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皮膚カンジダ症
かびの一種であるカンジダ菌による皮膚感染症
皮膚カンジダ症とは、かびの一種であるカンジダという真菌が皮膚に感染して起こる疾患。
カンジダは、健康な人の口腔(こうくう)粘膜にある程度存在している常在菌で、基本的に病原性が弱いため、発症することはほとんどありません。しかし、体の抵抗力が衰えるような条件があると、増殖、形態変化して疾患を起こします。特に、カンジダ・アルビカンスが圧倒的に多い原因菌となり、カンジダ・トロピカーリス、カンジダ・パラプシローシスなどが原因菌となることもあります。
皮膚のカンジダ症には、乳児のおむつの下にできる乳児寄生菌性紅斑(こうはん)を始め、成人の手の指の間に起こる指間びらん症、中年の女性に多い、つめ周囲炎など、いろいろなタイプがあります。
乳児寄生菌性紅斑は、陰部周囲に生じます。おむつかぶれに似た症状であり、区別が必要となります。指間びらん症は、主に水仕事に従事する主婦などに生じます。利き手の第3指間に好発し、手湿疹(しっしん)と合併していることもあって見逃されやすい傾向にあります。つめ周囲炎は、足より手に多く、つめの回りが赤くはれ、押すとジクジクした液が出ますが、痛みはありません。
また、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の軟こうを使っているうちに、皮膚カンジダ症が起こる場合もあります。糖尿病がある時にも皮膚の免疫能が低下し、肛門(こうもん)周囲や陰部にカンジダ症が起こりやすいと見なされています。
なお、口腔粘膜、陰部粘膜にもカンジダ症を生じることがあり、これを粘膜カンジダ症と呼ぶこともあります。皮膚や粘膜だけではなく、肺、消化器、その他の内臓に感染することもあります。この内臓カンジダ症は、血液疾患などで免疫能が高度に低下した人に生じるので、日和見(ひよりみ)感染症といわれています。
皮膚カンジダ症の検査と診断と治療
治療は、皮膚を乾かすことが重要です。つめ周囲炎の場合は、頑固なので皮膚科医の治療を受けます。皮膚カンジダ症から、内臓の疾患が見付かることもあります。
皮膚カンジダ症の診断においては、KOH検査(皮膚真菌検査)と培養検査が行われます。KOH検査では、皮膚の表面をこすり、それを水酸化カリウム溶液で溶かして、顕微鏡で観察します。5分もあれば結果が出ますが、カンジダ菌の種類の特定までは困難です。培養検査では、クロモアガー・カンジダ培地などで培養します。検査に時間がかかりますが、菌の種類を特定できます。
皮膚カンジダ症の治療の基本は、カンジダに抗菌力のある抗真菌薬の外用です。外用薬は、薬局でも手に入るものもあります。症状が強い場合や広範囲に病変がある場合は内服薬が必要になりますが、病院でしか手に入りません。
外用薬では、イミダゾール系のものが抗菌域が広く、カンジダに対しても有効性が高く、第一選択薬といえます。ネチコナゾール(アトラント)、ケトコナゾール(ニゾラール)、ラノコナゾール(アスタット)などの新しい薬は、抗菌力が強化されています。基剤としては、軟こう剤、クリーム剤、液剤、ゲル剤がありますが、皮膚カンジダ症ではただれの症状を示すことが多いので、刺激が少ないクリーム剤か軟こう剤が無難です。
内服薬では、トリアゾール系のイトラコナゾール(イトリゾール)が、抗菌域が幅広く、第一選択薬です。副作用は比較的少ないのですが、血液検査は必要で、併用に注意する薬剤があります。
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