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乳腺外科(乳腺科)
乳腺(にゅうせん)外科とは、乳がんを中心とした乳腺、乳房の病気を治療する診療科。病院によっては、乳腺科と表示していることもあります。
マンモグラフィー(乳房レントゲン撮影)、超音波検査を始め、画像検査(MRI、CT、PET/CT)、乳管鏡・乳管造影などを用いて総合的に診断し、必要に応じて細胞診や組織診などの精密検査も行います。
乳がんというと女性特有の病気だから婦人科が専門と思っている女性もいると思われますが、多くの病院では外科が扱っています。本来は乳腺外科(乳腺科)が専門なのですが、 かつては乳腺外科という名称が国が定める標榜(ひょうぼう)科目としては認められていなかったために、病院の看板や電話帳などに「乳腺外科」、「乳腺科」などと表示することができない規則になっており、患者には非常にわかりにくくなっていました。
2004年10月、厚生労働省が日本乳癌(がん)学会に対して「乳腺専門医」の広告を認めたことによって、以後、その病院に乳腺の専門医がいるかどうかがわかりやすくなりました。
現状では、乳腺外科という名称ではないからといって、乳がんの専門医がいないということではありませんので、総合病院では電話や相談窓口で「乳腺の専門医がいるか」、「乳がんについては何科が扱っているか」を聞いてみましょう。乳がんの診断、治療は専門医でないと難しいケースがありますので、病院選びは慎重に。
乳腺外科では、しこり、痛み、分泌など乳房に関するさまざまな症状に対して診断を行い、治療方法を示します。下記の症状が当てはまるからといって、必ず乳がんというわけではありません。
乳房にしこりを触れる、腕を挙げた時に乳房にえくぼやひきつれがある、乳首からのレンガ色の分泌がある、乳首にびらんやただれを認める、乳房全体が赤くはれていたり、乳房に潰瘍(かいよう)ができて治らない、わきの下のしこり(硬いリンパ節)を触れる。
乳腺には意外と良性疾患が多いため、自分で触っただけでは、良性か悪性かがわからないことがほとんどなのです。今までなかった乳房の症状が出てきたら1人で悩まず、まずは乳腺外科にて専門医に相談します。
また、地方公共団体の健診や、会社や学校の健診などで、「要精査」、「E判定」、「○カ月以内に乳腺外科外来を受診してください」などという結果が出ることがあります。これらすべての女性に乳がんが見付かるわけではありませんが、中には悪性のケースもありますので、健診でチェックされた場合は乳腺外科外来を受診し、精密検査を受けます。
乳がんになる女性が増えてきているのも事実で、乳がんの早期発見、早期治療が、縮小手術や長期生命予後につながります。
乳腺外科では、乳がんや、手術が必要な乳腺疾患に対して、日帰りの局所麻酔手術から、1泊2日〜3泊4日の入院による全身麻酔手術まで行っています。一般的には、乳房温存術、乳房切除術、腫瘤(しゅりゅう)摘出術、腺葉区域切除術などの手術は保険診療で実施され、一部内鏡視下手術のみ自費診療となります。
最近の乳腺外科では、ある程度の段階(ステージ)に達した段階で、乳がんと診断された患者に対しては、術前化学療法を勧めています。これは手術前に抗がん剤、あるいはホルモン剤を使用することによって、温存術率の向上を図り、その乳がんの本当の意味での悪性度を評価するものです。
ホルモンバランスの乱れから生じる乳房痛の症状によっては、漢方薬や消炎剤処方なども行われています。
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