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ペインクリニック

ペインクリニックは、痛みを主訴とする疾患の治療を行う診療科。痛みの外来と呼ばれることもあり、痛みの治療を専門とする麻酔科医を中心に、神経内科医、放射線科医、脳神経外科医などが協力し、それぞれの視点から診断と治療を行います。

痛みの原因疾患を突き止めてその疾患を治療するのではなく、痛み自体を治療し、疾患に伴った不快な症状を緩和するのが特徴です。

日本にペインクリニックが誕生したのは1962年で、東京大学医学部附属病院に麻酔科が設置されたのが最初。現在は普及し、開業の医院も各地に存在しますが、いまだに存在を知らない人が大勢います。その原因は、厚生労働省がペインクリニック科を標榜(ひょうぼう)することを認めず、麻酔科の標榜しか認めていないことにあり、麻酔科 (ペインクリニック) と標榜しているところが多いためです。現在、ペインクリニック内科、内科(ペインクリニック)も認められています。

治療に用いる手段治療は、神経ブロック療法を始めとする手術以外の方法です。薬物療法(漢方薬を含む)、光線照射・低周波刺激療法、電気刺激療法(抹消神経刺激、脊髄〔せきずい〕刺激など)、マッサージなどの理学療法のほかに、鍼灸(しんきゅう)治療、リハビリテーション、心理療法などを用いて、患者の特有な痛みに対し最も適した治療を行い、生活指導も行います。

治療の柱となる神経ブロック療法は、痛みの原因の神経に、切り傷を縫う際や歯を抜く際に使う局所麻酔薬と、少量の抗炎症剤やホルモンなどを注射する方法です。 この注射により、痛みを感じている個所の血液の循環がよくなり、筋肉の緊張が緩みます。 筋肉の緊張が緩むと、その個所にたまっている痛みの原因物質(発痛物質)が、血液の循環で流され腫(は)れが引きます。1回の薬の効果時間はせいぜい数時間と短いのに、次第に痛みが軽くなり、すっかり治ってしまうケースも珍しくありません。

神経ブロック療法の副作用は、熟練した専門の医師が行う限り多くはありません。ブロックする個所、薬の量などによって、手や足がしびれることがありますが、治療上それが必要な場合があり、また時間が経てば元に戻ります。 緊張が強い患者では、時に気分が悪くなることもありますが、安静にすれば治ります。発熱している際や体調が悪い際などは、神経ブロックは行いません。

ペインクリニックで治療を行っている主な疾患は、片頭痛、緊張型頭痛、 群発頭痛、帯状疱疹(たいじょうほうしん)後神経痛、肋間(ろっかん)神経痛、三叉(さんさ)神経痛、頸肩腕(けいけんわん)症候群、腰痛、がん性疼痛(とうつう)、末梢(まっしょう)血行障害などの痛みに加え、めまい、耳鳴り、突発性難聴、顔面神経麻痺、鼻アレルギーなどの耳鼻科疾患、視神経炎、網膜血管閉塞(へいそく)症、網膜色素変性症などの眼科疾患、レイノー病などの循環障害、多汗症などの皮膚疾患も対象となります。

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