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被曝
人体が放射線を浴びることで、外部被曝、内部被曝、自然被曝に分類
被曝(ひばく)とは、人体が放射線を浴びること。体の外から被曝する外部被曝と、体内から被曝する内部被曝とがあります。
また、人体は天然に存在する放射線源から放射線を浴びており、これは特に自然被曝と呼ばれます。天然に存在する外部被曝源としては、宇宙から地上に降り注いでくる宇宙線、大地に含まれる放射性物質からの放射線、大地から漏れ出て空気中に存在するラドンなどの気体などがあります。
放射線といえば原子力発電所や原子力空母、核兵器、X線検査が放射源と見なされることが多いものの、あらゆる場所で常に微弱な放射線が照射され、人を含むすべての生物は常に微弱な被曝にさらされています。一般の人が日常生活で1年間に自然被曝する線量は、2・4ミリシーベルト(2400マイクロシーベルト)。
外部被曝は、原子力発電所などの事故で環境中に放出され、大気中に浮遊する放射性物質が皮膚や頭髪に付着するなどして、外部から放射線を浴びることです。
内部被曝は、大気中に浮遊する放射性物質を呼吸の際に鼻や口から吸い込んだり、汚染された水を飲んだりして体内に取り込んでしまうことです。汚染された農作物を口にしたり、傷口から入ったりして、体内に取り込んでしまうこともあります。
放射性物質から身を守るためにまず必要なのは、発生源からなるべく早く離れること。避難の際は、放射性物質を吸い込むのを防ぐため、ぬれたタオルやマスクで口や鼻をふさぎ、肌は露出せず気密性が高いカッパなどを着用し、帽子もかぶります。風下を避け、雨は濃度が高まる恐れがあるため触れるのは厳禁です。
避難先には、放射性物質を通しにくいコンクリート製建物が望まれます。外から室内に入る際は、汚染された心配がある衣服を戸外で脱ぎ、ビニール袋に入れて口を縛ります。水場があれば全身を洗って除染します。すでに被曝した場合にも有効な対策です。頭髪は念入りに洗いたい部位ながら、爪を立てたりして皮膚を傷付けると逆効果です。
室内に入った後は窓を閉めて、不要な外出は避け、外気を取り込むエアコンや換気扇も使わないことです。
発生源周辺の農作物は放射性物質が付着している可能性があり、口にしないよう注意が必要。周辺の水も使用してはいけません。
1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、約1週間で日本に放射性物質が届きました。放射性物質は拡散しやすく、発生源から離れていても油断はできません。
放射性物質の一つであるヨウ素は、体内に入ると甲状腺に集まりやすく、特に子供では甲状腺がんの原因になります。自治体が備蓄するヨウ素剤を事前に飲めば発症をある程度防げますが、副作用があるため専門家の指示に従って服用します。
放射性物質の一つであるセシウムも、血液に入るといろいろな臓器に吸収され、白血病などを引き起こします。すでに被曝した場合には、セシウムを体外に排出させる薬剤を服用します。体に入らなくても、地面に降った後も長く放射線を出し続けるので危険であり、半分の量に減るのに約30年かかります。
放射性物質の一つであるストロンチウムも、骨に沈着して白血病の原因になりやすく、半分の量に減るのに28年かかります。影響が長く続くため、水や植物を通じて体内に入る可能性もあり、体外に排出されにくいという特徴があります。同じく放射性物質の一つであるプルトニウムも、体内に取り込まれると骨に集まり、周りの組織にもダメージを与えます。
放射性物質による健康影響が生じるのは、細胞の中の遺伝子などが傷付けられたり、構造が変わったりしてしまうため。被曝後、数週間以内に出る急性の症状と、数カ月から数年以上たってから出る症状があります。
2〜3週間以内に出る症状は、免疫力の低下や貧血、出血など。骨にある骨髄が被曝でダメージを受け、白血球や赤血球などを作る機能が損なわれるために、こうした症状が出ます。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなり、腸管や脳が障害を受けることもあります。
被曝後すぐに症状が出なくても、数カ月から数年以上たってから、白血病や甲状腺がんなどを発症することもあります。妊娠から間もない妊婦が放射線を多く浴びると、胎児に奇形などが生じる危険性もあります。
被曝したかどうか不安な場合は、病院の放射線科などで体表の放射線量を調べてもらえます。サーベイメーターと呼ばれる携帯型の測定器も、市販されています。
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