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皮膚粘膜眼症候群
主に医薬品の服用が原因となって、全身の皮膚や粘膜に症状が現れる重篤な疾患
皮膚粘膜眼症候群とは、皮膚や粘膜の過敏症である多型紅斑(こうはん)の一種で、最悪の場合は死に至ることもある重篤な疾患。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS:Stevens-Johnson syndrome)とも呼ばれています。
医薬品の副作用が主な原因と考えられていますが、一部は単純疱疹(ほうしん)ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌などの種々のウイルスや細菌による感染症、悪性腫瘍(しゅよう)が原因となって発症します。原因不明な場合も、少なくありません。
発症メカニズムについては、医薬品などにより生じた免疫・アレルギー反応によるものと考えられていますが、さまざまな説が唱えられており、いまだ統一された見解は得られていません。
原因と推定される医薬品は、抗生物質、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬、痛風治療薬、サルファ剤、消化性潰瘍(かいよう)薬、催眠鎮静薬、抗不安薬、精神神経用薬、緑内障治療薬、筋弛緩(しかん)薬、高血圧治療薬など広範囲に渡り、その他の医薬品によっても発生することが報告されています。また、総合感冒薬(風邪薬)のような市販の医薬品が原因となることもあります。
症状は、紅斑、水疱(すいほう)、びらんが皮膚や粘膜の大部分の部位に広く現れることに加え、高熱や悪心を伴います。目の粘膜の変化は、皮膚などの粘膜の変化とほぼ同時に、あるいは皮膚の変化より半日もしくは1日程度、先に現れ、両目に急性結膜炎を生じて、充血、目やに、涙、かゆみ、はれなどが起こります。唇や陰部のびらん、のどの痛み、排尿排便時の痛みも起こります。
発症すると予後不良となる場合があり、皮膚の症状が軽快した後も目や呼吸器、肝臓などに障害を残すこともあります。
原因と考えられる医薬品の服用後2週間以内に発症することが多く、数日以内あるいは1カ月以上たってから起こることもあります。
皮膚粘膜眼症候群の発生頻度は、人口100 万人当たり年間1〜6人とされています。死亡する確率は、患部が体表の10パーセント未満の場合なら致死率5パーセントといわれています。
その症状が持続したり、急激に悪くなったりした場合、何らかの医薬品を服用している人は放置せずに、すぐに医師、薬剤師に連絡してください。
皮膚粘膜眼症候群の診断と治療は、皮膚科の入院施設のある病院で行うことが望ましいとされています。入院に至った際は、 皮膚科と眼科、呼吸器科などとのチーム医療が行われることになります。
医師による診断では、皮膚生検で確定診断を早急に行い、血液検査、呼吸機能検査なども行います。また、原因と推定される医薬品や、ウイルスの感染などを検索します。
医薬品の服用後に高熱を伴う皮膚、粘膜、目の症状を認めたケースでは、原因と推定される医薬品の服用を直ちに中止することが最も重要で、最良の治療法となります。しかし、服用を中止しても重症化する場合があるので、注意が必要です。
一般に、皮膚粘膜眼症候群を発症した場合、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の全身投与、あるいは血漿(けっしょう)交換療法、ビタミン類の投与、さらに二次感染予防の目的で抗生物質の投与が行われ、皮膚の症状に対しては外用抗生物質、外用副腎皮質ホルモン剤が用いられます。粘膜の症状に対しては、うがい、洗眼など開口部の処置が行われます。
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