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ヒトアジュバンド病

美容整形で用いられるシリコンなどの注入で発症

ヒトアジュバンド病とは、美容整形や形成術で用いられるシリコン、パラフィンなどの異物の注入が原因となって起こる疾患。異常な免疫反応が起こることによって、強皮症やシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原(こうげん)病に似た症状が起こります。

ほとんどの例はシリコンやパラフィンを直接注入する豊胸術、隆鼻術を受けており、術後数年から10年以上経過してから発症しています。シリコンを袋の中に密封した上で挿入する方式での発症は、まれです。そのため、体内に埋め込まれた異物が直接組織と接触することにより、過剰な免疫反応を引き起こした結果と考えられています。1970年以降にみられましたが、近年は形成術が進歩したため、発症が少なくなっています。

初発症状は、関節や筋肉の痛みや発熱など非特異的な症状が多く、レイノー現象、皮膚硬化、紅斑(こうはん)、目や口の渇き、骨の変形や癒着など典型的な膠原病の症状を呈することもあります。

ヒトアジュバンド病の検査と診断と治療

ヒトアジュバンド病の血液検査では、炎症反応が上昇し、免疫異常を示す抗核抗体、リウマトイド因子(リウマチ反応)、抗DNA抗体などがみられます。これらは、この疾患に特徴的な所見ではありません。診断に際しては、豊胸術など美容外科手術の既往が大切で、その際の術式や用いられた材質に関する情報も有用です。

ヒトアジュバンド病の治療は、初期であれば、体内に注入された異物を取り除くことによって、症状が軽くなったり治ることもあります。多くの例では効果が不十分なため、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)による治療が必要になります。骨の変形など組織の変化まで進んでいる場合は、非ステロイド性抗炎症剤、副腎皮質ホルモンを使用し、膠原病に準じた治療が行われます。

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