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ボーエン様丘疹症

ヒト乳頭腫ウイルスが感染して、性器にいぼができる疾患

ボーエン様丘疹(きゅうしん)症とは、主にヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス(ヒトパピローマウイルス)16型が感染して、性器や肛門(こうもん)周囲などにいぼができる疾患。ボーエン様丘疹症は皮膚科での呼び名で、婦人科では外陰上皮内腫瘍(しゅよう)と呼ばれます。

性行為感染症の1つとされており、一般に20~30歳代の性活動が盛んな年代に多くみられ、ヒト乳頭腫ウイルスがセックスの時などに感染することで起こります。性的パートナーがウイルスを体内に保有しているキャリアならほぼ感染するほど、ヒト乳頭腫ウイルスの感染力は強く、皮膚や粘膜との直接的または間接的な接触により感染し、唾液(だえき)、血液、生殖器からの分泌液などの体液からは感染しません。

感染後3週間から6カ月程度で、性器に2ミリから1センチくらいの黒褐色のいぼ、すなわち丘疹が多発します。個々の丘疹が癒合して、大きな平面状になることもあります。

同じ性行為感染症の1つで、ヒト乳頭腫ウイルス6型と11型が感染して、性器に1ミリから3ミリくらいのカリフラワー状の丘疹を生じる尖圭コンジロームと、区別が付きにくい場合もあります。混合感染して、ボーエン様丘疹症と尖圭コンジロームを一緒に発症することもあります。

また、ボーエン様丘疹症の病変は、病理組織学的にはボーエン病の病変に類似しているとされています。ボーエン病は、境のはっきりした褐色の色素斑(はん)が体幹や四肢に好発する皮膚病で、かなり高い確率で将来がんに移行し得る皮膚がん前駆症の一つです。

しかし、比較的若い人に生じたボーエン様丘疹症が悪性化することは少なく、90パーセントは体内の免疫力で数カ月から3年以内で、ウイルスは自然消滅します。

10パーセントはウイルスが細胞の中に残り、その中の10パーセントから20パーセントは悪性で、さらにその中の10パーセントは子宮頸(けい)がんや口腔(こうくう)がん、舌がん、喉頭(こうとう)がん、肛門がんを発症するリスクがあります。

ボーエン様丘疹症の受診科は、泌尿器科、性病科、皮膚科、婦人科(女性)となります。

ボーエン様丘疹症の検査と診断と治療

泌尿器科、性病科、皮膚科、婦人科の医師による診断では、皮膚症状から視診で判断し、似たような尖圭コンジロームや、梅毒でみられる扁平(へんぺい)コンジロームなどのほかの疾患と鑑別します。判断が難しい場合は、いぼの一部を切除して顕微鏡で調べる組織検査で判定することもあります。時には、血液検査で梅毒ではないことを確認することもあります。

泌尿器科、性病科、皮膚科、婦人科の医師による治療では、一緒にできることもある尖圭コンジロームの場合と同じで、いぼが小さくて少数なら、局所免疫調節薬であるイミキモド軟こう、ポドフィリン液、5−FU軟こう、尿素軟こうなどの塗り薬も効果があるといわれています。

一般的には、液体窒素による凍結凝固や、レーザー、電気メスによる焼灼(しょうしゃく)が有効です。改善しない場合や悪性化が疑われる場合は、外科的切除も考慮します。

診断が確定したら、きちんと治るまで性行為は控えるか、コンドームを使用するようにします。また、子宮頸がんなどの発症の可能性があるという観点から、治癒が確認できるまで治療、あるいは経過観察を怠らないようにすべきです。ヒト乳頭腫ウイルス16型に長期間感染していると、子宮頸がんを発症する可能性があると考えられています。

なお、ボーエン様丘疹症を生じた男性の性的パートナーである女性は、子宮頸がんの発症に注意し、検診を定期的に行うことが勧められます。

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