぎりまで寝ていて朝食抜き、トイレに行く時間もなく家を飛び出すような生活をしている人に多く、便意が起こっても、時間がないからと我慢し続けた結果、便意を催さなくなるものです。

便意は排尿感覚と違って、15分ぐらい我慢していると消えてしまうのが特徴。たびたび我慢しているうちに、感じ方も鈍くなってきます。そして、便が長いこと直腸にたまっていると、水分がどんどん吸収されて硬くなり、ますます出にくくなって、便秘が慢性化します。

最も問題となるのは便意を起こすことになる朝食を抜くことにあるので、朝は牛乳と果物だけでもいいですから、何か食べるようにしたいもの。また、便意を感じたら、すぐにトイレに行くことを心掛けるのも大切。朝起きたら、冷たい水をコップに一杯飲んだり、腸を活動させるために、適度で定期的な運動をして血液の循環をよくするのも効果的。

弛緩性便秘は、もともと腹筋が弱い女性に多くみられます。結腸がたるんで、便意を感じる力も便を送り出す力も弱まるため、排便時に上手に息むことができなくなった結果、慢性便秘となるものです。

内臓が下垂気味の体質の人は、腸もたるみやすく、陥りやすい傾向があります。また、下剤を使いすぎた場合も、薬の刺激で便意を催させるため、腸の機能が低下して弛緩性便秘になることがあります。

この便秘を解消するには、腹筋を鍛えることが大切。便の量を増やして、結腸の運動を促すために、豆類、いも類、野菜類など、食物繊維を含む食物を多く取るように心掛けるのも効果的。

けいれん性便秘は、コロコロした硬くて丸い便が出るのが特徴です。ストレスや不安、疲労が原因で自律神経の調整がうまくいかないために、S状結腸が過敏に反応して、けいれんを起こし、便が通りにくくなって慢性便秘となります。便が腸に居座っているうちに水分が吸収され、コロコロした硬い便になるというわけです。同じストレスが原因となる過敏性腸症候群である場合には、便秘と下痢を交互に繰り返すこともよくあります。

けいれん性便秘は、弛緩性便秘とは逆に、こんにゃく、白米、白パン、うどん、脂肪の少ない肉類、白身魚、豆腐など消化のよい食物を取るようにすることが有効。便秘薬を使うと、ますます腸の緊張を高めるので、使用は避けます。原因となるストレスや疲労を解消することが、何より大切。

慢性便秘の原因が疾患である場合は、医療機関を受診して原因疾患の治療を行います。便秘薬を使用する場合は医師に相談すべきで、浣腸(かんちょう)も使用しすぎると直腸神経がまひし、習慣性便秘の原因となるので要注意です。

医師による診断では、血液検査、腹部単純X線検査、大腸内視鏡検査や大腸X線検査が行われます。

医師による治療では、大腸や婦人科の疾患が原因となっている場合、原因疾患の治療を行います。ほかにも、薬剤性の便秘(向精神薬、抗コリン薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬など)、代謝・内分泌性の便秘(糖尿病、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症、副甲状腺機能高進症など)、神経筋原性の便秘などもあり、それぞれの便秘の仕組みに応じて治療を行います。

弛緩性便秘の場合、便の量を増やして大腸を伸ばし、大腸運動を誘発する膨張性下剤や、大腸の平滑筋運動を促進させる薬剤を投与します。けいれん性便秘の場合、塩類下剤で便を軟らかくし、ストレスや不安が背景にある時には抗不安薬や抗うつ薬を使うこともあります。

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